2016/06/08 のログ
ご案内:「常世公園」に霧依さんが現れました。
■霧依 > 青みがかった灰色の髪をショートカットにした、長身の女性。
明るい白のTシャツに、デニムのハーフパンツの格好は活動的なもの。
旅先で異能に目覚め、理解を求めてこの島にしばらく住まうことにしたわけだけれども。
特に新しい情報を得られるわけでもなく、島をフラフラと歩きまわるだけ。
好奇心の赴くままに行きたいところに行き、見たいものを見るのが彼女のモットーだ。
今日は公園で見かけた移動式のクレープのお店の前で、少しお話をしているようで。
■霧依 > 「ありがとう、お嬢さん。もしよければ夜にでもお茶とかどうかな。」
売り子に微笑みながら声をかけ、ウィンクと共にそっと手を握る。
心の吹く方向へ自由に歩む彼女は、愛情関係についても風の吹くまま。
相手が赤くなって動揺していることをいいことに、代金をそっと両手で包み込むように手渡して。
相手が動揺しているのはまあ当然。同性だし。
くすくすと微笑みながら手を離しつつ、また考えておいてよ、と声をかけてその場を離れる。
ベンチに腰掛け、アイスの入ったクレープを口に運ぶ。
ご案内:「常世公園」にセシルさんが現れました。
■セシル > 少し前の暑さが、少しだけ緩んだ最近。どうやら、「梅雨」という季節らしい。
そんなこんなで、高温多湿に身体を馴らすくらいのつもりで、散歩に出ていたセシル。
一応、いつぞや魔術具屋で買った肌着は無しで。
公園のベンチで一休みしようかと思い立ち、公園に入ると…
自販機傍のベンチに、先客がいる。
まずは、自販機でスポーツドリンクを購入した後、ベンチの方に向かい。
「…隣、空いているようなら構わんか?」
中性的な、低く強い声が、ラフな服装の女性にかけられることだろう。
■霧依 > 島に来る前は、この島は変わった人が多いだの、戻ってこれないだの、散々な言われようではあったけれど。
来てみればどうということはない。
人と違う、変わっているという言葉は……程度の問題はあれど、
基準があまりにその人個人の価値観に偏り過ぎる。
ここの島の人は、確かに様々な人がいるが………
他の場所と同じく、喜び、悲しみ、恥ずかしがる。
穏やかにクレープを食べていれば、声をかけられてふと顔を上げて。
「勿論。一人よりも二人の方が何をするにも楽しいものだから。」
涼やかなしっとりとした声を返しつつ、そ、っと隣の端に寄る。
■セシル > 夏服とはいえ、かっちりした風紀委員の長袖の制服。
腰に提げられた二振りの剣は時代がかってファンタジーめいている。
肩ほどまで伸ばしたホワイトブロンドの髪を一つにくくったその姿は半ばコスプレめいているが、彫りの深い整った顔立ちは、その中性的な人物を日本人離れさせていた。
「感謝する」
そう言ってふ、と笑みを零し…口の端を上よりは横に引く、男性的なニュアンスの笑みの作り方だ…反対側の端に腰掛けた。
それからスポーツドリンクのペットボトルを開けて口を付け、5回ほど喉を鳴らした後…
「一頃より暑さが緩んで助かるな」
なんて、天気の話を相手に振ってみたりする。相手の顔を、軽く確認する程度に自分の顔をそちらに向けて。
■霧依 > ラフな格好の女は、相手の制服を見て少しだけ首を傾げる。
「暑さは確かに穏やかなものだけれど、それでもその格好は暑くないかな。
僕は暑さにはあんまり強くないものだから、ほら、こんな格好。」
穏やかな語り方で尋ねながら、少しだけ考えを巡らせて。
「僕も一口欲しいな、交換しない?」
なんて、さも自然な声で聞いてみるのだ。
■セシル > 「…夏服にした分通気性は通常期の制服よりはだいぶ良い。
それに…元いた土地柄もあって、手足の素肌を曝すのに抵抗があるのでな。多少は馴らしておかねばならん」
首を傾げられれば、「貴殿のようにはいかん」と言って穏やかに苦笑い。
いわゆる胸声だろうか。胴体に響くような感覚の声だ。
「…む」
交換しないかと誘われれば、虚をつかれたように目を丸くして、女性の方を見る。
「飲み物を一口提供する分には構わんが…甘いものは…」
そう言って、少し思案顔。
2月頃に経験した猛烈な甘い香りに囲まれる体験は、セシルにとっては軽いトラウマのようなものなのだ。
実際、その頃にもらったチョコレート以来、セシルはこちらで甘いお菓子・デザートの類を摂取していない。
■霧依 > 「なるほど、そういう土地柄というのもあるのだね。 ……寒い地方なのかな?
