2017/12/15 のログ
ご案内:「常世公園」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 道の両側に背の高い木が並び立つ公園内の道。
ここはまだ清掃が追いついていないようで、地面は舞い落ちた枯れ葉で埋め尽くされている。
一歩踏み出す毎に足元で乾いた音が鳴り、静まり返った夜の公園にその音だけが小さく響いた。

本格的な冬が到来して暫く経つが、今夜は特に冷え込む。
コートのポケットに突っ込んだ手も指先が氷のように冷たくなって、とても外に出す気にはなれない。

鈴ヶ森 綾 > 夜の散歩には少々酷な季節だ。
もう少し防寒具を揃えるべきだろうか、そんな事をぼんやりと考えながら、足を止めずに天を仰ぐ。
葉のない梢の先には星明かりがよく見える。

「オリオン…おおいぬ…こいぬ…双子…。」

そこから見える星座の名前等をとりとめなく口に出しながら進む。
相変わらず人の気配は無い。
だから、視線を下げたのも、落ち葉の上に乗った小さなそれを見つけたのも、ほんの偶然だった。

八本の足を持つ虫の死骸。
黄色と黒の二色に、胴体の部分の鮮やかな赤。自分もよく知るその姿は、足先からほんの数センチのところで息絶えていた。

ご案内:「常世公園」に岡崎燐太郎さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 自分は既にあれとは違うもの。
そもそも同族意識等、そうなる以前から希薄なものだ。

そのはずだが、不思議とそれを無視して止めた歩みを再開する気になれなかった。
その場にしゃがみ込み、すくい取るようにしてその亡骸を手のひらに乗せる。

「……あぁ、そうね。きっと冬の寒さのせいね。」

自分自身の不可解な行動を適当に結論づけると、小さな柵を乗り越えて木が並び立つ場所に足を踏み入れる。
そうして再びしゃがみ込むと、柔らかい土の地面を素手で掘り返し、
亡骸をその穴に葬ると手合わせて暫くの間目を閉じた。