2016/06/16 のログ
ご案内:「常世公園」に雛元ひよりさんが現れました。
■雛元ひより > 放課後の常世公園、普段であれば住民の憩いの場として親しまれているだろう。
だがそのはずれ、人目につき辛いその一帯だけは異様な風が吹いていた。
西洋の騎士と東洋の武士の一団が獲物を手に対峙している。
数は同程度、士気も互いに充分なれど動く気配は無い。
騎士の一団を率いるは王冠を被りマントを翻して立っている石膏像。
対する武士側は彼らに埋もれるようにしてふんぞり返っている幼女。
自信満々の表情で無骨な武士に囲われている様はテレビドラマか何かの撮影みたいで。
■雛元ひより > 「ふっふっふ……なの。」
不敵な笑みを浮かべ折り紙の要領で作られた兜を落とさないよう手で支えながら眼前の騎士を見やる。
「いかに敵方がせいびょう揃いでもふたいてんの覚悟でいどむの!」
何か奮い立っていた。何か。
そんな幼女の覚悟に感化された武士達は鬨の声を上げているような動作をしている。
傍目どころかそこに参加していても奇怪な光景間違いなし。
そんな奇妙な戦が彼女の号令と共に幕が上がるのだ。
■雛元ひより > 先鋒を務める騎士と武者の獲物が激しくぶつかり合う。
金属同士がぶつかる甲高い音ではない非常に重たい接触音。
先鋒に続き後続がワッと押し寄せあっという間に乱戦状態にへともつれ込む。
槍で貫かれるものがあれば剣で両断されるものもある。
一部では取っ組み合いの大乱闘が繰り広げられ、関節技やプロレス技が飛び交う激しいものである。
戦は泥沼の様相を呈している。
■雛元ひより > そんな中を悠々と歩く幼女とその護衛。
事ここに至って致し方無し、戦の勝敗は一騎討ちにて決しよう。
そう言わんばかりの堂々とした姿勢で歩を進めた。
対する騎士の王も心意気や良しと同じく歩を進める。
泥沼の戦況は相変わらずだが戦の決着はすぐそこまで来ていた。
■雛元ひより > いつの間にかそこらしこで繰り広げられていたはずの大乱闘は収まっていて。
その輪の中心は言うまでも無く、両軍の頭。
二人は互いを見据え獲物を手にゆっくりと、円を描くようにして進む。
そんな彼らに手出しをする無粋者はおらず、その行く末を見定めんと固唾を呑んでいた。
一体どれくらいの刻が過ぎただろう。
一分。十分。もしかしたら数秒しか経っていないのかも知れない。
どちらからでもなく互いの足が止まり、獲物を構えた。
一撃必殺。はたまた乾坤一擲か。
相手を仕留めんとする意気込みだけが伝わってくるだろう。
「てーいっ!」
若干間抜けな掛け声と共に幼女と王はすれ違った。
■雛元ひより > 「……つまらぬものをきった、なの!」
えへー、と満面の笑みを浮かべ同時に王が崩れ落ちる。
これにて泥沼の戦は武士陣営の勝利で決着がついた。
「はー! 疲れたのー……。」
獲物であるピコピコハンマーを地面につき立て杖にしている幼女。
その周りで武士と騎士が後片付けをしている。
つかった場所は綺麗にしないとね!
暫くの間、撤収作業を行いちゃんとお片づけしてから彼らはどこかへと去っていった。
ご案内:「常世公園」から雛元ひよりさんが去りました。