2016/02/07 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 身体中がひりひりと疼いていた。

昨晩、闘技場で常人ならば骨も残らぬ炎に灼かれて、昨日の今日。
帰りに立ち寄った銭湯の湯を沸騰させかけ、冷却シートは三箱使い切って全く足りず、
真冬というのにフルパワーで動かした冷房は尚も温かった。

そして、寝苦しい夜を耐え忍んだ日曜日。

居心地の悪さに外を歩き回った末の、寒風吹きすさぶ冬のテラス席である。
鼻や頬や額に、絆創膏や湿布や冷却シートを貼り付けた様相で、きんきんに冷えたアイスティーを飲んでいた。

ケロイドの凹凸は既に落ち着いて、薄らと赤みを残すばかりにまで引いている。だが、灼かれたあとの熱が引かない。
普段は死人のように青褪めた顔はどことなく血色が良く見え、肌は生物らしい温度を保っている。
体内の骨――文字通りの鉄骨が熱を帯びているためなのだが、実際ヨキには大問題であった。

「……体温を持つというのは、こんなにも暑苦しいものだったか」

人間の姿を得て以来久しく忘れていた心地に、眉を顰めた。

ヨキ > こちらワッフルのバニラアイス添えでございます、と運ばれてきたデザートの皿を、にっこりと笑って迎える。
様々な種族が跋扈する常世島のこと、店員はわざわざ寒空の下でアイスを食べる客に妙な顔ひとつしなかった。

「いただきます」

手を合わせ、フォークやナイフを取る。肌に触れたカトラリーが、ゆっくりと熱を持つ。
生きた人間ならば当然の現象だが、それひとつとってもヨキには珍しいことだった。
切り分けたワッフルとアイスにハチミツをたっぷりと絡ませて、大口で頬張る。
んまい、と染み入るような顔で、くしゃくしゃの笑い皺を寄せた。