2015/11/26 のログ
■観堂 貴緒 > 「十年って長いじゃん、ベテランじゃん。オレはピカピカの新米だぜ?」
柄じゃないと言いつつ魔法陣をチェックしている。敬語はあきらめた様。
子供達に「ほら、あっちでちょっと待ってろ」と言って追い払おうとする。
乱れた魔法陣を整えたい様だ。
「おっといけねぇ……観堂貴緒だ。
一学年向けに……脳波系催眠術を教えている。まっ異能ってやつだな。
風紀委員柄、どうも魔法陣が気になってな。
見回り?、あーそう、そう見回り……休憩中だ。」
ポリポリ頭をかく。
ぐいっとビールを飲み干すとペキャっと潰してポッケに入れる。
公園のゴミ捨て場の数が減って悲しいと呟く。
「……少し?。ヨキ先生の魔術は見事だと思うぞ。
材質はわからんが金属を操作してたろ。」
いまさら別の魔術を覚えてどうするんだと問いかけるように言う。
■ヨキ > 「よく言われる。だが芸術も、人を教えるにも、いつまでも新しい手法が出てくるからな。
そのたび新米の気分に立ち戻る。
……おお、ほれ。お主ら、『ホンモノの』魔法使い先生であるぞ。下がっておれ」
(観堂に近づこうとする子どもたちを制して、みなで一歩下がる。
図形には子どもの足跡こそひとつぽつりと付いているものの、魔法陣自体はひどく神経質なほどに緻密だった。
見る者が見れば、魔術要素の増幅から発現まで、一貫した理屈からなる仕組みであることが見て取れる。
ヨキが『小さな花火』と称したように――小規模な狼煙に使えるほどの、火球を発する魔法だ)
「そうそう、催眠術。
おもしろい授業を教えるものだと思って、それで君のことが印象に残っておったのだ」
(相手からの問いには、ああ、と頷いて)
「金属のあれは、魔術ではなくヨキの異能だ。
肌に触れた金属と同じものを、いくらでも生やせる」
(真鍮のバングルを嵌めた手首を見せてから、指先をくるりと捻る。
観堂が持っていたのと同じ形状の、真鍮で出来た飲料缶が現れる)
「金属ばかりは、詠唱も魔力もなくても操作出来るのだがな。
魔術というのは、なかなか物にならん。どうにもちぐはぐな効果ばかり出てしまって」
■観堂 貴緒 > 「いや、まってくれ。オレハ異能者デスヨー、やだなー。
……ちょっとだけ魔術に詳しいだけだからな。」
わははっと笑って誤魔化す。
魔法陣を俯瞰して眺めると、フムとかホウとか言って唸る。
がしがしと頭をかくと
「おもしろくねえさ。人気ないしね。
脳科学と臨床心理の科学の結晶だから小難しいし、怪しいもんよ。」
だいたい教えてるオレも1割り程度しか知らんと思い、笑う。
そういえば教書は3ページで諦めた。
「――wavespell」
ボソっと小声で詠唱すると目玉がギョロギョロと不規則に動く。
魔術で脳を特に強化して魔法陣を解析する。
指でさっさと整えて、かなり弄る。
お子様でも覚えることができそうな単純な円だ。
「子供連れで魔術行使は感心しないな。しかもこの魔術は攻撃系じゃねーか。
じゃあ、その異能でこの魔法陣の形を覚えてその金属で発動してみろ。
身に馴染んだ方が制御も容易いだろう。」
魔法陣は地面に描くだけじゃない。
尚、見た目、ただの円に見えるも、液体金属を流して固めれば
細かくヨキが描いたような文字が刻まれてできた円なのがわかるだろう。
■ヨキ > 「はは。それこそヨキなど門外漢だ。
詳しい者は、このヨキにとっては誰しも魔法使いよ」
(子どもを肩車した格好で、笑いながら話を続ける。
話の合間にも、子どもの小さな手が伸びてヨキの頬を揉みくちゃにした)
「ヨキの授業……金工も、毎年少人数ではあるがね。
誰あろうヨキ自身がもっとも楽しんでいるようなものだ。
……君もその異能が芽生えて、教師になったという訳だな。
君は自分の異能が嫌いか?」
(軽い調子で唱える。
観堂が魔法陣を弄る様子には、ほう、と感嘆の息をついた。
子どもを肩から降ろして、うむ、と魔法陣を見下ろして片頬で笑う)
「攻撃系というのは、使い手次第だろう?
