2017/04/08 のログ
ニコラス >  
(放課後の公園。
 ちゃりんちゃりんと自動販売機に硬貨を投げ入れ、コーヒーのボタンを押す。
 ガタゴトと音を立てて転がり出てきた缶を取り出し、それを持ってベンチへ向かう。
 こちらに来たばかりの頃はこんな大きな金属の箱から金属の塊が出てきて、その中に飲み物が詰まっているなんて信じられなかったけれど、すっかり慣れてしまった。
 元の世界に戻ったら色々不便だろうな、と考えながらベンチに座る。
 プルタブを開ければ、カシュ、と気持ちのいい音。
 学生登録をして初めての新年度だが、自身の学年は前年度と同じく一年生だ。
 まだ進級するほど学んでいないと言う理由での自己判断だけれど、そういうやつは結構居るらしい。)

腹減ったな。

(この後はバイトも何も無い。
 どこかでラーメンでも食べるか、それとも食べ歩きをするか。
 考えはするが実際に動くのがなんだか面倒で、ベンチでぼんやり。)

ご案内:「常世公園」にセシルさんが現れました。
セシル > 息を弾ませながら、街を走る。

風の気持ち良い季節になった。
というわけで、講義や警邏などの予定がない日は、野外での鍛錬に精を出しているセシルである。

走って、公園の中ほどまで入ってくると、止まった。

「………よし、今日はこんなものか」

動くには着込み過ぎ、重い荷物を腰にさげ過ぎ、だからだろうか。うっすらと汗をかき、額や頬に柔らかい髪を軽く貼付かせながら、満足げにそんな風に言って、運動を終えた後のストレッチ。
それが終えると、自販機の方に普通に歩み寄った。買うのは、スポーツドリンクだ。
何となく、ベンチの方に歩いて…

「ああ、先客がいたな。失礼した」

そう、先に座っていた少年とも、青年とも思しき風貌の青年に軽く詫びて、ベンチにすぐは座れない距離で止まる。
立ったまま、スポーツドリンクのペットボトルの蓋を開けて、一気に4分の1ほどを飲んでしまった。

「…このくらいの気候なら、鍛錬と言わずとも散策も悪くないな」

何となく、軽く笑ってそんな風に声をかけるセシルの声は、穏やかで優しいアルト。あまり、男性には聞こえない声だ。

ニコラス >  
(人の気配にそちらを見ると、風紀委員の制服。
 目立つものだが珍しいと言う訳ではなく、むしろ街を歩いていればそれなりの頻度で見かけるものだ。
 視線が向くのはその服装ではなく、腰に下げた物騒なモノ。
 物騒だが自身にとっては見慣れたそれは、なんとなく安心する光景だった。)

――あー、悪い。

(そうして近付いてきた彼女――見た目から男だと思っていたりするが――が立ったままなのに気付いて据わっている位置をずらす。
 よく考えたらベンチのど真ん中を独り占めしていた。)

もうすっかり春だよな。

(その言葉に同意する。
 もういい加減暖房も要らなくなる時期だ。
 散歩も良いだろうし、森で野営するのもよさそうである。)

セシル > 「いや、こちらこそすまない。気遣い、感謝する」

青年が座っている位置をずらせば、そう言って軽く頭を下げてから腰掛ける。
男のように見えるが、剣士として鍛えていると考えると、妙に線が細い。ベンチのスペースはさほど取らなかった。

「…ああ、春だな…私はこちらの春は二度目だが、故郷よりも、空気に水気を感じるように思うよ」

「走り込みをしていて、そこまで喉が涸れないから」と、穏やかなアルトの語り口で、柔らかく笑った。
鼻筋の通った、彫りの深い顔立ちではあるが、とりたてて男性的な印象はない。「中性的」という表現が、一番しっくり来るだろう。

ニコラス >  
(頭を下げられればいやいや、と手を軽く振って気にするなと。
 むしろ気が付かなかったこっちも悪いのだから。
 彼女が男性か女性かなんて気にもしておらず、線が細かろうが声が高かろうが関係ない。
 男の格好をしているから男なのだろうととても素直に勘違いをしている。)

