2016/06/15 のログ
ヨキ > “可愛い首輪”の話に、とっておきの可愛いのを頼むよ、と冗談めかす。
手の中で形を変える魔石に目を細める椿丸の顔付きに、にやりと小さく笑んだ。魔力を持つ者が、不可視の広がりを汲んだ眼差し。

「羨ましいか?来年まで心待ちにしていてくれるなら、君にもうまい菓子を拵えてやるぞ。
 ひととき限りの作品に使ってしまうには、あまりにも勿体なくて……こうして着けることにした」

贈り主と正しくは殺意で成り立っている仲なのであるが、ヨキの中は揺るぎない友情と何ら変わらぬものであるらしい。

「これもまたヨキなりの、ラブの形というやつだ。
 ヨキにとっては、この島の誰も彼もが愛おしい」

再び魔石が姿を変える。
打って変わって、男性らしい太めのシンプルなリングに変化する。

指輪を元の人差し指に嵌め直すと、再びデザートを食べ始めた。
見るからに重く甘ったるいパフェやパンケーキが、ヨキの大きな口に一口、また一口と呑まれてゆく。

白泉椿丸 > 「そうねえ、素材としてはものすごく興味を揺さぶられちゃうわン。
 お薬の方にも転用が効くかもしれないって、アタシが考えちゃった程度には……」

やるじゃない、とウィンク。何に対してかは、ともかく。
先程とはまったく趣を変えた指輪のデザインに惚れ惚れしながら、ヨキが食べる姿を眺める。

こうやってバクバク食べていく男の人って素敵よねえ。
やっぱりネ、美味しいものは大きな口を開けてかぶりついてほしいもの…。
アタシも誰かのデリシャスでありたい……なんちゃって、なんちゃってー!

アイスティーを飲み干し、備え付けのペーパーナプキンで口元を軽く押さえるようにする。

「アタシ、そろそろ素材屋へ顔を出しに行くつもりなのだけどン。ヨキ先生は?」

ヨキ > 「ヨキ独りではあくまで金属としてしか活用することが出来ないが……
 君の発想なら、もっと用途が広がるやも知らんな」

こなれたウィンクを受け止めて、偉そうに鼻を鳴らして目を細める。

頬張る一口はいちいち大きいが、口の周りや食器を汚さないのがヨキの自慢だった。
椿丸の頭の中で跳ね回っている思考を知る由もなく、デリシャスなデザートをぺろりと平らげる。

残った紅茶を飲む間に椿丸に問われ、そうだな、と少し考える。

「今日は半休で、これから空いておってな。本屋にゲーセンにと遊び回るつもりで居るよ。

 それで、夕方からは映画を観る予定であるのだが……どうだね?
 用事が済んで君の身体が空くようなら、それから一緒にでも」

デートの誘いだよ、とにやりと笑う。

白泉椿丸 > 映画の誘いを受ければ、両手を頬へやる。

「ヤダ、そんな素敵なお誘いされたら、断る言葉を探す方が難しいじゃないのォ~。
 もちろんオーケーよ。なじみのお店が潰れてないか、あいさつ回りをするだけですものン!」

おめかしし直しちゃおうかしら!とくねくねしなる。
ヨキに待ち合わせと時間帯を聞くのに端末を取り出すと、そういえば連絡先なんかに変わりはないかと首を傾げた。

ヨキ > 了承を得ると嬉しげに笑って、紅茶をぐいと飲み干す。

「よし、そう来なくてはな。
 お色直しが必要なら、ゆっくり待ってやるのが男子たるものの務めよ」

自分もまたスマートフォンを取り出して、タッチスクリーンを淀みなく操作する。
新しいガジェットに目がない点は、椿丸が島を発つ前から変わっていない。

「ああ、電話とメールはそのままだ。
 あとは君が居ない間にいくつかアカウントを増やしたから、君もやってるやつがあったらフォローしてやってくれ」

文面を打ち込んで、椿丸にショートメッセージを送信する。
流行りの数ヶ所のSNSのアドレスと、ヨキのIDが記されている。

あとに添えられているのは、映画館の交通アクセスと、上映時間のURLだ。
このごろインターネットで話題になっていた、恋愛ものの洋画だった。

白泉椿丸 > 「変更が無いのはありがたいわぁ。
 …あらあら流石、流行に敏感な鼻を持ってるだけあるわね!
 ん、このあたりのSNSはアタシもやってる~。フンフンフンっと、フォローしておくわねン」

ヨキのアカウントIDへフォローを飛ばす。
端末はカバーをつけているわけではないが、ラインストーンなどで彩られているためキラキラしていた。
椿丸は見に行く映画の確認をした瞬間、気になってた!と親指をビッと立て、SNSのグッドサインを真似る。

「ウフフ、陽が沈むのが楽しみになっちゃったわ!」

会計用紙を手に取りながら、立ち上がる。

ヨキ > 「鼻が利くのがヨキの強みだとも。
 ……お、よしよし、フォローの通知が来たぞ」

にこにこしながら、シャンパンゴールドのスマートフォンの画面と睨めっこする。
オンラインでもオフラインでも、人当たりが変わらないのがヨキらしさといったところ。
椿丸へ親指を立て返しながら、あとに続いて立ち上がる。

「流石。君のアンテナに引っ掛かっていたなら、この映画はアタリだな。
 それなら映画の方は、誘ったヨキがご馳走しよう」

赤い革製の財布を取り出して会計の準備をしながら、ふと気付く。

「ああ、そうそう。この財布も貰い物でな。
 さっきの指輪とは全く違う相手なんだが、去年の常世祭を一緒に歩いてな……」

交換留学生で島にやって来ていた、とある女生徒の話。
はじめは異邦人に恐々としていた少女が、最後は教師を志すに至るまでの思い出を、微笑みながら話す。

ヨキの朗らかな様子からして、明るく話しやすい椿丸相手に積もる話が山ほどあるらしい。
まるで子どもだ。

白泉椿丸 > 「デートのお誘いをもらって、さらに映画まで奢ってもらっちゃったらアタシ大ハッスルよォ?」

ポップコーンのセットくらいは買わせてもらわないといけないわね、と心に決める。
ヨキの財布にまつわる人物の話を聞きながら、あらやだ、まあ、それはそれは…!と相槌を打つ。
話を聞くのは大好きな性分ゆえに、それは決して苦でも無く。

ヨキと道がわかれるまでたっぷり話を聞いたが、待ち合わせの時間になれば、また会話に花がさくのだろう。
今度はこちらからも、土産話をたくさん抱えて、だ。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から白泉椿丸さんが去りました。
ヨキ > 「はは。君のハッスルぶりは見ていて爽快だからな。
 誰あろう、君のいい女ぶりが成せるわざだとも」

別れるまでたっぷりと話をして、夕方にまた落ち合って。
お色直しをしたのは椿丸のみならず、ヨキもまた服をちょっとばかり余所行きのカジュアルに。

それから会話にも映画にも満足して、普段どおりと思われた一日が思いがけずさらに充実することになる。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からヨキさんが去りました。