2018/04/16 のログ
ご案内:「常世公園」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
鈴ヶ森 綾 > 半月前の狂騒はどこへやら、今の夜の公園は嘘のように静まり返っている。
桜の木々は花びらを全て落とし、青々とした緑に覆われて初夏の訪れに備えているようだ。

「静かなのは良いけれど…。」

葉桜はそれはそれで趣もあるが、やはり満開のそれとは比べるべくもない。
両脇に木が並び立つ小道をゆっくりとした足取りで歩きながらポツリと呟く。

鈴ヶ森 綾 > とは言え、街中でこうも緑に溢れた場所はそう多くない。
計画的に作られたこの街であっても、このような場所は貴重だ。
未だ暖かさの残る夜の空気を胸に吸い込み、土を踏みしめる音を小さく響かせて歩き続ける。

ふと、見上げた厚く枝葉が重なる梢の隙間から空が覗く。
生憎と今日は新月、月の無い夜だ。
星のほんの僅かな明かりだけが覗くそこからすぐに視線を外すと、
少し感じる暑苦しさに一端足を止め、胸元のリボンを緩めて外す。

鈴ヶ森 綾 > 「……少し、暑いわね。」

外気を取り込もうと襟を引っ張ってパタパタと動かす。
しかし湿気を伴った空気はさして状況を改善はしてくれなかった。

止まっていた足の動きを再開させると、先程より幾ばくか速い速度で歩き出す。
目指すのは記憶にある限りもっとも近くの自動販売機。
桜の並木を抜けてそこへたどり着くと、数枚の硬貨を投入して購入可能になった赤い光の点灯を確認し、
並んだボタンの列の上に指を滑らせる。

鈴ヶ森 綾 > 幾つものボタンの中から一つ選んで押すと、自販機は音を立てて選ばれた商品を取り出し口に吐き出す。
転がり出てきたお茶のペットボトルを取り出すと栓を開けてまずは一口。
冷えたお茶で僅かばかり涼を取るとふぅ、と満足そうにため息を一つ。
そうしてお茶のボトルを手にしたまま自販機の前から再びあるき出し、散策を再開させた。

ご案内:「常世公園」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。