あ、やっぱそっちもよその人?
俺の方はそんなかわんないかな。
こんなもんは無かったけど。

(剣をぶら下げているのでなんとなくそう思っていたのだが、その言葉からもそんな雰囲気が感じられた。
 こんなもん、と示すのは手に持った缶コーヒー。
 初めて見たときはどうやって飲むのかとしばらく考えたほどだ。)

セシル > 「おや…ということは貴殿もか。こちらに馴染む格好をしていたから判断がつかなかった」

相手も異邦人と知れば、何となく親近感を覚えて人の良さそうな、にっと横に口を大きく開いた笑顔になる。

「気候は…私の故郷は、四季こそあれどこちらよりずっと冷涼だったからな。水気…湿度というべきか、はその影響もあるんだろう。
…私も、これらはこちらに来て初めてだな。他にも色々、来たばかりの頃は色んな人に助けてもらった」

そう言って、スポーツドリンクのペットボトルを軽く振りながら朗らかに笑う。
善意に善意を返して社会の中にある、健全さを体現するかのような笑顔だった。

ニコラス >  
服はそんなかわんねーからな。
出来は雲泥だけど。

(一応今着ているものは、元々着ていたものに煮ているものをこちらで揃えた。
 作りがよくて丈夫でしかも安いと来れば買わない理由は無いだろう。)

俺んとこは水の国でさ。
水の精霊の加護があって、んでここって島だろ。
だから気候とか結構似てるんだよ。
まだ冬と春しかしらねーけど。

(世界が違うから細かい事は分からないが、空気の感じが似ているのは確かだ。
 夏がどうなるかは分からないけれど、そのお陰で違和感なく過ごしていられる。)

あー、俺も。
来たときすげー良い人に助けてもらってさ。
その人に会わなけりゃもっと大変だったと思う。

(その人物に限らず、異邦人におおむね好意的なこの島の住人には感謝しかない。)

セシル > 「ああ…確かに男物は、出来はともかく基本的な作りはさほど変わらないか。
女物は、私の故郷の感覚からすると足の露出が随分多いのだがな」

そんなことを言って苦笑い。
セシルを男だと思っている青年からすれば「目のやり場に困る」という意味に取れなくもなさそうだが、セシルは、こちらに来てから女物の服も多少見ているのだ。自分が、着るために。

「…ほう、水の国か…それは興味深いな。私達の故郷では、国が直接精霊の加護を受けるようなことはなかったから。

………しかし、そうか…貴殿は冬と春しか知らんのか………。」

青年の故郷のあり方や、それに基づく気候の話を聞けば興味深そうに目を細めて笑うが…「冬と春しか知らない」…つまり「夏を知らない」ことを示唆する発言には、露骨に表情を強張らせ、その身に纏う空気を重苦しくした。
…と、それを自覚してか、振り払うように笑い、

「………と、すまんな。
気候は決して厳しいわけではないし…それよりは、社会のあり方や生活を支える技術の方が、よほど馴染むのに苦労するな。
ここの住人はそういった者の案内をするのに慣れた者が多いようだし…違う世界に来てしまったのは問題だが、行き着いた場所がここだったのは、不幸中の幸いだったと思うよ」

そう言って、穏やかに頷いた。

ニコラス >  
あー、それは気候の違いで?
それとも文化的なやつかな。

(自身の故郷と比べても若干衣服の丈は短い者が多い気がする。
 とは言え目のやり場に困る――そう言う風に受け取った――ほどでは無い。
 そう言う目で見ないと言えば、嘘にはなるが。
 だって男の子だもん。)

国、つーより土地がだけどな。
加護受けてる土地は魔物が少ないから、そう言うとこに国とか集落とか出来やすいんだよ。

(あくまで精霊は自然の一部だ。
 国が直接加護を受けるわけではなく、土地に精霊の恩恵が当たるのだ。
 より正しく言うならば、精霊の縄張りに人が共生しているようなものである。
 そして春と秋しか知らないと苦そうに口にする様子には首を傾げたが。)

――はは、一応これでも旅人やってたから大抵の事は慣れてるよ。
そうだなぁ、最初は街の様子見ただけで圧倒されたの覚えてるわ。
慣れてるんだろうな、皆。

(灼熱の砂漠や極寒の雪原、鬱蒼とした密林。
 長く旅したわけではないが、それなりに経験は積んでいる。)