どうにも、暑くなったら脱いで、寒くなったら着込むことしか考えてないからいけない。
気分を悪くしていないなら、ありがたいね。」
こちらも穏やかな言葉を返して、ああ、と小さく呟いて掌で己の目元を覆って。
…とはいえ、仰々しさは無い、さらりとしたものだけれど。
「ダメだな、僕が好きなものはすぐに他の人も好きだと思ってしまう。
それじゃあフェアじゃないね……」
そんなことを呟けば、よいしょ、と座り直して相手の方を向いて。
「欲しいな?」
両手を胸の前で合わせて、おねだりしてみた。
長身で、スタイル以外は中性的な彼女がやると、多少アンバランス。
■セシル > 「そうだな…元いたのは、生地さえ気をつければ年中長袖で過ごして問題無いところだったから。
…いや、貴殿の考え方は合理的だろう。倣えるものなら倣いたいが…こればかりは性分だな」
「気は悪くなどしていないから、気にするな」と、穏やかに苦笑いをする。
「いや…私の方こそ気を遣わせてしまってすまない。
嫌いなわけではないのだが…4ヶ月ほど前に匂いだけで腹一杯になる経験をしてから、少々億劫なんだ」
そう言って困ったように笑いながら、ペットボトルの蓋を閉じて…
「気を遣わせてしまった詫びだ、全部やる」
そう、ペットボトルを差し出した。
この中性的な人物は、目の前の女性より少しではあるが背が高い。
それもあるが…仕草のアンバランスさを気にせず、「女性」として当たり前のように受け止めたように見えた。
■霧依 > 「性分というものは、あるね。
僕だって、積極的に肌を晒すのは夜の褥の上だけさ。
ときおり、寒さを堪えて肌を出す人がいるけれど、あれは僕には真似できない。」
途中なんか言葉を挟みつつ、からり、と笑顔を零して。
涼やかな目元は程よく力の抜けた様子で、相手を捉えている。
「過ぎたるは、という奴だね。
確かにそれはご勘弁。何事も、己の身体が求める分だけあれば、それが一番だよね。
別に口移しでもよかったんだけれど、そういうのは無さそうかな。
一口でよかったんだけれどね。 でも、そう言ってくれるなら貰っておこうか。
ふふ、……ありがとう。」
そう声を返す。相手が男性か女性かは、正直良くわからなかった。
だけどそんなことは関係が無かった。
どっちだったとしてもこういうことを言うからである。
■セシル > 「…!」
「夜の褥の上」という言い回しに露骨に動揺し、顔の下半分を手で乱暴に覆い隠しながら、わずかに顔をそらす。
一応、こう見えて封建社会の貴族出身の「娘」である。
…しばししてから、気持ちを切り替えるように大きな息を1つ吐いた後。
「…確かに、寒さには慣れているが、それと無理に肌を出すのは別だな。
私からすると、そもそもこの学園の制服のスカートの丈も、随分短いように感じるが」
そういう文化全体にまだ馴染みきっていないらしい。「やれやれ」という感じで首をゆるく横に振った。
「ああ…ましてや、チョコレートの香りは濃厚だからな。
あれは、たまの贅沢だからこそ良いものだと思うのだが…」
「こちらではありふれ過ぎて有難味もない」と、穏やかに笑う。
「…そういうことを言うのは慕う男だけにしておいた方が良いと思うが…
まあ、「こちら」はそういった価値観が大分「柔軟」なのは理解したつもりだし、私が偉そうに言えることでもないな。
…今日はそこまで汗もかかなかったからな。気にせず受け取ってくれると有難い」
そう言って、立ち上がる。
「…そう、価値観が「柔軟」なのも構わんが、何かあったらきちんと相談するのだぞ。
そういった事柄にも対応するために、風紀委員会(我々)はいるのだからな」
■霧依 > 「まあ、仕方ないところもあるんじゃないかな。
年頃の女の子は、着飾ることを好むもの。
少しでも華やかに己を見せたいと願うものだからね。」
相手の反応を、おや、と小さく受け止めながら、首を傾げてじっと見る。
じぃー、っと。
「チョコレートか。 濃い物は本当に濃いから、多くは食べられないよね。
……そうかな?
