2016/06/29 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に佐伯貴子さんが現れました。
佐伯貴子 > (じめっとした放課後。
 テーブルでアイスティのストローを咥えている。
 メニューが決まらないのである。
 そろそろスイカ関係のメニューが出そうなものだが)

うーん…

ご案内:「カフェテラス「橘」」にメルル博士さんが現れました。
メルル博士 > なんと、本日カフェテラス「橘」は満席状態。
今日は夏に向けての特別メニュー『スイカアルティメットパフェ』なるものが出ているらしく、それを求めて客が押し寄せてきているとの事。

そんな万人のカフェテラスにノートPCを片手にメルル博士が現れる。
店員が貴子の座るテーブルへとメルル博士を案内した。
『すみません、当店は今満席でありまして……。
 こちらのお客様を同席させてもよろしいでしょうか?』
店員は、貴子にそう問う。

メルル博士は無感情に、貴子を見つめていた。

佐伯貴子 > え…スイカアルティメットパフェ?

(メニューにあまりに大きく載っていたので気が付かなかった。
 これは頼むしかあるまい。
 そこに子供が相席してきた)

あ、大丈夫です。
お嬢ちゃんは一人?

(この島には子供も大勢いるが、
 どちらかと言えば子供は苦手である)
 

メルル博士 > 「今は一人です」
メルル博士は、目の前のスイカアルティメットパフェを注文しつつ席につく。
そして、テーブルの上でノートPCを開いた。

「あなたは確か、《強化》能力者ですね。
 興味深い人にお会い出来ました、昨日と違い今日はわりとついている日なのかもしれません」
他に類をみないタイプのレアな異能。異能研究に携わるメルル博士も、噂は耳にしていた。
メルル博士は無感情ながらも、言葉通り興味津々に貴子を見つめていた。

佐伯貴子 > そっかーそうだよね…

(子供は見た目で油断してしまう。
 人外があふれるこの島でもそれは避けきれない本能)

私のことを知っているのね。
私は佐伯貴子。よろしくね。

(店員を呼び止め、同じくパフェを注文する。
 アルティメットというほどなのだから結構な量がありそうだ。
 聡明そうな印象を受けるから、
 不用意に強化してくれなどとは言ってこないだろうと思った)

メルル博士 > 「メルル博士と申します。無論、天才です」
何が無論なのかは分からないが、自己紹介早々冷静に淡々と天才を自称する。
この場で強化してほしい、なんて頼む気はメルル博士にはなかった。

だが、せっかく目の前に貴重な異能を持つ者がいるので、交渉を持ちかける。
「よろしければ、あなたの異能のデータをとらせてはもらえないでしょうか?
 あなたの異能が具体的にどんなものであるか分かれば、メルル博士の研究は一気に進展するでしょう。メルル博士は天才ですからね。
 貴重なデータです。報酬は弾みますよ」
我慢しきれず、頼みごとはかなり単刀直入。

会話をしつつも、メルル博士は目にも止まらぬ速さでノートPCをタイピングしていた。

佐伯貴子 > はぁ…博士…天才…

(常世学園の生徒でなければ夢見がちな少女で終わるところだが、
 あいにくそうも言っていられないのがこの時代なのであった)

よろしくないです。
絶対にいやです。
というか、学園の演習成績なんか見れば、だいたいわかると思うけど。
報酬はいりません。

(どこまで本気なのだろうか。
 などと考えながらアイスティーをすする。
 他人の研究材料になるなんて二度と御免である)

メルル博士 > 「協力してはくれませんか……。
 あなたの実習生席は既に見させてもらっています。あんなものでは、本当にだいたいしか分からないものですよ。
 メルル博士は天才ですから、実習成績から予想できるあなたの具体的な能力の候補はいくつか上げられます。
 ですが、実際にメルル博士がデータをとった方が確実なのですよ」
断られて尚、メルル博士は眉ひとつ動かさない。
ノートPCをパタンと閉じて、貴子を見据える。

「危険な事はいたしません。単にデータを取って、それで終わりです。
 軽い診察だけで終わりますよ。
 そもそも、あなたのような貴重な異能を所有した人材を危険に晒すわけがありません」
さらに食い下がる。
この反応、過去に実験材料になって嫌な思いをした事もあるのだろう。
この学園はそんな異能者が多いので、研究者というだけで警戒されがちである。

「報酬はいりませんか……。
 あなたの望む見返りを、メルル博士が提供出来たら、と考えています」
そんな提案をするが、無表情なのでメルル博士の感情は読みとり辛いだろうか。
一応、メルル博士の中では嘘を言っているつもりはなかった。

佐伯貴子 > 私はメルル博士を知らないから、何がどう確実なのか分からない。

(きっぱり言い切った。
 つまり知名度がないと)

なんかそれ、歯医者が「痛くないですよ」って言って、
実際は痛いのに似てる。
だから絶対何かある。

(適当な言葉だが、
 的確に印象を表現したつもりである)

私はね、平和で平穏な生活がしたいんだ。
だから、自分のデータがどこかで何かに使われているとか、
そう言うの想像するだけで嫌なの。
わかってもらえると嬉しい。

(パフェが運ばれてきた。
 スイカの、アルティメットなパフェだった…)