セシル > 「………両方、だろうな。気候が涼しければ露出の必然性は薄れるし…
………それに、こちらでは女性が活発に活動することは、当たり前のことのようだから」

「女性が活発に活動すること」について語るセシルは、少しだけ視線を落とす。
自分の生育歴と、こちらの環境を比較して思うところがあるが故の思案がちな表情だが…隣にいる青年には、どう映るか。

「ああ、土地か…それなら分からなくもないな。
流石に、共同体が丸ごと恩恵にあずかるのは難しかったが…私の故郷にも、そういった土地はなかったわけではないし」

青年の説明を聞いて、納得したように頷く。
そして、「大抵の事は慣れてる」ときっぱり言う青年を、目を大きく瞬かせてから見た後。

「…それは、逞しいな。
いや…こちらの夏は、私からすると魔術などの助けなしに乗り切るのが苦痛なほどだったものだから、つい」

そう言って、少しだけ情けない感じに笑みを零した。色素の薄さからイメージされるように、暑さには不慣れらしい。

「私からすれば、見慣れた材質でない建物こそあれど、街並みよりは夏の気候の方が、よほど驚きというか、衝撃という感じだったな。

…私はあまり活動の拠点にはしていないが、貴殿は異邦人街の方に足を運んだことはあるか?
あちらの街並みは、また趣が随分違うぞ」

「街より夏がやばい」旨の話をする辺り、セシルの出身世界は、青年のそれに比べると幾分文明が発展しているらしかった。
そして、何気ない調子で異邦人街について尋ねながら、スポーツドリンクをまた少し飲む。
学園地区の街並みに驚くのならば、そちらの中に馴染む場所はあるのだろうか、なんて考えて。

ニコラス >  
なるほどなぁ。
そっちの世界の女の子は随分生き辛そうだ。

(少なくともそのあたり、故郷はそこまでこちらと変わらない。
 それに慣れている身としては、そう言う環境は行き辛そうと思えた。
 なれて居なさそうな彼女には悪いと思ったけれど。)

そんな国ばっかりじゃないけどな。
少なくとも俺が育った街はそうだった。
――いやぁ逞しいっつーか慣れるしかなかったっつーか。
旅の相方が無茶苦茶するオジョウサマだったから。

(確かにそれだけ白ければ日差しは辛いだろう。
 一方こちらは旅をしている最中に異世界まで迷い込んだのだ。
 慣れることに関しては大したものだと自分でも思う。)

異邦人街、は言った事無いな。
行く用事は特に無いからなぁ、今まで忘れてたぐらいだ。

(故郷のような街並みもあるのだろうか。
 コーヒーを飲みながら、異邦人街があるだろう方角へ顔を向けて。)

セシル > 「何もしない、出来ないわけではないがな…私は、そちらの方にはあまり適性がなかった。だから、今もこうしている」

そう言って、わずかに陰を帯びた笑顔を浮かべる。
それは、自らに「男」ではなく、「女の欠格品」というラベルを貼っているかのようだった。

「…まあ、ここが多様であるように、貴殿の故郷も多様か。

………しかし、旅は道連れ世は情けとは言うが、貴殿は元の世界でも随分苦労したと見える」

「無茶苦茶するオジョウサマ」というのは、セシルのイメージにはない。男女で別の文化を生きるような社会の出身だから仕方ないのだが。
だからこそ、その想像も出来ない凄まじさを思い、それに付き合わされた青年に同情し…苦笑を零す。

「行く用事が特にない、という意味では私もさほど変わらんが…忘れていた、というのは凄いな」

くすりと、少しだけ笑って。

「色んな街並みがごった煮になった上で、独特のまとまり方をしているんだ。
もしかしたら馴染みのある光景も拝めるかも知れないし、親しんだ文化も見つけられるかも知れん。
1回くらいは、行っておいて損はないと思うぞ。…特に、我々のような境遇であればな」

そう、異邦人街の方角に視線を向ける青年に伝えた。

ニコラス >  
まぁ文字通り住む世界が――ん?