ただ綺麗な物を綺麗だと口にして、触れたいと願うのは……僕にとっては普通だからね。」
なんて、からりと笑ってウィンクを一つ。
「もちろん。 僕は取り立てて何が出来るわけでもない、普通の女。
困ったら、困ったなりに縋るさ。
そうだね、それじゃあ………相談か。
この飲み物のお礼に、今度、人を素敵な珈琲を入れてくれるお店にでも誘ってみようと思うんだけど、どうだろうか。」
なんて、穏やかな雲のような言葉を投げるのだ。
■セシル > 「………まあ、否定はせんが」
「年頃の女の子」の着飾り方については、苦笑しながらも肯定する。
セシルは、そういったものから逃げ続けて今に至るのだが。
「ああ…私も、さほど量は食べられない。
以前、貰い物を食べきるのにも少々難儀してしまった。
………まあ、褒め言葉だと受け取っておこう」
苦笑いを浮かべつつも、ウィンクはしっかり受け止めた。
「ああ…そうしてくれると有難い。
この島は広大で、そういった「困りごと」をなかなか把握しきれんのも事実だからな。
………それは「相談」か?」
ふ、と先ほどまでの苦笑いの影を払った楽しげな笑みを浮かべ。
「…まあ、珈琲は好きだからな。その「相談」は聞くだけ聞こう。
気が向いたら、「女子寮」のセシル・ラフフェザー宛に招待状でも出すと良い。
…今は職務時間を控えているのでな。すまんが、失礼する」
そう言って、軽いながらも前腕全体を大きく使って手を振りながら、その中性的な人物は公園を去っていく。
「女子寮の」と断ったので、「逆ナンパ」的なつもりだったら引かれるかもしれないが、それはそれで、と割り切って。その割り切りも慣れたものだ。
何せセシルは、元の士官学校で女子寮の「王子様」だったのだから。
ご案内:「常世公園」からセシルさんが去りました。
■霧依 > 「了解、では今度お部屋にでもお邪魔しようかな。」
相手が立ち去る間際、なんか言ったことに気がついたかどうか。
彼女は彼女で、男女なんて関係なく愛を囁くのだから。
にっこりと手を振って見送れば、んん、と伸びを一つ。
「素敵な人に今日も出会えた。
嗚呼、良い日だな。」
そんなことをふわりと呟き、ゆるゆると歩き始め。
クレープ屋の店員に手をひらりと振っては、公園を後にする。
自由人は、足取りもきっと自由人。
ご案内:「常世公園」から霧依さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に瑯枕さんが現れました。
■瑯枕 > もうそろと終わりを告げるカランコエの黄色い彩り。
その周りを、おおきなおおきなクマバチがぶうんと青白の彼方に飛んでゆく。
見上げるあたしの瞳は真っ赤っ赤で、足元に眠るにゃんこは茶さびの様子。
「………………………。」
よくよく見れば地面にゃ黒い蟻もいるし、生い茂る緑はとうぜんの緑色。
あたしが今の形になった時には随分と感動もしたなあとぼんやり思うのも、
偏に今が暇だから。学校なる学び舎は今日は休みで、日銭を稼ぐ相手も今は無し。
手慰みに人なつこい猫の一つも寝かせてみれば、手を庇のように翳して周囲を一つと云わずに見回した。
ぐーるぐる。
■瑯枕 > くるくると回りすぎれば狂々とまるで暑さにやられた物狂いのようだ。
当然あたしは違うので舞台役者のようにきっちり止まろうとして、
舞台役者では無いので足元を幾つか蹌踉めかせる事になる。
そんな事をしていちゃあ、生憎と見目が子供のようなもんだから
親切そうな御仁が声をかけもしてくれる。眠そうな眼で見上げると20代も前半な中々の男前。
「おっと兄さん久し振り! いやあ初めましてなんだけどさ~どう?最近眠れてる?
