2018/02/27 のログ
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「私にはそんな風に見えましたけどね。
 なら、私は心配しないで隣にいます」

あくまで食い下がるようなことはしなかった。
彼女が自分で明かしてくれるのを待とうと思った。
そして自分の顔をほぐしていた彼女の手がゆっくりと下ろされて、
私の手の上に重なるのを感じれば、そのまま少し強引に指を絡めていく。
あくまでも無言で。

「そうですね。街の明かりから遠いところなら、
 もっとよく見えるかもしれませんね。
 私は訓練の帰りです。異能の方を使った訓練で暑かったので涼むために」

そういえば上着の中に隠していた尻尾を、彼女の腰に回してみて>

鈴ヶ森 綾 > 「……あぁ、ダメね。
 少し頭が痛くて休んでいたの。これは本当よ。」

あらゆる事に嘘を重ねて生きている自分が、
彼女の前ではどうも普段のように振る舞う事ができない。
多すぎる隠し事からくる後ろめたさから逃れようと、短くそう告げる。

「もう少し暖かくなったら、どこか…あっ、でもその前に桜の季節がくるわね。
 どうかしたら、二人でお花見でも。この公園にも桜は多いようだし、近場だからゆっくりできるわ。」

そうして互いの手が繋がると、嬉しそうに目尻を下げる。
先程までの険のある表情はもうどこにも無く、そこから伝わる体温を素直に喜んでいるように見えるはずで。

「訓練?遅くまで熱心なのね。…あら、これは…。」

腰の辺りの奇妙な感触にぐるりと首を回し、背後を確認しようとする。
そこにあるフサフサとした尻尾の存在に気が付き、繋いでいるのとは反対の手でそれ軽く撫でようとする。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ふふ、私といると調子が狂いますか?
 頭痛……寒さのせいですかね?」

折れたように話をする彼女をみて、笑みがこぼれた。
きっと彼女がこんな表所を見せる相手は、そう多くはないということを何となく理解しているから。
頭痛の原因は寒さだろうか、それとも何か別の原因だろうか。
ちょっと不安そうに考えを巡らせるが、おそらく彼女本人が一番理由を理解しているのだろう。

「桜の季節の前にホワイトデーですねぇ。
 お互いやりたいことや行きたい場所が山々で、今から楽しみです」

桜の話に胸を躍らせながら、絡めた指にお互いの体温を感じてほほ笑む。
魔術を使わずとも笑えるというのは、こんなにも素晴らしいのか。と。

「ええ、最近能力の方は全く使う機会がなかったもので。
 感覚を戻すためにも。
 えへへ、耳と同じで根本は敏感なので、触るなら根本以外でお願いしますよ?」

彼女が尻尾に気付けば、一言注意。
根本さえ触られなければどうということはないので、
初めから触ってもらうつもりで上着から出したのだ。
我ながら触り心地は最高なのだ>

鈴ヶ森 綾 > 「ええ、とっても。
 ん…まぁ、この季節にはたまにある事だから、そうなんでしょうね。」

すんなりと同意してみせるが、そこに不快そうな様子は一切無い。
原因について言及されると少し言い淀むが、それは隠そうとしているというよりは、
自分でも完全に掴みきれていない事を話す曖昧さの色が濃く出ていた。

「大丈夫、それも忘れていないわ。貰ったからにはきちんとお返しするわよ。
 今度はまた私の部屋に来てもらおうかしら。」

寒空の下で冷えていた手が、彼女から貰った体温と、内から湧いてくる熱に暖められていく。
目を細めてその心地よさに浸り、うっとりと吐息を漏らす。
少し手に力を込め、手だけでなく体もより触れ合うようにと身を寄せた。

「そう、根本以外ね。」

指を毛並みの中に潜らせると暖かく、もふもふとした感触も指を楽しませてくる。
彼女の言葉には悪戯心が沸かないではないが、さすがに手が届かない。
しかしその分を埋め合わせようするように執拗に尻尾を右に左にといじり倒していく。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「私は綾さんといると本調子ですけどね
 息もとしての特性なんですかね」

蜘蛛。彼女の本来の姿。それゆえ寒さが苦手。
自身も狐の特性が身体に出ることはある。
そう考えれば仕方のないことなのかとも思う

「私もお返し考えないとですね。
 何かリクエストとかあれば言ってくださいよ?
 どうにも最近はチョコに限らないらしいですから。
 じゃあ、今度は綾さんの部屋にお邪魔しますね!」

彼女がより体を寄せてくると、
上着越しだというのにお互いの体温を感じるようで心地よかった。
それに応えるようにこちらも体を寄せて。

「な、なんていうか、ちょっとその言い方と触り方は色々と含みがありませんか?」

触らせるつもりで出した尻尾ではあるが、
どうにも想像していた触られ方と違う。
もっとこう、なでるような、毛の流れに沿った触られ方を想像していたのだが、
彼女の手つきはそれとは程遠く、肌に近い、潜り込んだ位置を執拗に触ってくる。
慣れない感覚に身もだえするが、
ここで反応すれば彼女の手つきはエスカレートすると思って我慢する>