(そして違和感に気付く。
 今は女性の話をしていたような気がするのだが。
 なのに適性が無いなんて、まるで自分が女性のような――)

――いや、まぁ、苦労は人並みにはしてたけど。
そんな事より、あれ、あんた、え?

(まじまじと見る。
 確かにそう言われてみれば女性っぽいところもあるような気がする。
 と言うか手とかあんまり骨ばってないしそう考えた方がしっくり来るような気も。)

うん、まぁ、今度、行ってみる、よ。

(返事はするが話の内容が頭に入ってこない。
 今まで見ていたものが幻だったかのような顔でまじまじと顔を見る。)

セシル > 「…ああ、気付かなかったのか。
地声で喋っていたし、貴殿の方が背が高いから、誤解されることはないかと思ったが」

「すまんな」と、女性にしては低いが、決して太かったり強かったりはしないアルトの苦笑い。
中性的な、整った顔立ち。「男性」剣士としては、いささか細身過ぎるように見える身体。
剣を振り続けて出来たらしい節のある手は、それにしては厚みに乏しい。
胸は………まあ、目立たないが。

「…まあ、落ち着いたら行ってみると良い。この島の多様性の真髄が、そこでは華やかに展開しているからな」

まじまじと見られても物怖じせずに笑っている辺り、慣れているのか図太いのか。

「…と、せっかくだから名乗っておこうか。
セシル・ラフフェザーだ。この春で2年生になった」

「よろしく」と、相手の動揺をさらっと受け流して、穏やかに笑った。

ニコラス >  
――マジかよ。

(彼女が女性だったと言うより、それに気が付かなかった自分が信じられないと言うような顔。
 よくよく考えればそれとわかる要素は山ほどあったはずなのに。
 なんてこった。)

わかった……。
――ニコラス・アルヴィンだ。
一年の、二年目。
よろしく。

(うなだれたまま同意を示す。
 そのまま名前を名乗り、右手をひょいと差し出して握手を求める。
 さらりと受け流されているあたり、なんと言うか、上手だ。)

セシル > 「ニコラスだな、よろしく」

握手を求められれば、朗らかに、力強く応じる。
女性の握手と考えると少々荒いが、掌の大きさに男ほどの厳つさはない。
…そして、その掌には運動でかいた汗の湿り気が、まだ少しだけ残っていた。

「中途半端な時期に生徒登録をするとそういうことになるな…私も去年はそうだったから分かる。
あまり気負わず、学園に慣れていくと良い。

………それに、こちらでは誤解され慣れているから、「そちら」も気にしなくて良いぞ」

握手ついでに、学園生活について軽く励ましたり、誤解の件についてフォローを入れたりしながら、邪気のない笑顔をニコラスに向けていた。

ニコラス >  
(こちらの手はごつごつとした男の手。
 しかも掌の皮がかなり厚くなっている。
 猟師をしていた頃の名残だ。
 彼女の汗を掌に感じて、今更ながらにちょっと照れるが、軽く握って手を離した。)

流石に半年で次の学年、って訳には行かないからな。
――いやもうホントなんつーかすみませんでした。
つーかもっとかわいいカッコすれば良いのに。
よく見りゃ結構美人なのにさ、もったいない。

(誤解をしたから、と言うわけではなく。
 凛々しいと言う言葉が似合う表情とか、佇まいとか。
 かっこよさもあるけれど、女性と分かればそれは美人だと言う評価になる。
 何の気なしにそんな言葉をさらりと吐いた。)

セシル > 「いや、気にしなくて良いよ。風紀委員の職務の上では、「誤解」されたらそれはそれで有効活用しているくらいだからな」

相手の厳つい手と、相反するような握手の軽さ。
謝られて、気にしていないことをアピールして鷹揚に笑うも、握手が離れた後、どこか「あれ?」というような風情で、少しだけ不思議そうに目を瞬かせる。
「自分が」「女性として」「男性に」意識されるという事態を、頭の中からすぐに引き出せないのだ。
…が、流石に「よく見りゃ結構美人なのに」と言われれば、思い至った様子で困ったように笑い。