今ならねえ、この瑯枕さんが寝苦しい夜もすっきり眠れるように……あれ、居ない。」
すかさず、今なら一晩1980円で安眠をお約束!と話を転がそうとしたら転がりすぎて置き去いた御様子。
くるんと回って可愛らしく首を傾いだ所で兄さんったら視界から居なくなっていたのでした。
この島のひとたちは、てごわいぜ。
ご案内:「常世公園」に朝宮 小春さんが現れました。
■朝宮 小春 > ようやく仕事も終わって、のんびりと歩いて帰る女教師。
自動販売機でお茶を買えば、そのペットボトルに口をつけながら、今日はゆったり公園を通って回り道。
ここで知っている人と出会うこともあるのだけれど、と………。
歩いていたら、何故か芝生の上で首を傾げている少女がいるものだから、不思議そうに見つめてしまう。
どこかで見たことがあるような、ないような。
「こんにちは、…公園で遊んでいるの?」
迷子の幼子へと声をかけるような声色で、優しく優しく、少し膝を折り曲げて声をかけてみる。
■瑯枕 > 「参ったなあ。こうなったら金霊でも捕まえてお金でも都合して貰わないと家賃とか学費が払えないぞお~
それなりには貯めたから平気だけどいつか払えないぞお~」
金霊とゆーのは名の示す通りお金的な妖しい怪しいアレでソレ。
ちなみにあたしは枕の変化した妖しい怪しいアレでソレ。
尚、家賃が払えない場合のアレでソレは橋の下とか公園の何処かである。
尚の尚、あたしは動物とかの変化ではないもんだから屋外生活には若干の抵抗とてあったりする。
尤も雨風凌げれば十分で、後は毎日塩ラーメンが食べられるなら言う事無しの清貧さも忘れない。
しかして今は当座でもない悩みを、さも当座のように悩んで原っぱの上でごろんごろんと転がった。
モコモコとした髪の毛に葉っぱがもっさりとくっついて大変青臭かった。
「ん?ふはは、遊んでいるように見えたか!……その通り~」
そんな事をしていたら何処かで聞いたような聞かないような声がして、むっくり身体を起こして見上げると、
なんということだろう、初めましての女の人がいるのでした。
「ともあれおひさしぶりね。初めましてだけど。うん、眠れていそうな面構え……あ、あたしは瑯枕《ろうちん》って言うの。
今年からこの島に住んでる妖なんだけどね。あ、ろーちゃんって呼んでね。」
彼方此方についた葉っぱをぼんぼこ落としながらご挨拶。
お近づきの印にこれをどうぞ…と仰向け姿勢で眠る茶さびの猫を差し出した。
■朝宮 小春 > 「あらあら、…お邪魔しちゃったかしら?」
少し苦笑をして、ちょっと間延びをした相手の返事を受けて微笑む。
シニヨンに髪をまとめて、眼鏡の奥で穏やかそうな瞳を向ける女教師。
女性らしい身体のラインをスーツとタイトスカートで覆って。
「え、え、久しぶりだったかしら………? ……ぁ、ああ、初めまして。
私はあそこの学校で先生をしていて、朝宮って言うの。
……………ええと。……妖?」
相手の言葉に、少しだけ首を傾げながら、目をぱちぱちと。
独特のテンポだなあ、なんて思いながら……猫を受け取って。
「あらら、ぐっすり………貴方の猫ちゃん?」
ぐっすりと眠るその猫に、ちょっと驚いた様子。
■瑯枕 > 「そう妖。朝宮先生ちゃんは付喪神って知ってる?古い器物が動くぞーってあれ。
で、あたしは枕の付喪神で……あ、でも常世学園の生徒なんだな、これが。
だからほら学生証もちゃんと家に置き忘れてるから心配ないよん。」
一向に起きる気配のない猫を手渡し、腰に手を添え不審なモノじゃないぜと御挨拶その2。
「あとあたしの猫じゃないよ。なんか寄って来たから寝かしただけ。
なんとびっくり、あたしに触られた生き物は段々眠くなったりならなかったりするんだな。
その内突然起きるだろうから、そのまま抱っこしてると突然引っかかれたりすると思うよ。」
起きる気配のない猫を指差して猫みたいに笑って猫みたいににゃおんと真似をして
「あ、そうそう。御邪魔じゃないから大丈夫よ。
でも立ち話もなんだからあそこの屋台でタイヤキでも購ってロハ台にでも行かない?
さあさあ何匹欲しいのかな。欲しいだけ買ってあたしにくれていいんだぜ……。」
……屋台を指差す!
