2016/06/30 のログ
朝宮 小春 > 日曜日はゆるゆると自分の好きな本を読んだり、お部屋の掃除をしたり。
後は、己の趣味で研究をしたり、論文を読んだり。
あまりお酒を飲んだり遊びに行くタイプではない彼女は、今日も出かける先は図書館。
帰り際にカフェに寄って、といった足取り。

からんからん、と音を立てて店に入ってくる。
灰色のスカートに白のブラウス、普段より分厚い野暮ったい眼鏡をかけ、
なんだかんだとまとめている髪も今日は下ろした、学生時代のスタイル。
服装は派手な色は恥ずかしいのでモノトーン。芋って言うな。

「……あら?」

ため息をつく顔見知りに、首をちょっと傾げてのんびりと近づいて手をひらひらと振ってみせる。

四季夢子 > 成程古人も悩む訳だわ。と先日の演習場での問答を思い出し、
ついでにアレコレも思い出し顔に熱が灯るのを感じ、お絞りを押し当てて冷やす。
そして直ぐにオジサンじゃあるまいにと気付き顔から外して――……

「……あら。」

……――見知った顔の見知らない姿が上げる声に、奇麗に重なる声が零れてテーブル下に転がって行った。
折しも店内は忙しいらしく、店員の姿は見当たらない。様子からして席も案内されていなさそうと知れて
私は朝宮先生を手招きするのでした。

「こんにちは朝宮先生。……そういえば泳げるようになりました?」

朝宮 小春 > 「こんにちは、ふふふ、今日は普段着だけどね。」

ぱち、とウィンクするけれど、分厚い眼鏡は普段よりも尚、ふんわりと柔らかくなる。
そっと前に座れば、手持ちの本の入ったカバンを横に置いて。

「……? あぁ、ええと………少しだけ?
 ………お、溺れないくらいにはできるようにはなったわ。」

視線を明確に逸らしつつも、ちょっとだけ声は漏らす。練習はしている、というのが実際のところ。
なので、華麗に話題の転換を試みる。華麗というより強引に。

「……今日はお出かけなの? 明るい感じじゃなかったようだけれど。」

四季夢子 > 「へぇ~そうなんですか……それは何より?」

成程目が上手に泳いでいらっしゃる。
私は感情を絞るように瞳を細めて朝宮先生の事をじいっと見詰め……
ていたら、店員さんが抹茶オレと抹茶ケーキを運んできてくれたものだからフォークを掴む。
尚、抹茶ケーキは抹茶入りの緑色のスポンジに生クリームが包まれたシンプルなロールケーキ状のもの。

「ん~と、お出掛けって程でも無くて調べ物ついでにぶらぶらと……
此処でお茶でもした後は歓楽街辺りにでも行こうかなって思って……あ、そうだ。」

フォークでケーキを切り崩すようにしながら予定を述べる私に、雷霆に打たれるが如く天啓がうんぬんかんぬん。
……目の前にいるのは先生なのだ。
以前ちょっとこう、恋愛関係の事で余り恵まれてないというか、報われて無さそうな何かが垣間見えたけれどそれはそれ。

「突然なんですけど朝宮先生。愛ってなんだと思います?」

ケーキを食べながら、ケーキのように甘い……かはちょっと未明な話題を向ける。

朝宮 小春 > 「え、ええ。夏の………海に行く頃には、きっと?
 予定でも入れておきましょうか?」

それでもあくまでも強気に出る教師。
絶対に生徒の前では教師であることを崩さないのだ。頑張り屋。

「歓楽街……ね。一緒に行こうかしら。」

ふむ、と考える。普段なかなかに足を運ばないのだから、こういう時に若い生徒のアクティブさを見習うのもいいかもしれない、なんて考える。
そんなことをぼんやりと考えているところでの言葉に、へ? と間の抜けた声が漏れて。

「………あ、愛ねぇ。………………ええと、男女間のかしら。」

とっても心細そうな声で、ううん、と唸る。

四季夢子 > 「んー……かな?多分男女間ので合ってると思う。と云うのも私が判らないというよりも判らない奴がいて、
それに引っ張られて私も判らなくなってきてる的な……感情が向き合っているのと、片方からのと差というか…。」

