2017/11/07 のログ
ご案内:「常世公園」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 本日は立冬
暦の上では冬の始まりということになるのだが
未だ日中の温もりが完全には引ききらず、冬と呼ぶには暖かな夜だった
そんな夜の公園で女が一人、時折低く唸る自販機横のベンチに腰掛け
御簾のような薄雲越しに見える欠けた月を退屈そうに見上げている
「せめてもう少し整っていれば、ね…」
少しは気晴らしになったと、最後までは口にしない
今日はこれといって何事も起こらず、一日が終わろうとしている
その退屈さを紛らわすには、見上げた月は些か歪で、まるで今の自分のようではないか
ご案内:「常世公園」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 立冬の夜。去年の同じ日は確か気温が低かった。
でも今年は違うようで、去年に比べるといくらか温かい気がする。
とはいえ、故郷が雪国なので去年も今年も本国に比べればかなり暖かいのだが。
そんなことを考えながら公園に向かっていると、
月と自販機の灯りにうっすらと照らされて、人影が見えた。
「あ、どうしよう…帰ろうかな……」
人影に気づけば足を止めて、公園に行くことを躊躇う。
もともと気分転換に散歩程度で出歩いていたのだ。無理に公園に行く理由はない。
しかし、この距離まで来て引き返すというのもなんだか気まずい。
そんな感情に板挟みされて、立ち止まってしまった>
■鈴ヶ森 綾 > そんな風に逡巡している少女の姿に気づいているのかいないのか
女は退屈な月見を続けていた
その時、ふとした拍子にベンチの上を滑らせた指が何かに触れた
視線をやると褐色の身体を持つ小さな蜘蛛が一匹、指の近くをうろついてる
「なあにお前は、こんな所で。迷子にでもなったのかしら?」
その言葉はベンチの上の小さな同族に向けたものだが
あたかも立ち尽くす少女に向けられたかのように聞こえてしまう事だろう
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「えっ…いえ、迷子とかではないんですけど……
その、邪魔かなぁって…」
迷子に手もなったのか。
唐突にそんなことを口走る彼女の声を聴いて、それを自分に向けられたものだと誤解してしまう。
そんな誤解を抱えてしまうと、やや慌てた風にして弁明する。
人に会うのが嫌だったとか、誰かいるなんて思わなかったとか、
そう言った本心は心のうちにしまって。>
■鈴ヶ森 綾 > 「あら?……ふふっ」
思いがけず帰ってきた言葉に視線を上げる
その先に気まずそうに佇む少女の姿を認め、思わず小さく笑い声を漏らす
「ごめんなさい、貴方に言ったわけではないのよ。勘違いさせてしまったわね。
邪魔だなんて事はないわ、少し空を眺めていただけだから……よければ、どうぞ?」
気がつけば蜘蛛は何処かへ消えてしまった
ベンチの真ん中から少しばかり横にずれ、その空いたスペースに着席を促すように手で指し示した
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「…?
私に言ったんじゃないって……あっ」
じゃあ誰に?
そんな疑問が浮かぶより先に、自分が勘違いして、勝手に応答していたことに気づく。
それに気づいたとたん、とても恥ずかしくなって言葉に詰まってしまった。
「えっと、じゃあ、失礼します」
しかし彼女はそんな勘違いなど気にしていない風で、席をあけてくれる。
彼女がだれと話していたのかという疑問は、すっかり消え去ってしまった。
席をあけてもらえば、それを無下にするのも心苦しく感じて、促されるままに隣に腰を下ろして>