2016/07/21 のログ
ご案内:「常世公園」にマリアさんが現れました。
■マリア > 先日,用心棒として働いていた店が公安委員による強制捜査を受けた。
その際に故あって駆けつけなかったマリアは,それ以降店に顔を出していない。
一切連絡を取らず,アパートも引き払って逃げ出してしまっていた。
結果的にとは言え裏切り者なのだから,店の皆に合わせる顔が無かったのが1つ。
そして,これ以上公安委員会と……特にあの少女と顔を合わせたくなかったのが1つ。
「……はぁ…。」
結果的にこの【少女】は身の回りのものを売り払った僅かな資金だけを持って,
こうして公園のブランコに揺られていた。
……なんというか、リストラされたサラリーマンの風情を醸し出している。
■マリア > 食べていくだけなら当分の蓄えはある。
審査を受けて寮に入れば安泰なのだが,【少女】にとってそれは極力避けたい道だった。
とは言え,そんなこの先の心配よりも,
今はむしろ居心地のよかった場所を失った喪失感の方が【少女】の表情を曇らせていた。
「あの辺のお店はもう,駄目かしら……。」
自分の魔女としての力が役に立つ場所が,他にあるのだろうか。
■マリア > 少女の落胆した表情そのままに,静かにブランコは揺れる。
夕日が傾いて,時刻は夕方から夜へと転じようとしていた。
この時間の公園は人通りも少なく,ブランコを誰かに譲る必要もない。
「…………………。」
くー。とお腹が鳴るまで,【少女】はブランコをこぎ続けていた。
いや,お腹が鳴ってしまってからも,【少女】はそのまま揺られていた。
焼き鳥の香りでも漂って来ればすぐに動くのだろうけれど,今は動き出す気になれなかった。
ご案内:「常世公園」に白泉椿丸さんが現れました。
■白泉椿丸 > 顔の半分を隠す、大きなサングラスをかけた男。
いや、男ではない。女……というか、オカマ。ガタイも身なりも良いオカマだ。
紙袋を脇に抱え、ちょっと下半身強化のための大きな回り道をしていたというところか。
夏はもうそこにいる。彼女はボディラインを晒すための準備に余念が無かった。
今年は絶対ピンクが来るはずよ……。
そう思いながら、オカマは公園を見渡す。
都市が夕闇に浸るこの時間帯は、季節を抜きにしても美しい―――
「……ンマッ、季節的に幽霊かしら」
ブランコに白い存在を確認した。してしまった。
■マリア > お腹がすいた。と,それを自覚しつつも動き出す気になれない。
視線はブランコと一緒に揺れて…その端に,人影をとらえる。
「……………?」
尤もここは公園なのだから,それ自体は珍しいことではないのだが…
…珍しいのはその人物の風貌というか,存在そのものである。
女性……だろうか。
確信が持てない。服装は確かに女性的だが……。
そんなことを考えていたらこっちを見て来たから,目があってしまった。
紅色の瞳が,貴方を真っ直ぐに見つめ返してくる。ブランコに揺れながら。
■白泉椿丸 > オカマはサングラスを目下へずらし、唇をすぼめた表情を浮かべる。
幽霊も魔族も、存在しているのが日常と化しているこの島だ。
幸いにもこのオカマはそういうものを何となく感じ取れるので、面倒な存在は筋肉でどっこいしょしてきた。
ただ、この白く浮かぶような見た目の――どっち?この子、どっち?
アタシの性別センサーはそこそこの精度を持ってるって自負してたけど、この子ったらどっちなのン?
男の子にしては華奢な肩周り…少女……というにはアタシのセンサーが素直に首を縦に振らない…。
これはゆゆしき事よ。アタシ、鈍ったのかしら。
幸い(?)視線が合っていることを良いことに、このオカマは大胆に、
そしてどこか美しく、ブランコの妖精(幽霊じゃなさそうネ)へ近づいてこう問いかけた。
「アナタ、ついてる?」