2017/11/02 のログ
鈴ヶ森 綾 > 小さく手を振って彼の会釈に応える
一歩、二歩と歩を進めて距離を縮める
その足取りは心なしか、落ち葉踏みに興じていた時より上機嫌な様子だ

「…あら、一度お会いしただけなのに、よく覚えていらっしゃるんですね」
「今日は気分を変えてコンタクトなんです」

ぬけぬけと適当な返事を返し、また一歩
気がつけば互いの距離は身体一つ分という距離まで接近していた

「じゃあ…私があの時最後に言った言葉も、覚えてますか?」

小さく腰を曲げ、手を腰の辺りで後ろに組み
彼の顔を下から覗き込むような体勢で囁くように問いかける

ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 一歩、二歩と距離を縮めてくる彼女に合わせるようにこちらからも特に警戒せず歩み寄っていく。
彼女の足取りは何処か弾んでいる…ように思えた。あくまでそう思っただけで気のせいかもしれないが。

「…えーと、ハイ。一応、一度会った人の顔と名前はちゃんと覚えるようにしてますので。
そうじゃないと、次に会った時に失礼になってしまいそうですしね?」

基本生真面目なのもあり、そう返答をしつつもコンタクトという彼女の言葉に成る程、と相槌を。
…そして、こちらが足を止めても彼女がまた一歩と距離を詰めてくる。
自然、彼我の距離は何時の間にやら身体一つ分…流石に近過ぎないだろうか?

「…あ…あ~…えぇと、確か『今度会うときは別の場所で、もっと別の事でドキドキしましょう?』…でしたっけか」

一言一句覚えていたのか、そう暗唱するように口にしつつ…待て、この流れはおかしくないだろうか?と、自問自答。
気が少し緩んでいたのもあったが、ここに来て何かこの流れはマズいような、という警鐘が脳裏に木霊する。

ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 「まぁ、凄いんですね。私、人の顔と名前を覚えるのが苦手で…飛鷹さんの事は、凄く印象的だったので覚えていられたんですけど」

感心したように漏らした言葉はどこまで本気なのか
言い終えてから小さく口角持ち上げて見せて

「あら、そちらも、ちゃんと覚えててくれたんですね」

その返答に満足そうに顔を綻ばせる
花のような笑顔だが、どこか蠱惑的で、どこか毒を孕んでいるような

そうして傾かせていた上体を起こし、その両手を前へ
伸ばした手で彼の顎から頬にかけて触れようと、身体もさらに半歩、距離を詰めて近づこうとする

「でしたら…その言葉通りに」

ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
飛鷹与一 > 「……いや、それは無いと思いますが。俺はどちらかといえば地味なタイプですしねぇ」

うーん、とそこは困ったように、だが穏やかに否定する。とはいえ、彼女も何処まで本気の言葉かは分からないが。

「いや、最後にあんな爆弾発言置いて行かれるとそりゃインパクトありますからね?」

彼女の満足そうな顔に対し、こちらはまぁ何とも言えない笑みを浮かべるしかない。
…もっとも、その花のような笑顔に何か得体の知れないモノを少年なりに感じ取ってはいたが。

…気がついた時には、彼女の手がこちらの顎から頬に掛けて触れていた。身体も更に半歩、距離が縮まっており。

(……これは――)

艶っぽい話とは違う、今にも食われそうな得体の知れない不気味さ。
気のせいか、触れられた瞬間から少しずつだが何か抜けて行く気がする。

「鈴ヶ森…さん。自分のお体は大切にした方が…いいかと」

そう、口にするが多分そんな言葉はあまり意味を成さないものだとも何となく分かってはいたけれど。

ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 「あら謙遜。もっと自信を持ってもいいと思いますけど?」

戯言はそこまでに
逃げない彼の顔をしっかりと両手で包み、見つめ合う体勢になって

「…これぐらいじゃドキドキしませんか?」
「もしかして…経験豊富でいらっしゃる?」

意外と冷静そうな彼の顔をじっと覗き込んだまま
少しばかりからかうような調子でそう尋ねる

「大切に?…ふふっ、飛鷹さんは、本当にまじめでいい人なんですね」

左手の小指が彼の首筋を擽るように伝う
そのまま彼の言葉を無視して顔を近づけ、唇を重ねてしまおうと
それはつまり、肌の触れ合いより強力に精気を奪う行為

もちろん、身元が割れているのに無茶をするつもりはない
ほんの少し、少しばかり精気をいただく、それだけだ
余程の虚弱でなければこの後自分の足で帰るのに支障はないだろう

飛鷹与一 > 「…うーん、謙遜っていう訳ではないんですけど…」

困り笑い。あまり自分に自信を持つタイプではない。自意識過剰よりはマシではあるが。
…で、何時の間にか両手で顔をしっかり掴まれて見詰め合う形に。…何だこの状況は。

「…け、経験豊富という訳では…えぇ、ハイ」

ドキドキはしているし、経験も一応それなりにあるがそこはプライベート過ぎるので口に出来ない。
冷静そうに見えるのも、割と内心で混乱しそうなのを押し留めているだけ。
半ば、精神力頼みに近い所もあるのでうっかり決壊しないようにこれでも必死だ。