「そうは言ってもな…先ほども言ったろう?こちらの女物は、私からすれば足の露出が過ぎる、とな。
…それに、私は「こう」ある方が居心地が良いんだ。

誰のものにもならない、「幻想の」「王子様」である方がな」

自分で「王子様」と言って、笑みを朗らかに昇華する構図はなかなかナルシシズムが入っているが、崩れない物腰やら、誤解され慣れっぷりは「王子様」を自称するだけのものはあるらしいことを伺わせるだろう。

ニコラス >  
ま、確かに風紀委員ならその方が都合いいだろうけどさ。

(女性と言うだけで舐められる、と言うのはよくある話だ。
 ならばそれを使うと言うのは理にかなっている。
 理にかなっているのだけれど。)

――なんだ、やっぱアンタ結構女の子してるじゃないか。

(それでもその言葉を聞いて少し笑う。
 王子様なんて、男の考えじゃそう出てくるものじゃない。
 人によるのかもしれないが、少なくとも自分はそう感じたのだ。)

セシル > 「下手な諍いは、増えないに越したことはないからな」

腑に落ちない様子に見えるニコラスに、そう言って軽く笑ってみせる。
「結構女の子してる」という指摘にも、動じることはない。

「いや、元は剣士らしくあろうとしていただけなんだが、前の学校…元の世界で学んでいた学校でそんな他称がついてな。
「男装の」「王子様」なんて倒錯した立ち位置でいれば、浮いた話がなくとも一周回って自然だから、そのつもりでいることにしたんだ」

そう言って朗らかに笑うが…その言葉の意味するところは、その朗らかさとは裏腹の、他人を一定以上の距離に寄せない指針。

「…少々、話し込んでしまったな」

初対面の人間に、自分のあり方を語ってしまったばつの悪さからか、軽い苦笑いと共に残ったスポーツドリンクを飲み干し、ゴミ箱に放り込む。

「少し汗をかいたし…私は一旦シャワーを浴びに寮に戻るよ。
学園で会うことがあったらよろしく頼む」

そう言って、セシルはベンチから立ち上がった。

ニコラス >  
そらそうだ。
――よくわかんねーな。
それは前の学校の話だろ。
いきなり変えるってのも難しいだろうけど、こっちじゃそうする必要も無いと――いや、いいか。
他人の生き方にどうこう言えねーし、まだ会ったばっかでする話じゃない。

(なんとなく、それはあまり楽しい生き方じゃないと思った。
 少しだけ自分のお人好しが顔を出したが、すぐに引っ込める。
 言葉通り、まだなにも彼女の事を知らないのだから。)

おう。
また何かあったらよろしく、先輩。

(軽く手を上げてそう返す。
 彼女の方が先輩なのだ、頼る機会はこちらの方が多いだろう。)

セシル > 「そのままでいる必要もないが、変える必要があるわけでもないからな。
まあ、見ていてもやもやするならクレームくらいは受け付けよう。賛同して変わる保証までは出来んがな」

生きる上での楽しさは、剣と、野外を駆け回ること以外で追求することを諦めている。
そんな諦観の翳りを顔に出さず、セシルは穏やかに笑った。

「ああ…生活支援だとか、演習場の使い方なんかは指南出来ると思う。
…勉強は…内容によるかな」

そんな風に言って、少し悪戯っぽく笑うと、セシルは、制服に相応しい良い姿勢を保ったまま、公園を歩き去ったのだった。
その後ろ姿に動揺や気まずさが見えなかったのは、セシルの強さか、あるいは強がりか。

ご案内:「常世公園」からセシルさんが去りました。
ニコラス >  
(その言葉には返事を返さず。
 曖昧に笑って手を振った。
 そのまま彼女が見えなくなるまで見送って。)

色んな生き方、あるもんなぁ。

(なんとも言えない感覚を、そんな言葉で吐き出した。
 会ったばっかりで友達とも言えない様な関係だけれど。
 それでも、なんとか――なんて。
 お節介にも程があることは自覚している。)

――うし、メシ食って買えるか。

(そうしてコーヒーを飲み干し、ゴミ箱に投げ捨てて歩き出す。
 旨いラーメン屋があると聞いた。
 そこに寄って帰るとしよう。)

ご案内:「常世公園」からニコラスさんが去りました。