この陣は、祭礼のために使われていたものでな。
“聖なる火”は、ヨキをよほど拒むらしいのだ」
(右手で首輪に触れ、左手で陣に触れる。
鈍く光る鋼が音もなく魔法陣をなぞり――
円が結ばれた瞬間、
ばちん!
青白い紫電が爆ぜる。まるで魔法の発動を、それこそ『拒む』かのように)
「あ痛ッ……た!」
(感電そのもののリアクションで、ぺらぺらと左手を振った)
■観堂 貴緒 > 「本を覚えるのは得意なんだが、それを教書にしたり教えるのは別でね。
魔…異能であれ何であれ、身に刻んだ力が嫌いなヤツなんているのか?。
子供ならいいが、それは責任の放棄じゃないか?」
聖なる火の陣を見つめ、魔術が失敗したのを見ると地面に這い蹲り
がりがりと書き加える。属性を負荷逆にしたようだ。
発動すれば「おぞましい炎」がでるだろう。
もう一度、金属を流して魔力を通してみろと指示する。
「まー……相性もあるからなぁ。ヨキ先生がコレに呪われてるとかないよな。
あとは……異世界の文字でもいいが、そうだな……。
発動する側がこっちの世界だし、こっちの古い文字で描くと安定するんじゃないか。
間違ってもガキ共に使わせるなよ、使わせるなら自分で刻ませろ。」
魔術がきちんと発動したのを見ればウンウンと肯き踵を返すだろう。
失敗すれば溜め息をつき、「悪い、時間だ」と踵を返す。
公園の入り口付近に風紀委員の生徒らが集まっている様なのを魔術で知覚してしまった。
耳を傾け、会話を拾えば2級生徒の強姦被害者のケアらしい。
……逃げ出すわけにもいかなくなったと首を振り、入り口へ去っていく。
■ヨキ > 「まったく、教師というのは難しくも遣り甲斐がある仕事というものだろう?
……ふふ、少なからずいるさ、この常世島には。自分の異能や魔力を疎む生徒は、いくらでも。
君も、そういう生徒らを掬い取れる教師になってやってほしいところだ」
(観堂がさらに修整を書き加える様子を見ながらに、ほお、とかへえ、とか呟きながら、手元のメモに書き付けてゆく。
促されるとおり、魔法陣の傍へ歩み寄る。子どもらを一瞥して、待っておれ、と制した)
「さあ……、ヨキは何ともヨコシマであるからな。
この十年と少し、『この魔法ばかり』をさまざまに試してきたが、一度も成功しなかった」
(目を伏せて、格好ばかりは一端の魔法使いのように。くるりと指先を返す――)
(紫電。)
(これ以上はヨキの手が持たん、と、笑って降参する。
踵を返す観堂に向けて、おお、と手を合わせる)
「ありがとう、観堂。随分と参考になった。
今度は君の異能についても、話を聞かせてくれ」
(ではな、と火傷したような手を振って見送る。
せんせー大丈夫?と歩み寄ってくる子どもらを、その長い腕の中に囲う。
はたと気付き、『魔法に詳しい者』が弄った魔法陣を爪先で乱して掻き消した。
誤って発動さえしないほどに砂を平らにして――『実験』の時間は終わり)
ご案内:「常世公園」からヨキさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から観堂 貴緒さんが去りました。