2016/10/31 のログ
ご案内:「常世公園」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 「はろいん、でしたっけ…ここにも似たお祭りがあるんですね。」
少し親近感、とつぶやく。サヤの居た世界にも、収穫期の終わり頃に死霊に扮する行事が合った。
亡者節と呼ばれるもので、その日には死者が起き上がり、生前そのままに動き出すのだ。
その際生きている人間と気付かれると連れさらわれてしまうという言い伝えがある、実際にはそういったことが起きた記憶はないが、万が一ということもあって、皆死者や魔物の扮装をして過ごすのだ。
もちろん今日のサヤも扮装をしている、頭の上でぴょこんと立ち上がった耳と、腰辺りから垂れ下がった尻尾、どちらも黒い犬のもの。つまり獣人の扮装だ。今夜は新月なので人狼ではおかしい、細かいことだが重要だ。
そして石蒜が収集した情報によると、おかしを持ち歩いて、渡さないといたずらされてしまうらしい。
この世界でのいたずらがどういったものなのかわからない以上、迂闊にそれを受けるわけには行かない。
ここのところ部屋にこもりがちだったので、催しのある日ぐらいと思って出てきたが、やはり喧騒は苦手だ、公園の人通りの少ない所で長椅子に腰掛け、遠くから聞こえてくる音楽や人々の声に耳を傾けている。
■サヤ > 『とりっくおあとりーと!』
人通りが少ない場所なら出会わないと思っていたが迂闊だった。
おやつを求める子どもたちはまだおやつを持っている獲物を求めて探し回っているのだ。
仮装なのか自前なのかわからない異形の子どもたちに、サヤはすっかり手持ちのおかしを奪いつくされてしまった。
飴玉や羊羹ならまだしも、カリカリ梅や酢昆布までである。
もう渡せるものがない、ということは次また誰かに出遭った時が最後である。
サヤは迷った。やろうと思えばこのまま隠れ潜んだまま寮まで戻れるだろう、だがせっかくの催し物をそんな幕切れで終わらせていいものかどうか。
判断が付かず、ベンチに座ったまま途方にくれている。
■サヤ > 「……よし。」
決心する、いっそこのまま通りに出てみよう、と。
お菓子の補充も出来るし、何か面白いものでも見つかるかもしれない。
何より、今までの自分から少しは変わってみたいという欲求もあった。
ぎゅ、っと手を握って自分を奮い立たせると、大通りの方へとあるき始めた。
ご案内:「常世公園」からサヤさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に因幡幸子さんが現れました。
ご案内:「常世公園」から因幡幸子さんが去りました。