2016/07/22 のログ
マリア > 漕ぐのをやめたブランコは少しずつ勢いを失って,やがて完全に停止する。
お互いの視線は真っ直ぐと合ったまま…互いの内心に疑念を宿して。

……いや,【少女】の側の疑念は,そこは気づけよ!ってレベルのものではあったのだけれども。

「……ついてる?
 いえ,どちらかというと,今はついていないみたいですわ。
 働いていたお店もつぶれてしまいましたし…。」

……あ、これ多分違う。意味が伝わってない。

白泉椿丸 > 「えっアラやだ潰れ……って、ああ、ええ、ええ、お店。
 そうねェ、この業界のお店は普通のとこよりもちょっと特殊だからネ…」

一瞬潰されちゃったのかと思ったわァ。
何がとは言わないけど、大事な大事な……勲章ってヤツかしら…。
ともかく、落ち込んでいる生身の子というのは分かったわ。
近くで見ると、本当に妖精ちゃんみたいねェ。授業に出てる生徒だったら、すぐ分かりそうなものだけれど!

オカマは相手を見下ろしたまま、サングラスを外した。
紅い瞳とは対照的な緑色の瞳をぱちくりさせて、首を僅かに傾ける。

「それでアンニュイなお顔をしてたってとこかしらン?
 ………で、運のついてるついてないじゃなくって、アナタ、ついてるの?」

慰めるでもなく、しつこかった。

マリア > 貴方の緑色の瞳を見上げる……そこで【少女】はやっと気づいた。
この人、めちゃくちゃデカい。と。
声も相まって,きっと男性だろうという確信がやっと芽生えた。

「運じゃなくて……?」

次の瞬間,ハッとした顔になる。やっと,質問の意図に気付いた。
きっとこの人には“ついてる”んだろうし,自分にも“ついてる”んだろう。
何てことを面と向かって聞くんだろうかと,絶句する一方で,
一目でそれを看破した相手は他にも居たからか,弁解するつもりも無かった。

「…………………。」

けれど口に出すのも妙に恥ずかしいような気がして,
俯き気味に視線を落としながら,小さく,頷いて見せた。

白泉椿丸 > 夜に近いこの時間帯だから、堂々とできた質問だろうか。
いや、オカマは気持ちの良い朝でも聞いただろう。台風のさなかであっても聞いただろう。
ただ自分の疑問を解消するために、この可愛らしい反応をする白い子に確認をした。
結果はついていた。ついてたのだ。なにとはいわないがついてた。
アタシの勘もまだ…まだ大丈夫…!そう思いながら、フフッと爽やかに笑う。

「ごめんなさいネ、アタシほら、こういうなりをしてるものだから!
 ついつい自分の頭の中で引っかかるとネ、聞いちゃうのよォ」

ちょっと飛びぬけた挨拶だったかしら。
そうほざき抜かしながら、オカマはウフフと笑ったままだ。

「あまり学園の方では見かけない子よねン。最近きたの?」

マリア > 飛びぬけているにもほどがある。
ひょい,とブランコから飛び降りたが…身長が違い過ぎて,だいぶ見上げなくては視線が合わない。

「その……こんな恰好をしている私が悪いのかもしれないですけれど…
 …あんまり,口に出して聞くような事じゃないと思いますわ。」

そう釘を刺しておきながらも,表情はやや不安げだった。
一瞬で看破されたこともそうだが,それより貴方が何者なのか,一切分からない。

「えぇ…この世界に来たのは最近で…授業にはまだ,出ていないので。
 まずはお仕事を探そうと思っていたのですけれど……。」

その先の顛末は先ほどの通りである。

白泉椿丸 > 「ああ、それでお店がって話なのねェ~。
 アタシは学園で教師させてもらってる白泉椿丸(しらいずみ・つばきまる)って言うの。
 生徒が困ってるなら助けてあげたいのだケド……」