「そうですか?まぁ、真面目とかはよく言われますけ…ど…っ!?」

左手の小指がこちらの首筋を擽る。少しずつ少しずつ何か抜けて行く感覚。
それはまだ問題ない。…が、こちらの言葉を無視して唇を重ねられてしまった。

「……!?」

ごっそり、という程ではないが確実に何かを吸われているのをハッキリと今度は感じ取れた。
しかも、少年自身は気付いていないが精気という点では少年のソレはかなり上質だろう。
彼女が控えめに吸っただけでも、瑞々しい精気…濃いソレが彼女の中に流れ込んで行く。

…一方、こちらは流石に足腰が立たなくなる程ではないがこのまま吸われているとマズい、とは分かる。
なので、腕を伸ばして彼女の背中をトントンと軽く叩いてそろそろご勘弁を、という意思表示を。

鈴ヶ森 綾 > 「彼女さんの一人や二人、いらっしゃるんじゃないですか?」
「まぁ…どちらでも構わないのですけど」

単に唇を重ねるだけでなく、舌先を相手の唇に押し付けて強引に割り広げ
その口内、歯茎や歯列、濡れる舌にまで丹念に荒らし、舐り、足跡を刻んでゆく
その行為がエスカレートするのに比例するように相手が味わう虚脱感も大きくなってゆく

「んふっ……どうかなさいました?」

背中を叩かれる
ここらが頃合いか
味の良さもあって、あまり続けていると歯止めが効かなくなってしまう
その昂ぶりを証明するように、目の中に僅かに炎のような赤い情欲の色が混じる
顔を離し、薄っすらと笑みを浮かべて、異常な事など何もなかったように振る舞う

飛鷹与一 > 「…それ、質問してる意味が無いですよね…!?」

明確に彼女と呼べる人はまぁ勿論居ない訳だが、そこを口にすると悲しくなるので言わない事にする。
そもそも、彼女はそんなのお構いなしらしい。…これが肉食系女子というものなのだろうか?

しかも、ただの口付けだけかと思えば、舌先で唇を割り広げられて口内や歯列も鍛錬に貪られる。
段々と吸い取られる感覚が強まってきた…いや、こちらの身体の力が抜けてきているのか。
どちらにしろ、あと数分も続けられたら流石に少年も身体が崩れ落ちてしまうかもしれない。

「…ぷはっ…!…鈴ヶ森さん…そこで惚けるのは無しにしましょうよ…。
俺も、流石にそこまで鈍い訳では…ないので」

彼女の目の中に僅かに点る情欲の色には目敏く気付いていたし、何事も無かったかのような態度の彼女だが…。

「……まぁ、今は俺は風紀委員ではなくプライベートな時間なので…特に文句も何も無いですが…。」

明確に彼女の正体などが分かった訳ではないが、只者ではないのは理解した。
が、だからといって敵対的になる訳でもなければ別に露骨に態度を変える必要も無いと判断する。しかし…。

「……鈴ヶ森さん、あのままだともっと貪ってましたよね絶対」

背中を叩く余裕があって良かった。無かったらいろいろな意味で食べられていただろう。ほぼ確実に。

鈴ヶ森 綾 > 「いえ、そんな事はないわ?」
「もし彼女さんがいるのなら…ふふっ、やる事は同じでも、本質が違ってくるもの」

獲物を横取るというのは、想像するだけでも愉快な事だ
互いの顔が離れてからそう答えると、ころころと喉を鳴らし離れた唇を名残惜しそうに眺めた

「……そうね。そこは素直に謝っておきましょうか、ごめんなさい」

意外にもすんなりと謝罪の言葉を口にする
無論、精気を吸い取ったことに対する謝罪ではなく、相手の目を節穴扱いしたことに対してだが

「少しだけ精気を頂いたのよ。ちゃんと対価は支払った訳だし、構わないでしょう?…それとも、不足だったかしら?」

そう言って自分の唇に指で触れ
閉じられたその間から挑発するように舌先を覗かせる

飛鷹与一 > 「……ああ、何か段々と鈴ヶ森さんの性格が分かってきた気がしますよ俺…。」

彼女は居ない…が、気になる人は居る。今の時点ではそんな所だ。…が、そこを口にしたら色々とマズいので黙秘しておこう。

「……まぁ、この島は色んな種族の人が集う稀有な場所ですからね。
鈴ヶ森さんがどういう種族、なのかは分からないですけど…サキュバス、とかとは違う感じがしますし」

これでも多少は洞察力はある。ただ、露骨に嫌悪や敵対の感情を見せる事は無い。
別に彼女自体に悪感情がある訳でも無し。もっとも、己が仕事の時に彼女の本性と対面したら…さてどうなるやら。