メルル博士 > 「それなら、これからメルル博士を知ってもらう事にしましょう」
ちょっと会話がかみ合ってないような返事をするメルル博士。

「大抵の歯医者は天才ではありませんからね。
 少し進んだ技術を使うだけで、歯の治療程度なら一切の痛覚を与える事なく出来てしまいます」
貴子の印象をある程度理解しつつも、返事は斜め上。
実験体になってほしいと頼めば大抵断られるのだから、ある意味慣れてはいる。

「そうですか……。
 それなら、今は一旦こちらが引く事にします。
 先程言ったように、あなたがメルル博士の事を知らないなら、まず知ってもらう事にしましょう。
 メルル博士の事をあなたが知った時に、改めてお願いする事にします。
 言っておきますが、諦めたわけではありません」
アルティメットなスイカのパフェ、これは断じて一人用とは言えないボリュームである。
メルル博士はスプーンを片手に、淡々とパフェと食し始める。

佐伯貴子 > 別に知らなくてもいいんだけどな…
実験とか検査前提とかじゃなくて普通でいいよ…

歯科治療の痛みってのは痛覚だけじゃないんだ。
器具の発する音や、弱点を晒す無防備からくる不安。
それらがない混ぜになって発生するんだ。
君ら科学者は一面からしかものを見ないから困る。

(パフェを口に運びつつ言う。
 「一人では一面しか見えない」とは、自覚したうえでだが)

諦めてください。
メルル博士が人類の発展に貢献する偉大な科学者であっても、
協力する気はない。
そしてそのパフェも食べてあげる気はない。

(淡々とスプーンを動かしながら言うのであった)

メルル博士 > 「普通と言うと、どういった感じでしょうか……?」
無表情で、きょとんと首を傾げる。
狂気の天才。もっと幼い頃から異能や科学を追求し続けてきた。それ故に、メルル博士と共に歩める人は今までいなかったのだ。
だから、普通というものをメルル博士は知らない。

「器具の音なら、技術的にほぼ消音する事は可能です。
 弱点を晒す不安も、五感をうまく刺激する事で和らげる事ができます。
 ですが、そうなれば別の問題が出てくる事も否定できません。
 歯の治療をされているという患者が持つべき一種の危機意識が今より低下してしまいますね。思わぬ事故に繋がる可能性は増えるでしょう」
よく分からないメルル博士基準の話である。
だが案外、一つの問題を一面だけではなく多方面で見れていた。

「どうしても嫌なようですね……。
 あなたは中々手強そうですが、やはりメルル博士としては諦めきれません。
 あと、パフェなら大丈夫ですよ。いつもこの天才的な頭脳を働かせていますので、甘い物を補給しなければいけないのですよ」
その言葉通り、メルル博士は小さいながら食べるペースは結構はやい。
ペースも全然落ちないので、このまま食べ切れてしまう事は容易に予想できるだろう。

佐伯貴子 > だから、実験や検査から離れた関係だよ。

(別に親友になるつもりはないが、
 科学者と被験者の関係というのは最も嫌なものである)

うーんつまり、歯の治療の例えをかりると、
君の検査は私の危機意識を薄れさせるから、怖い。
これで答えになるかな?

(口の中からスプーンの先で種を取り出し、
 紙ナプキンの上に綺麗に並べる)

はい、嫌です。
科学だけじゃなく交渉術も駆使しないとね?

ご馳走様。
私はこれで失礼するが、君のは奢ってやらないぞ。
天才的頭脳から生まれる富で支払ってくれ。
じゃあまた。

(伝票を持って立ち上がり、手を振ると、
 会計を済ませて出て行った)

ご案内:「カフェテラス「橘」」から佐伯貴子さんが去りました。
メルル博士 > 「実験や検査から放れた関係に、どのような意味があるのでしょうか」
メルル博士にとっての関係とは、科学者と被験者でしかない。
他者との感覚に大きくズレがあるメルル博士に、今まで友達なんてものが出来ようはずもなかった。

「……今はそういう事にしておきましょう」
これ以上の説得は無駄だろうと、そう判断している。

「分かりました。貴重なアドバイス、ありがとうございます。
 メルル博士も出なおしてくる事にします」
断固協力拒否の態度を見せる貴子。
異能者は多くいれど、やはり異能データを取らせてくれる人は少ない。
異能研究で苦労する点は、ある意味被験者の確保とも言えるだろうか。

「言われなくとも、自分の分は自分で払います」
手を振る貴子を見守ると、メルル博士も伝票を持って立ち上がる。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からメルル博士さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に四季夢子さんが現れました。
四季夢子 > ――愛とはなんぞや。
図書館のPCを使って調べたらなんでも仏教と一緒にやってきた言葉らしいと知れた。
聞くだに小難しい系統の起源だと、愛されるに程遠い渋面を浮かべたのが一時間とちょっと前の私。

今はこうして癒しを求めるべく昼下がりのカフェに訪いを入れ、梅雨間の快晴な日曜日だと云う事もあってか、
それなりに盛況な店内にて独り頬杖を付いて長々とため息を吐いていた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に朝宮 小春さんが現れました。