2016/05/29 のログ
金良 楽 > 「へ……?」

鋭い目つきに圧倒され、思わず固まってしまう。
見やればとなりのトラ猫も、顔を洗ったまま固まっていた。

「……えーと、すいません、ちょっと良く分らないです」

蓋盛 > 本気で解っていない様子の彼らを前に、女は肩から力を抜いた。

「あたしは言ったよ。“癒やされたくはない”と。
 想像しにくいかもしれないが、傷を持ち続けたいやつ、というのはいるのさ。
 そういうやつに無理に癒やしの力を使うのは、その傷を無理やり奪う、
 ってことにほかならない。
 大事なものを奪う、これが暴力と言わずに何という?」

ガタコン、と女の背後で音がした。購入したジュースが吐き出される音だった。
ふたつ分のスチール缶を取り出すと、一つを少年へと放り投げる。

「……ま、あたしの落ち込みは至極どうでもいいものなんだけど。
 悪いね。回復の異能とは付き合って長いから、口うるさくなっちまう」

苦笑する。先程までの鋭い気配はなかった。

金良 楽 > 「わとととと……」

投げられた缶ジュースを受け取るのに少し手間取る

「傷を持ち続けたい奴、か……」

確かに想像しにくい……が、分らないでも無い
その傷が、きっとその人にとっては代えがたい物であり
深い意味を持つ物なのだろう

「あ、と、すいませんでした……
 ちょっと無神経でしたね、俺」

落ち込んだ様子で謝る楽、心なしかとなりのピートもしょぼくれて見える

蓋盛 > 「素直でよろしい。
 ……いやなに、キツい言い方をして悪かったな。
 あれだ。不思議なチカラで癒されるよりかは、
 きみとこうして話して、そのついでに気分が解れるほうがきっと良い」

穏やかな口調。
言葉通りに、この女の機嫌も上を向いたらしい。
片手でジュースの缶を弄びながら、背を向ける。

「あたしは蓋盛、いわゆる保健室の先生。
 ちゃんとした学生なら、また顔を合わせることもあるかもね」

そう言い残すと、公園を後にした。

ご案内:「常世公園」から蓋盛さんが去りました。
金良 楽 > 「ちゃんとしていない学生でーす……」

島をあちらこちら渡り歩いてばかりのこの男
ちゃんとした学生とは言い難いだろう

貰ったジュースを飲みながら、彼女の言っていた事を少し考えた

「……当分、異能を使うのは控えようかなぁ」

元々あまり使っていなかった異能である、使わなかったとしても問題は無かろう

ご案内:「常世公園」から金良 楽さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に城 北風さんが現れました。
城 北風 > (大きな荷物を背中に背負うようにして、一人の男子生徒がふらりと公園に現れる。)
(どことなく上の空…といった様子で、歩く速度もゆっくりだ。)

「……ああ、ええと……ううん、いかんな。どうにも……本調子でないな」

(自覚はあるようで、一人ごちながら、目的地に向かってぼんやりと歩を進める)

城 北風 > (大きな荷物の中からノートを引っ張り出し、ぱらぱらとめくって何かを書き込んでいく)

「……公園の調査ももうすぐ終わりだな。
 公安委員会とかいう連中に職務質問される回数も減ったし…我もこの学園にすっかり馴染んで馴染んで馴染み切ったということだろうかな」

(ドヤ…とでも聞こえそうな顔をして頷くと、ノートに目を落とす)

「前回はあの辺りをやったんだったか……犬に追いかけられて大変な目に合った。今日はいないな」

(きょろきょろ、と辺りを見回す。)

城 北風 > (公園は男子生徒の憩いの場であった。学園に入学してから家が見つかるまでの数日間を、公園のすべり台と共に段ボールだけでしのいだのだ。)
(それゆえ、公園が自分以外の誰かの憩いの場になっているのも、男子生徒には面はゆいような気持ちになるのだった。)
(友人同士が語らっているベンチや、ボールを投げ合う男子生徒たちを巧みに避け、こそこそと、目的地へと向かう。)

「……まぁ、なんだ。もう暑くなるくらいの時期だが、学生という生き物は外に出たがるものなのだな。
 我は詳しいのだ…。
 それにしても、この公園はいつ行っても人がいるな。調査ももう終わりだから構わんが…」

(がちゃ、と背中に背負った鞄をゆすり上げる)

「……別に寂しいわけではないから構わんのだ。我には我が神、我が信仰がある。孤独とは無縁の男だ」

城 北風 > 「……ああ、いかん。ダメだ。こんなことではいかん。
 我は我が神にふさわしい信徒とならねばならぬのだ」

(気を取り直し、目的地へと向かう。公園の奥まった場所。うっそりと木が生い茂りつつじの花壇が丸く花を咲かせている小道を辿り、最奥の小さな広場で足を止める。)

「さすがにこの辺りには誰もおらんか。
 それどころか、しばらく誰かが踏み入った形跡もないな。いいことだ」

(荷物を下ろし、手早く準備を整える。空のガラス瓶がいくつか。試験管、紙束、試薬、タブレット端末…次々と鞄の中から取り出していく。)
(と、ガラス瓶のうち一つが男子生徒の手から滑り落ちる。大した高さでもなかったが、当たりどころが悪かったのか、口の部分が欠けてしまう)

城 北風 > 「………」

(ひとつ、ため息をついて。男子生徒は瓶を拾い上げる。欠け落ちたガラス片も拾い上げ、ハンカチに包むと丁寧に鞄にしまう。)

「ひとつ足りなくなってしまったな…。
 ……まぁ、予備の試験管を使えば足りるだろうが……
 あまり幸先がよくないな。ケチがついてしまったら、正しい結果が出ないかもしれない」

(自分の背後を肩越しに振り向き…)

「……考えすぎか。誰かの介入などあるわけがない。
 何故なら我は品行方正なごく一般的な生徒であるからだ」

城 北風 > 「……出直すか」

(男子生徒は荷物を片付け、再び木々とつつじの小道をたどってその場を後にした…)

ご案内:「常世公園」から城 北風さんが去りました。