2017/07/31 のログ
和元月香 > 「まぁ、思春期だしね。仕方ない」

おっさんくさい一言を呟いてから言葉を一旦切る。
しゃくしゃくと子気味良い音を立ててコーンを齧り、言葉を続けた。

「...どうかな?
ここ、結構悪いやつってかよからぬ事考えてるやつ多いよ?
例え本人がまともぶってても、盛大に道外してるやつとかね。

でも、君の言いたいことは分かるよ。
この辺は平和すぎるもんね。

風紀は...どうだろ?私にもよく分からんです」

てかあんまり興味ないかも。
そう独りごちてから、月香は相手と同じような思考を巡らせていた。

「うん、分かる。
こう見えても私、結構否応なしにこう、退屈なんて無い世界に突き落とされた身だから余計にね!
まぁ、元々退屈は好きじゃなかったんだけど」


退屈は嫌いだ。
気が遠くなるような長い年月で一番気に入らない感覚。それが退屈。
賑やかな平和なら月香は構わない。
楽しいならそれでいい。
だけど、ありふれた日常なんて今更与えられてどうする。

自分の存在を否定するような退屈は、どうしても好きにはなれない。

そして、横目で見てきた少年には薄い笑を浮かべてこたえる。

「どんな祭りかによるなー。
私まだ君のことあんま知らないし。
大抵の祭りは楽しめる自信はあるけどね」

(だって苦痛を知らないからね!)

幡ヶ谷 赤志 > 「そりゃ怖い。ま、人の頭の中身は覗けないしね。
 でも、結構良からぬこと考えてたり、盛大に道を外してるやつがいるのに、
 今こういう状態っていうのは、逆にそれだけ安心ってことじゃないかな」

少女の言うように、似たようなことを考えている人間は存在するだろう。
ただ、それが表面に出ていない以上、何らかの抑止力が存在することは確かだ。
それが風紀なのか、それとも別の組織なのかは自分も同じようにわからない。

「へえ、俺ら、気が合うかもね」

意味も意図も意義もなくそう、まじりっけなしの適当さで呟く。

「んじゃ、それまでに深く知り合えることを祈ってよう。
 そのほうがきっと楽しくなるだろうしさ。何かするときに。
 でもまあ、誰が企画したものにしろ、祭りみたいなものが起こったらさ」

ベンチから立ち上がって振り返る。

「――楽しんだもん勝ちだと思うよな」

へらっ、と笑って手を振って帰っていった。

ご案内:「常世公園」から幡ヶ谷 赤志さんが去りました。
和元月香 > 「燻ってるって考え方もあるんじゃね?
まぁ、どうせ正義は勝つんだよ、秩序って正義が」

へらへら笑いながらそんな事を宣う。
混沌による楽しさは悪とみなされ、平穏な平和を望む正義に打ち倒される。
この世はどうせ多数決なのだから。

(沢山背負わせといて凄いことほざくよね、世界ってさ!)
笑顔のまま、月香は無意識に世界をディスった。

「かもね?」

からかうように笑う。
悪意も思惑も、それこそ何も無い笑顔だった。

「君と楽しいことをするにせよせんにせよ、君の事は個人的に気になるよ」

そう声をかけたのち、去っていく背中を無言で手を振って見送る。
そして、最後の一口を口の中に放り込んで、噛み砕く。

未練も寂しさも何も無い、綺麗で歪な笑顔が浮かぶ。
楽しげで無邪気な、年相応の明るい笑顔だ。


「それこそ、ここを壊すのだとしてもさ。
すっげー最高に楽しくなるなら、参加考えとく!」


そこに、未練も寂しさも、それこそ狂気すら無い。
だからこそその呟きはあまりにも不気味に、ぼとりと地面に落ちた。

ご案内:「常世公園」から和元月香さんが去りました。