「…と、いうか一応ここ公園なのでせめて場所!場所選んでくださいよ!
…ここで不足とか言ったら、それこそ今度は腰砕けになるまで吸われそうなんですが?」

まずツッコミはそこらしい。挑発するように舌先を覗かせる相手にジト目になり。

「…で、俺の精気の味は多少はお眼鏡に適いましたか?自分じゃそういうの分からないので」

そう質問しつつ、肩の力を抜くように溜息。今回はこれ以上彼女が何かする事は無さそうだ。
むしろ、されたとして抵抗できるか怪しい。悔しいが精気を吸われながらも口付けが気持ちよかったのは事実なのだ。そこは誤魔化せないのが悲しい所。

「鈴ヶ森さん…いや、もう綾さんでいいや。俺が言うのもアレですけど、風紀の面々に目をつけられないようにした方がいいですよ。
まぁ、言われるまでも無い事でしょうけど…」

鈴ヶ森 綾 > 「あら、この程度で女を理解したつもりになってると、その内痛い目を見るわよ?」

人間の、と付け加えたいところだが、まあ余計な事は言わないでおこう
種族に言及する相手にも胡乱に微笑むだけで言葉で答えることはしない

「最初の印象通り、活力に満ちていて、美味しかったわ」
「できればまだ付き合っていただけたら嬉しいのだけど…今度はもっと人気のない場所がいいのね?」

なんなら今からでも、と言わんばかりに、もう一度相手に向かって手をのばすような仕草を見せて

「…うん、良いわね。下の名前で呼ばれるのは久しぶり。ああ、心配はいらないわ。ちゃんと合意の上でやってるのだから…貴方だって、逃げようと思えば逃げられたわよね?」

女は本筋とはまったく別のところに感じ入っている様子で
相手の忠告にそのような事を嘯いて

最も、合意の上でというのは強ち嘘ではないが
その合意をどのように取っているか、その方法と結末は相手に知られるわけにいかない所だが

飛鷹与一 > 「流石にそこまで傲慢じゃないですって。むしろ女性を理解するなんて、それこそ一生を掛けないと無理なくらいに深いと思いますよ。」

割と本心だ。一朝一夕で女を理解するとかどんな男でも多分無理だろうな、というのが少年の見解。
当然、例外でなく自分も女性を知った気になっている程度という自覚も弁えもある。

「…うん?時計塔の出会いの時にそういう印象抱かれてたんですかね俺。
…別に付き合うのはいいですけど、日を改めて頂けるといいかな、と。あと、補足するなら死に直結しそうなレベルの吸精はご勘弁を」

と、言いつつゴソゴソとポケットを探り、取り出したメモを手を伸ばす仕草をしている彼女のその手にポンと乗せる。
中身はシンプル。この少年の連絡先というヤツだ。この時点で彼女に対する悪意とかは特に無い証明でもある。

「…そうなんですか?じゃあ綾さんで。俺の方もじゃあついでに名前でお願いします。
合意……ああ、まぁそうですけど。綾さん色々と含みがある言い回しだなぁ」

理解したつもりにはなっていない。自惚れては居ない。だが含みの多さはつまり裏がまだあるという事。
それを見越した上での少年はこの態度だ。馬鹿かある意味で大物なのか。勿論、少年も裏や考えが無い訳ではない。

(…まぁ、異能が死を捻じ曲げるから綾さんに殺される事だけは無いだろうけどそこは伏せておこう)

鈴ヶ森 綾 > 「若くて、健康的で、あぁ、見た目もそれなりには重視してるわ。そういう子は大抵ハズレがないものよ」
「安心しなさい、そういうのは私も本意ではないから」

この一言は珍しく本音だ
そうする必要がないのなら、しないにこしたことはない。

「…ん?これは…あぁ…じゃあ、後でこちらから連絡するわ」

不意に渡されたメモ書きに目を走らせ、小さく頷くとそれをポケットにしまい込んだ

「この島に来てからは忙しくて、中々交友関係を広げる余裕がなかったのよ。ま、とにかくよろしくね、与一君」

先ほどとは随分様変わりした調子で受け答えをすると、最後に小さく手を掲げる
それが別れの挨拶に、先程まで自分が向かっていた方向へ、相手とすれ違う形で歩き出す

飛鷹与一 > 「…ああ、つまり一応俺は「当たり」認定な訳ですか。と、それは良かったです」

彼女の真意や底はまだまだ知れないが、本意ではない、というその一言の部分は信じられる気がした。何となくだが。

「ええ、綾さんにも色々と思惑はあるんでしょうが、交友関係は広げておいてお互い損は無いかと」

別に、そういう方面目当てという訳ではなく、少年としては彼女がどういう存在なのか興味はある。
好奇心が猫を殺す、ような事だけにはならないようにしようと自分はしっかり戒めるけれど。

「ハイ、連絡は何時でもどうぞ。ええ、こちらこそ改めてよろしくお願いします綾さん」

先ほどと随分と口調も態度も変わった気がするが、それはそれ。こちらも軽く会釈をしてから彼女とすれ違い。

「…うーん、物理的に食べられないようにはしないと」

『師匠』に変な迷惑や影響が出ないようには気をつけよう、と思いつつ少年も進行方向へと歩き出し公園を後にするのだった。

ご案内:「常世公園」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から飛鷹与一さんが去りました。