鈴ヶ森 綾 > 「そうなの?だとしたら、嬉しいわ。そう…。
 …でも、この冬はいつもより酷い気がするわ。…まぁ、この一年は色々あったから、それも無理ない事かも。」

相手の言葉をしみじみと噛みしめるように呟く。

この島に渡る事になった経緯、学園での生活、狩猟者としての生活、様々な人との出会い。
とりわけ目の前の少女との出会いが、自分の中に大きな変化をもたらしたのは間違いない。

「あら、根本以外なら好きにして良いという風に聞こえたのだけど…違ったかしら?」

くすくすと笑いながら尻尾の芯とでも言うべき部分を擽るように撫でたりと、やりたい放題にしながらも、
最後は彼女が予想していたような触り方に落ち着いていく。

「リクエスト…じゃあ、ホワイトデーのお返しを、今貰うというのはダメかしら。」

握っていた手をするりと放し、彼女の顎から頬にかけて添えるように触れて顔を自分の方に向けさせる。
そしてこちらも同様に顔を相手の方へ向けて、互いに向き合わせる形にする。
それから緩慢な動きで顔を近づけ、その反応を見守る。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「いろいろ……きっとまだ疲れているんですよ。
 この島に来てから、ゆっくり休めてます?」

この島に来たのは、自分より後だと言っていた。
彼女がどういう経緯でこの島に来たのか、その詳細は分からないが、
きっと苦労もあったのだろう。

「す、好きにしていいとは言ってないですよ……
 いや、まさかそんな触り方するなんて思ってませんでしたし……」

弄ぶような触り方に体を震わせてしまうも、
ようやく予想していた通りの触り方になってくれた。
それでも、尻尾に残された彼女の手の感覚はムズムズと形容しがたい形を残している。

「え、今ですか?とはいっても、私今持ち合わせが……」

お返しを今。そう言われると慌てたように財布を確認しようとするが、
すぐにそういうことではないと察した。
彼女にこんな風にされるのは何度目だろう。
それでも、今までのものとは違う雰囲気に、慌てることもできないまま見つめて>

鈴ヶ森 綾 > 「…ここは居心地が良い所も悪い所も多すぎて、なんとも言えないわね。
 たまに人恋しく感じる事はあるかしら。」

今の自分は巣を張らずに放浪しているも同然で、それは心休まる状態とはいえない。
精神的に不安定だった原因の一端はそこにあるのだが、
彼女といると気持ちが安らぐのはそれとはまた別種の心情が影響しているように思えた。
頭痛の原因は、まさにそこにあった。

「ふふっ、それは申し訳ない事をしたわ。じゃあ、こんな感じ?」

さわさわと優しい手つきで尻尾を撫で続け、
ひとしきり遊び尽くしてからようやく尻尾を解放する。

「ほら、目を閉じて…。」

至近距離で見つめ合った状態で一旦動きを止めると、唇が小さく動いて囁く。
そのまま唇が重なるかと思われたが、突き出された唇はふいと目標を逸れ、
相手の頬、唇の端を掠めるような場所に口付け、直後に顔が離れる。

「なら、今日の所は半分だけ…残りはホワイトデー当日に貰おうかしら…なんて。」

冗談とも本気とも取れる口調でそう言うと、唇の間から小さく舌を覗かせる。
そのままベンチから立ち上がると小さく伸びをし、帰りましょうと相手に目で促す。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「まぁ、いろいろな人が集まりますから…
 ふふふ、綾さんもそんなこと思う時があるんですね」

なら、私が恋人にでもなりますか?
なんて言って見せる。冗談とも、本気ともとれる発言を、彼女はどう解釈するだろう。

「そうですそうです。そういうのを期待していたんですよ」

彼女の尻尾を触る手つきが、弄ぶような動きからやさしいものに変わると、
安心したような声を漏らす。
そして目を閉じるように指示されて、そこでやっと自分が置かれている状況を正しく呑み込んだ。
途端に鼓動が早くなって、目をそらしたくなるが、それはできなかった。
言われた通り目を閉じて、あとはなる様になれと体を預けるが――
彼女の唇は私の頬に触れた。

「あれ…?え?
 も、もう!せっかく覚悟を決めたのに!」

彼女が舌を出すのを見ると、薄暗い公園でもわかるほどに顔を真っ赤に染めて、
悔しそうに地団駄を踏む。
ホワイトデー、覚悟してくださいよ!
そう言って立ち上がる彼女に続くように公園を後にする。
怒りはしたが、ホワイトデーが特別な意味を持ったという意味で、
楽しみが一つできて、まんざらでもなさそうであった>

ご案内:「常世公園」からラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。