■朝宮 小春 > 「………な、るほどね。 そういう生徒もいるのね………」
少しだけ驚きながらも、それを頑張って受け止めようとする一般人。
ここにしばらくいて、大分頭が柔らかくなりました。
ありえないこと、ということは無い。
驚いたり怯えたり、さらに言えば思い切り疑ってかかるようなこともせずに、うん、と頷いて。
「………枕の付喪神だから、そういう力があるのかしら。
じゃあ、もし私が触ってしまったら、私が眠くなってしまうの?」
相手のことをそれなりに信用しているからこそ、悪戯に触れたりはせずに。
猫ちゃんはその場に寝かせておくことにしよう。
「………ふふ、そうねえ。
タイヤキは1匹でいいかもね。 それより、冷たい飲み物でも飲みましょうか。」
相手の言い草に吹き出してしまいながら、じゃあ、とばかりに屋台に向かって。
何がいい? と相手の注文を聞いてみましょう。
■瑯枕 > 「あ、へーきへーき。明らかに凶相な御仁が『押忍!自分は刀の付喪神であります!』とか言いながら芝生に寝転がってたらあれだけど
あたしみたいな見た目のがそうしても平和そうでしょ。ね?」
例えば上方の京劇役者みたいな顔つきで筋骨隆々なのが転がっていたら怖い。
でもほら例え話だから、と話題をふんわり投げつつ視線を少し遠くに向けるとなんということでしょう。
むくつけき筋肉モリモリマッチョマンが悩ましげに芝生に寝転がっていやがった。
ありゃあ釜の付喪神に違い無い。しらんけど。
「……ごほん、うぉっほん。そそ、だからあたしの素肌に触ると眠くなったりすると思うよ。
個人差、あるっぽいけど~……あと髪の毛は大丈夫っぽいから触ってもいいぞお……。」
視線を日本人形の付喪神かなにかのように身体を動かし戻し戻して、あたしは自分の髪の毛を
もっさぁ…と触って不敵に笑う。
笑うけど後ろはみないようにして屋台に向かって歩き出してたりもした。
「おいてけ掘でもないのに慎ましいんだからあ。飲物は……えーと麦茶に砂糖入れた奴とか。
無いならお茶に砂糖入れた奴とか。」
そんなこんなで辿り着いた屋台は屋台というよりちょっとした茶店のような感じの奴。
毛氈とかないけどロハ台に座って足をブラブラさせながら朝宮先生ちゃんを応援しよう。
■朝宮 小春 > 「それはその……見た目の問題ではなくて、シチュエーションの問題ではないかしら……」
後を振り向かない女教師は、穏やかに首を傾げて考える。
そんな人がいたら、うん、まあ、大人っぽいし流石に声はかけないかも。
「………髪の毛は大丈夫なのね?」
よーしよし、と頭を撫でてやると、確かにふわふわで気持ちは良い。
枕、と言われるのも分かるかもしれない。
「……ああ、ということは、もしかして年齢で言うと年上、だったりするのかしら……?」
自分の気になったことを尋ねながら、ゆったりと店へと近づいて、
タイヤキを1枚と、アイスティーを2つ購入。
「まあ、ベンチにでも座ってお話しましょうか。」
はい、どうぞ、とアイスティーのカップを渡しながら、一緒にシロップやミルクもその蓋の上に。
相手の言葉が本当なら、ここで手が触れるだけで眠くなってしまうのかしら。
■瑯枕 > 「羊のように柔らかだぜ……あたしは羊じゃないけどね。」
朝宮先生ちゃんの手がもっふりもっふり触れるなら
あたしの髪の毛はちょっと不可思議な弾力をふんわりと返す。
緩く撫で付ける手にくっ付いた質問にはタイヤキを受け取ってから答えるとしよう。
「んーあたしは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,たくさん,たくさん,たくさん……たくさんだな?
うん、たくさんだ。やばいぜ……節分の時期が来たら豆に溺れて鬼のように沈んでしまう……。」
今明かされる衝撃の事実。あたしの余命は一年を切っていた!
