2016/03/04 のログ
ご案内:「常世公園」に城 北風さんが現れました。
城 北風 > (広い公園の片隅にある、ほとんど使われることのない遊具…)
(その遊具の陰に、一人の男子生徒が立っている。)

「ふむ……いつの間にやら春だな。
 この冬はインフルエンザにかかるわ水疱瘡にかかるわ、散々であったわ…」

(言いながらも、どことなくやつれた面差しを自信満々に宙に向け、胸を張る)

「だが!これもまた我が神の下された試練であろう!
 神よ!!汝が剣、峻険にも勝る試練であろうが、折れも砕けもしませぬ!!」

(朗々と声を張り上げ、ひとしきり高笑いをする…)

城 北風 > (男子生徒は手にスマホを持ち、それを操作しながら公園の中をすたすたと歩いていく。)
(随分と早足だ。)

「確かこの辺りが……ああ、こうなっているのか……」

(ブツブツと独り言を言いながら、取り出した方眼紙になにやら書き込んでいく。)
(どうやら地形の調査をしているようだ。)

「この辺は遊具が密集しているのだったな…うまく映らないのも当然であるか」

(また周囲を見回し、すたすたと歩いていく。)

城 北風 > 「ふむ……ふむふむ、なるほど……
 しかしこの島は広いな。全く全容が掴めぬ。
 ここに長く住んでいる者たちならば、島のことを詳しく知っているのだろうか」

(やはりブツブツ呟きながら、島の略図と手書きの方眼紙の束を見比べている。)
(さらに、方眼紙に描かれた地図をスマホに取り込み、データ内のマップと照合していく。)

城 北風 > 「しまった…カメラの方も持って来ればよかったな」

(本来このスマホは本体である受像機と一組で使うものなのだが、男子生徒はうっかり本体の方を忘れて来てしまったのだった。)
(本体はクソ重たいヘルメットなので、病み上がりに持ち歩きたくない、という気持ちもあったようだ…)

「あー……ここが、こうなっておるのだな。それでここは……こちらに繋がると
 クソ。たかが公園のくせに広すぎる。島のくせに土地が余りすぎている。
 野菜でも育てて売ればブランドになりそうなものなのだがな…」

(細かい作業になるとどうしても独り言が増えるタイプのようだ。)

城 北風 > 「……よし。この辺りはおおむね埋まったな。次は……ん?」

(一通り作業を終えた男子生徒が荷物をまとめる、その足元に一匹の犬が寄ってきた。)
(薄汚れた子犬だ。)

「なんだ貴様は。我は食い物など持っていないぞ」

(シッシッ、といかにも迷惑そうに犬を追い払おうとするが、犬は離れない。)

城 北風 > (ふんふんと鼻を鳴らしてすり寄ってくる犬に、迷惑そうな表情を浮かべる男子生徒。)

「…こら。寄るな。我は貴様を助けることなどできぬ。他を当たれ」

(犬を無視して立ち上がり、男子生徒はすたすたと歩き出す。)
(薄汚れた子犬は、その後ろを懸命についていく。)

「………」

(子犬がついてくる気配を感じたのか、男子生徒は足を止め…)

「…!」

(逃げるように駆け出した。)

城 北風 > 「はぁっ……はぁっ……!
 我は……動物は好かん……!」

(走りながら肩越しに振り向く。案の定、子犬は走って追いかけてくる。)
(その様子はどことなく楽しそうですらある。)

「くっ……くそ! あの犬ッころ、何故我に目を付けた……!?」

(たまたま犬が近くにいただけだろうが、それでも動物が苦手な男子生徒にとっては、犬に目をつけられたように思えるのだ。)

「誰か……いや……どこか……はぁっ、高い場所に……!」

(病み上がりで長く走り続けるのが辛くなってきた男子生徒は、逃げ場を求めて走りながら辺りに視線を走らせる。)

城 北風 > (急いですぐ傍のすべり台の上に駆けあがる。)
(急なはしごのすぐ下で、子犬は足を止めた。ぐるぐるとその場で回り、男子生徒を見上げてキャンキャンと吠える。)

「うぐ…… 一体どうすればいいのだ……」

(すべり台の斜面はツルツルとよくすべる素材でできているため、ここから犬が上ってくる心配はなさそうだ。)
(途方に暮れたような顔で、男子生徒はすべり台の上で膝を抱える。)

「ああ……我のひと時の塒が、あのような邪悪な獣に支配されていようとは……」

(一時期公園で寝泊まりしていた男子生徒にとっては、それなりに思い入れのある場所のようだ。)

城 北風 > 「……仕方ない。あの邪悪な獣が去るまで、ここで憩うとしよう。
 人生は長い。我が神の御許に参るまでの暇つぶしと思えば…さしたる不都合はない」

(フ、と不敵に微笑み、男子生徒は籠城戦(?)を始める。)
(意外としつこい犬が去るまで数時間あまり、男子生徒はすべり台の上でひたすら待ち続け、見事に風邪をぶり返すのであった…)

ご案内:「常世公園」から城 北風さんが去りました。