2016/10/15 のログ
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 金曜…否、土曜日に日付が変わって既に1時間弱。深夜の常世公園の自販機の前に独り立つ。
ゴソゴソ、と懐を漁って安っぽい簡素なデザインの財布を取り出す。小銭入れスペースから小銭を取り出し投入口へ。
「……もう、殆どホットに切り替わってるんだなぁ」
当たり前といえば当たり前か。死んだ魚じみた覇気がほぼ皆無の目で商品を一瞥し。
取りあえず、無難な所でホットの缶コーヒーを購入。カフェインを取ると眠気が無くなるが。
どうせ眠れないからこうして出歩いているのだからさして問題ではない。
■飛鷹与一 > 『ガコンッ』落ちてきた缶を取り出し口から取り出す……缶コーヒーではなく、隣のおしるこが出てきた。
それを覇気の無い死んだ眼差しで数秒眺め…ノロノロとした動作で何事も無かったかのように取り出した。
「……うん、まぁこういう事もあるか。不運だな。」
その一言で片付ける。怒りも嘆きもしない。こういう事もあるだろう、程度の感想。
ゆるり、とおしるこの缶を片手に周囲へと視線を向けて座れそうなベンチを探す。あまりこの公園に来た事が無い。
だから、ベンチの場所などの細かい位置関係はまだ把握しきれていないのだ。
■飛鷹与一 > 視線を彷徨わせれば、幾つかのベンチがボンヤリと公園に設置された街灯に照らされて見える。
が、そこまで歩くのも面倒臭いと諦めたのか、自販機の側面に寄り掛かるように。
背中を預けながら、プルタブを『プシッ』と開けておしるこを飲み始める。
「…甘ったるい。そういえば久々に飲むなおしるこって…。」
甘い物は嫌いではないが好きでもない。間違って出てきた物だから捨てるのも勿体無い。
それに、最近はすっかり秋らしく夜は気温が下がってきている。
体を温めるには問題ないだろう。と、いう事でちびりちびりとおしるこを飲みながら。
「…ああ、月曜は魔術講義のテストあったんだっけ。…実践でまたドヤされそうだなぁ」
覇気の無い視線が更に淀む。才能が無いのに魔術を学んで何の意味があるのだろう。
等と思っていてもしょうがないか。単位の為と割り切ろうか。
進学を真面目に考えている訳ではないが、本土に戻るのも島で適当に暮らすのもどちらもそれはそれで。
■飛鷹与一 > そして、ちびちびと何も考えずにダラダラと飲んでいたが味が甘ったる過ぎて飽きてきた。
まだ半分程度中身が残っているが…とはいえ、捨てるのも勿体無い。
手持ち無沙汰に中身がまだ入ったおしるこ缶を弄びながら
「土日か…バイト以外特にやる事も無いし」
やりたい事も同時に無い訳だが。変わらず覇気の無い死んだ眼差しを夜空へ向ける。
本土に居た時とそう変わらない星空だ。色々とおかしい島でもあるがそこは変わらない。
平凡に生き、凡庸に過ごし、何も誇らずに逝く。往々にして己はそんな人生なのだろうな、とか考えてみた。
…考えてもしょうがない、というかくだらない。先の事を考えてもその通りになる訳でもない。
残りのおしるこは、取りあえず敢えて一気に飲み干した……盛大に咽たが。
「ゴホッゴホッ、気管に…ケホッ、入った…」
■飛鷹与一 > やっぱり甘い物は程々が一番かもしれない。自販機の傍にあった空き缶専用のゴミ箱に缶を捨て。
「……さぁて、と」
一通り咽た後に軽く息を整えて。寄り掛かっていた自販機から背を離す。
周囲は静まり返り、自分以外に人っ子一人見当たらない。…この島の事だ。誰か息を潜めていても驚かないが。
「……考えたら、俺みたいな凡人にはここは場違いなのかもしれない」
かといって本土に戻る気も今は特に無いが。両親から怒られ、兄や妹から弄られるだけだ。
そう思う少年は気付いていない。自分の力の恐ろしさ…潜在的な危険性というものを。
力の気配すら無く、無能力者と変わらない今の自分が。周囲を徐々に蝕む猛毒だという考えすら無く。
■飛鷹与一 > そろそろ帰らないと、誰ぞに絡まれたりするとも限らない。
少々欠伸を噛み殺す。いい具合に眠気も訪れてきたようであるし。
「……帰ろう。」
誰に言うとも無く呟き、ダラダラとした足取りで常世公園を独り立ち去る凡庸な少年。
ご案内:「常世公園」から飛鷹与一さんが去りました。