あ、ちなみに格好の問題じゃ無くて、アタシのセンサーの問題よ?と肩をすくめる。
そこまで言ってから、ほんの気持ち分だけ身をかがめた。

「仕事やバイト程度なら、異邦人街や学生街にも多くあると思うわン。
 最悪、寮へ申請をしても良いと思うけどォ―――あなたの場合はどっちの寮に行くべきか、アタシじゃ判断できないわネ」

マリア > 「教師……?」
失礼ながら“信じられない”って顔をしてしましました。
でもすぐに気を取り直して,

「すみません,私はマリア・フォン・シュピリシルドと申します。
 ……驚きましたよ,見破られたこともそうですが…いきなり,あんなふうに聞かれるなんて。」

教師と分かって,安心したのかも知れない。表情は緩み,声色も僅かに明るく変化した。
それからつづけられた言葉には……少しだけ,困ったような顔をして,

「寮は…私もちょっと難しいかなって。
 それと,私…その,よく募集が出てるお仕事とか経験が無くて……。
 用心棒というか…護衛みたいなお仕事は,やったことがあるのですけれど……。」

バイトなど難しいことではないのだが,踏み出す勇気が無いのだろう。
貴方を見上げる瞳は相変わらず,不安げな色を湛えていた。

白泉椿丸 > マリアの表情から警戒の色が薄れると、ニコッとした。
しかし、続けられた言葉にはこちらも眉をひそめて、どこか困ったように。
顔色のころころと変わる、忙しいオカマである。

名前の響きからすると、良いところの子に思えるケド…。
男の子でこの格好をしているのは、アタシと同じような感性の方向をしているのかしらン?
それとも、やむをえない事情からの女装なのか……ちょっと聞くのは悩んじゃうわァ。
股間に用心棒がついているか否かは、軽い気持ちで聞けるのに……。

「そ~よねェ~。寮で襲われても相手は選びたいわよねェ~。
 用心棒で気を張るよりは、給仕が楽だと思うけどォ…マリアちゃん、何歳?」

というか今泊まるところあるの?と、整えられた眉をますますひそめた。

マリア > 困った顔をされてしまえば,大丈夫です!大丈夫ですから!なんて笑って見せる。
心配されたくないのではない。
心配してもらえるのは素直にうれしいのだが,面倒と思われないかと不安だった。

「そういう事じゃないんですけれど…。
 でも実際,どっちに行っても,変な目で見られてしまうでしょうし。」

相手は選びたい,その言葉に思わず笑ってしまいながら。
実際,男子寮なら常に大変だし,女子寮であっても正体が知れれば大変だ。
……この人ほどの選別眼を持っている人物はそうそう居ないだろうけれど。

「給仕の仕事は…そうですわね,やってみれば,楽なのかもしれませんけど…
 ……あ,歳は今年で18になります。」

年齢相応とは言えない体格から,何を想像するかは貴方の自由だ。
アルビノであることも相まって,健康に成長しているようには見えないだろう。

泊まるところは……答えず,表情を曇らせるところをみるに,無いのだろう。

そう予想できるかもしれない。

白泉椿丸 > 「あらまあ、18歳だったのねェ。
 可愛い見た目をしているから、数百歳の種族かと思ってたわン」

マリアが通常の人間とそう変わりないならば、体格から見て取れるほの暗さはある。
が、椿丸はそれを明るくはぐらかすような言葉で濁した。
実際、何か楽しそうに笑っている。

「んっん、そーうぅーねェ~~…生活資金・住宅募集中。
 アタシの知ってる先は20歳以上が好ましい仕事場だから、パッと紹介はしてあげれないわァ…。
 こういう場所だし、品物が集中して入って来る数日間に、宿を貸して荷物運びの仕事…というのはあるけど」

どう?とマリアに問いかける。
用心棒をしたことがあるというのならば、そういう気持ちの部分は案外強いのかもしれない。
荷物運びだけでなく、配達物の大まかな品分けなどもあるはずだ。
それでも、話を通すのに最短で一晩かかってしまう。

一晩くらいは提供すべきかしらと考えながら。

マリア > 「そんなおばあちゃんじゃありませんよ…!」
楽しげに笑いながら,冗談交じりにそう返す。
ずっとこの姿で生きて来たこの“少年”からは,おばあちゃん,という言葉が自然に出た。