恐怖に慄いたような顔でタイヤキを頬張り、甘いお茶で流し込んで来年の事は忘れよう。
だってほら、鬼さんがあんなに笑顔になってやが……いや鬼じゃねえアレはさっきの悩ましげな筋肉モリモリマッチョマンだ。
目を逸らそう。
「ま、まあ~あたしは生徒で朝宮先生ちゃんは先生だから、そっちが年上でいいんじゃないかなあ。
でも学校の中ってこの辺結構曖昧だよね。御陰であたしみたいなのをすんなり入学できるんだろうけど。」
そもそも生き物なのかこいつ。みたいな生徒も居るんだから是非も無い。
人間外見で決めるもんじゃないぜ。ってタイヤキを頬張りながらキメ顔の一つもしてやるんだ。とりあえずあたしは妖だけど。
「……あ、でも先生ちゃんも実は何か凄いアレでソレだったり?枕返しとか」
■朝宮 小春 > 「………ふふふ、やっぱり歳上なのかしら。
生徒と先生だから、というのは分かるけどね。
じゃあ、先生らしく振る舞います。
……曖昧だからこそ、いろいろな人が同じ場所で暮らしていけるのだと思うわ。」
先生らしく、というところでちょっと偉そうにドヤ顔をして、えへん、と胸を張っておきましょう。
そして流石にそろそろ気がついて、……お知り合い? と小さな声で尋ねてみる。
保護者の方かしら。
保護者なら素直に引き渡そう。
「………外見で決めるものじゃないのは分かっているけれど、どうしてもね。
もっと、年上っぽく扱ってあげたほうがいいのかしら。
私? ………そうねぇ、
………私は普通の人、だと思うのだけれど。
ちょっとだけ科学者になろうとしたりして、なかなかうまくいかない普通の先生、……かな?」
普通かどうかはともかく、そう口にはしておこう。
■瑯枕 > 「なんてこった先生だ。今度テストの範囲とか出題とか教えて貰わないと……科目しらないけど。」
キメ顔の朝宮先生ちゃん改め朝宮先生にあたしはまたもや慄いた顔で、
耳打ちには顔を左右にぶんぶんと振って否定した。
マッチョは幸い機嫌良さそうに歩いて、少し離れた所にあるクレープ屋の元へ向かっていった。
「いやあ別にいいんじゃなあ~い?年の功より亀の甲って言うしぃ……
そして先生は普通だった。じゃああたしも普通の妖ってことで……
あ、でも殴ったり蹴ったりしたら蹲って動かなくなったりするからね。
物は大事にしよう!。」
じゅぞー、とストローを咥えてお茶を啜って赤い瞳がきらりと煌く。
妖怪だから強いとか思ったら大間違いだ!と得意満面にキメて鼻息がむふーと荒くなりもする。
「あとそうそう、普通の妖だから妖らしい話をするんだけど
もし夜も眠れなくて困ってしまって昼寝ばかりしてしまう……とかあればあたしに任せるといいよ。
今なら一晩1980円か学食の塩ラーメントッピングドカ盛りで治してあげないこともない。」
荒くなるのはラーメンに思いを馳せるからってのもあったかも。
■朝宮 小春 > 「ふふふ、私はそういうことはしないけれど、教えることならするからね。」
マッチョがのしのし歩いて行くのを見送りながら、この島のバリエーション豊かな人に戦慄を覚える。
「……あ、別に強かったりそういうことはしないのね……」
相手の言葉に、ちょっと目をぱちぱち。
それじゃあ、眠くならなかったら本当に普通の女の子なのね、と小さく納得。
先生だからしっかりしていると思ったら大間違いだ!って言いたいけれど絶対言わない。
「………うー、ん。 夜は眠れるは眠れるけれど。
ただ、疑うわけじゃないけれど、本当かしら、って思ってしまうのも仕方ないことよね。」
タイヤキも半分あげながら、報酬の話よりも先にまずは本当なのか、能力についてつついてみる。
■瑯枕 > 「ただ枕とかは生み出せるけどね。こんな風に……。」
目を瞬かせる朝宮先生の面前でぼむんと煙が爆ぜたかと思えば何という事でしょう。
あたしの手の内には割かし大きい白無地の枕が顕れていたのでした。
「まあこれ写し身だから1分くらいで消えちゃうんだけどねえ~投げてぶつけたら相手は気持ち良いぞきっと!」
差し出されたタイヤキを咥えに行って、代わりにどうぞと枕をぎゅっぷいと押し付ける。押し付けた、どうぞ。
「んごもぐぐ……う"~ん。それなら一寸触ってみるぅ?一寸だけよぉ~……あ、でもねえ。個人差が結構あってね。
ちょこーっと触っただけで昏倒するように寝ちゃう人も居たりするから、それは覚悟の上で……いぃっひっひっひ。」
押し付けて、なんとなく厭味っぽい笑いも押し付けてあたしは袖を捲ったり裾を捲ったりした。