2016/02/12 のログ
■美澄 蘭 > 「………♪」
ティーカップを手に取り、シナモンと林檎の香りのハーモニーを楽しんでから、口を付ける。
それから、チョコレートケーキをフォークで小さく切って、添えられた生クリームをのせて一口。
「………美味しい………♪」
人並みの女子らしく、甘いものは普通に好きな蘭だった。
■美澄 蘭 > チョコレートケーキは美味しいが…いや、美味しいからこそ、バレンタインの事が時折頭を掠めてしまう。
(…「義理」のイメージほど盛大に配れるほどは、流石に知り合いいないし…
そんな状態で渡しても、ちょっと重いかなー…)
授業の履修についてかなり自由があり、「クラス」というものの縛りが希薄だからこそ、蘭はこの学園生活で、楽しく勉学に、魔術にと邁進していた。
それは、蘭にとっては間違いなく利点だったが…一方、履修する授業の選び方が少々独特だった蘭は、同年代の同級生からかなり遊離してしまった感があった。
■美澄 蘭 > 「………今年は、特になくていいかな………」
小さく切ったチョコレートケーキを口に運んで、ぽつりと。
清楚を通り越して、若干枯れてる感すらあった。
えいやっと思い切ってしまえば後は早いもので、頭をさっきまでの魔術の訓練に切り替える。
(コツを掴めれば、同じ元素を使った二重詠唱は何とかなるみたいね)
異なる属性を1つの術式で同時に扱うのは難しいと学んだので、基本の四元素以外の魔球魔術の二重詠唱を試したのだが、これは思いのほか難しくなかった。
雷の魔球も、制御優先での発動に大分慣れていたのが大きかっただろう。
(…テストも近いし…魔術の実技練習はしばらくは最低限で良いかしら。
実技試験の内容は大体クリア出来てるから、後は忘れないようにすれば…)
そんな事を考えながら、ティーカップに口を付ける。
そして、再び古典基礎のノートを開いた。
■美澄 蘭 > 名に「基礎」とついてはいるものの、蘭の受講している古典基礎は「高校基礎〜標準レベルの古典の知識を修めた者」を対象にしている授業である。
文法はざざっと確認して、どちらかというと古典常識とか、「文学としての」意義とか、そういう話が中心だ。
それでも、試験ではそれなりに文法「も」確認される。
前期は知識不足の中無理矢理飛び込む形だったため、蘭の古典基礎の成績はそこまで振るわなかった。後期で、その分を取り戻さなくてはならない。
文法学習用のノートに加えて、古典常識・文学論用のノートも取り出し…更に、自習用のノートと筆記用具も出して、本格的な勉強に入る。
甘いものと温かいものを補給して、魔術訓練の疲れが本格的に抜けたのだろう。
■美澄 蘭 > (ここの助動詞の意味はこれで…
この敬語は尊敬語だから、敬意の方向は…)
そんなことを考えながらノートの内容をシャープペンシルの先で辿っていく。
文法上気になるポイントや、文学史の知識で特に注意したいと思った点は、そのまま自習用ノートに書き写す。
文学史の人物説明などを書き写す場合も、そのまま。
細切れのキーワードで覚えようとするよりは、意味付けをした方が蘭にとっては覚えやすいのだ。
合間合間に、残ったケーキや紅茶に手を伸ばしながら、古典基礎の復習を進めていく。
■美澄 蘭 > 「…よし、今日はこんなところね」
紅茶もケーキもなくなって、少し経ったところで古典基礎のノートを閉じる。
元々魔術訓練の後は勉強に身が入らない事が多いので、その割には頑張れた方だと思う事にした。お茶とケーキも美味しかったし(これは勉強には直接の関係はないが)。
勉強道具をまとめて、ブリーフケースにしまうと、ブリーフケースの下のコートを引っ張り出して羽織り直す(この段階で、コートを下にしたのを少し後悔した)。
ブリーフケースを手に取り、立ち上がって会計。
「ごちそう様でした」
そう、はにかみがちの微笑を浮かべて、カフェテラスを後にしたのだった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から美澄 蘭さんが去りました。