「え、え!?ちょっと待って下さい,大丈夫です,何とかなります。
 そんなご迷惑は掛けられませんし…!」

貴方の問いかけには反射的にそう答えたが,
瞳を見ればそれが上辺だけの提案でないことはすぐに分かった。
改めて,考え込み…

「荷物運び……ですか。
 あんまり,私みたいなのが歓迎される場所じゃないような気がしますけれど…。
 いえ,その……もし,住む場所とお仕事を頂けるのなら,本当にうれしいのですけれど……。」

歯切れは悪いが,仕事をする意欲はあるようだ。
尤も貴方の思考まで読めるわけではないから,まさかたった1晩で話がまとまるようなモノだとは思っていない。

それまでは,どこか,教会でも見つけて雨風をしのぐつもりだった。
少なくとも少年の生まれた世界では,それが可能だったのだろう。

白泉椿丸 > 生徒が困ってたら迷惑なんて言葉はくずかごへポイよ、と微笑む。

「あくまで数日間だから、仮の宿もいいとこになっちゃうわよォ。
 仕事の時間は集中してるから、空いた時間で不動産やお仕事の情報は集まるはず。
 アタシもここに帰って来てまだ日が浅いから、他の先生や生徒にも聞くのが一番だけどネ」

近くへ寄ってきた蚊を一匹、デコピンの風圧ですっ飛ばす。
お肌に赤くて痒い痕を残すおいたはダメダメなのである。
紙袋を持ち直し、背筋を正してマリアに

「…とりあえず、ここじゃあちょっと虫刺されで脚がボコボコになっちゃいそうだわ。
 マリアちゃんが良ければ、場所をうつしてちゃんとお話してみない?」

決して怪しい勧誘ではない。

マリア > 優しい微笑み…と言っていいのかは意見が分かれるところだろう。
けれどこの少年にとって,目の前の人物が心強い味方であることは間違いのない事実だった。
こっちにすっ飛んできた蚊を,ぺちん,と両手で叩いて撃退する。

「数日間でも,十分です…!
 私みたいなのじゃ足手まといになってしまうかもしれないですけれど……。」

とかくこの少年は自分に自信が無かった。
履修登録自体はしてあるのに,授業に出ないのも…中途からの参加では受け入れてもらえる自信が無かったからだ。
それ故に……

「……こうして先生とお話したのは初めてですし,お友達も,まだ居ないので。」

…人とのかかわりをもつことも苦手。
だからこそ逆に,傍から見れば妖しい勧誘でも,この少年は向けられた厚意に,過剰なまでに反応する。

「あ、すみません!私のせいで足止めしてしまって…!
 もしお時間が大丈夫でしたら……その,是非!!」

白泉椿丸 > 「運動ついでのお散歩だったから、そんなに気にしなくって大丈夫よォ~!
 ほらほら、異邦人街の方にでも行きましょ。一人で夕飯を済ますのもなって気持ちだったしネ」

小さく手招きをすると、椿丸は歩きはじめた。
一歩が大きいが、移動の速度は緩やかだ。30cm以上も体格差のあるマリアにあわせているのだろう。
街灯に光るオカマの網タイツは、どこか眩しく見えるかもしれない。

(農業区はいつでも人手不足でしょうけど、長期間で見るとマリアちゃんには難しいかもしれないわネ…。
 他の先生に聞くにも、バイト先を知ってそうな人………ねェ…)

ご案内:「常世公園」から白泉椿丸さんが去りました。
マリア > 「あ…お夕飯……!」

忘れていた空腹感が顔を出す。小さく可愛いお腹の音が鳴った。
聞かれたかな?なんて勘繰りつつ,少年は貴方についていく。

歩く速さも合わせてくれている。
そんな小さな心遣いが,少年にとってはこの上なく嬉しかった。

「異邦人街でしたら…東通りのカフェが,とっても美味しいパスタを出してくれるんです!」

ご案内:「常世公園」からマリアさんが去りました。