多分判然としない事なのかもしれないけれど、と付け足して私は苦笑を象り肩を竦めた。

「まー解があった所でまた別の形の愛の問題もあったりするでしょうし、何だかちょっと哲学的な感じになってきそうですよね。
それよりは夏に思いを馳せたり、歓楽街で水着でも誂える方が健全かも……。」

唸る先生の元へは給仕の男性が「ご注文はお決まりですか?」と声をかけに来る。
間が悪いなと思って店内を改めて視ると更にお客は増えているらしかった。

朝宮 小春 > 「………カフェオレと……ショートケーキで。」

穏やかにメニューを選びながら、少しだけ考える素振りを見せる。
ううん、と僅かに唸って、目を伏せて。

「………私もはっきりとは分からないけれど。 どうなんでしょうね。
 一緒にいたいって強く、自然と思えるようになることが、一つの形かな、とは思うけれど。

 ………後、ほんのちょっと思うのは。
 きっと、思い切り愛されてから初めて分かるような気がするのよね。」

苦笑しながら、両手の指を重ねるようにして、恥ずかしそうに笑う。
少しだけ瞳を伏せて、困ったような表情にも見える。

四季夢子 > 「……あー、やっぱりそういうものなのかなあ。」

給仕の男性が居なくなってから天井に目を向け、視線を下げるのに合わせてため息をもう一度。
男女間の恋愛の機微なんてものは、きっと100人いれば100通りあると思うから。
朝宮先生の場合はきっとそうで、私の見解も大方で似通っていたから。

「これが友人間の親愛だとか家族間の家族愛だとかならまだ判り易いんでしょーけど……
あ、そうだ。参考までに訊きたいんですけど、朝宮先生って理想の男性、でも見ず知らずの人。
にいきなり愛を告げられたらどうします?」

話題は空中でツバメが返るようにくるくると回り、例えばもしも、の話に姿を変える。
抹茶オレの味にも少し飽きたから変えようと付属の黒蜜でも入れて飲んだら甘すぎて咽そうになっちゃった。

朝宮 小春 > 「そういうものじゃないかしら。
 ………私にも、正直良く分からないけれどもね。
 理想の男性? ………そう、ねぇ……」

ううん、と唸る。
唸った上で、少しだけ首を傾げて。

「………それ、昔近いことがあったような………。
 いや、結局は人違いだったんだけど。

 嬉しいとかそういう気持ちよりも、困惑というか、ちょっと怖くなっちゃうのよね。
 ……でも、…………少し様子を見させてくださいー、ってなっちゃうかな。

 私のどこを見てそう思ったのかは、知りたいもの。」

なんて、苦笑しながらそう呟く。

四季夢子 > 「そう、理想の男性。舞台に出てくるような、太陽みたいにとびきりの素敵な人。」

好悪の是非に計るなら少なくとも悪にはならない前提を置き、
私は身を少し乗り出すようにして首を傾ける朝宮先生の言葉を待つ。

「……あ、あったんだ。うーん流石大人……で、一応はこーお断りをしたと。
うんうん、そうよねえ……理由とか気に成るわよねえ……
でも初対面なら、そりゃあ先生の見た目で判断したんじゃないかなあ……」

何処とは云わないけれど、口程に物を云う私の青い瞳が朝宮先生の顔と胸を交互に見遣った。
そしてまたため息を吐く。今度は頬杖をついて横を向いて、いかにも「やってらんねえ」と言いたげな感じ。

「でも見た目が綺麗だからーとかで言われるならまだ健全なのかな……
ほら、愛は愛でも男女間ではなくって、好きな食べ物的な愛とかで、牙がずらりと並んでいる獣人さんとかに
「君を食べたい」なぁーんて云われたら困っちゃうもの。」

困るで済むかどうかは別として私は御行儀悪な格好のまま朝宮先生に抹茶オレのグラスを差し向けた。
さしづめ甘すぎるからどうぞ、と云う所で先生が飲む飲まないに関わらず給仕がケーキとカフェオレを持ってきたりもするのだけど。

朝宮 小春 > 「……姉さんに告白しようとして間違えたんですって。」

言いながら、とほー、と肩を落とす。だから、初対面でもないし、見た目でもなかったと思うのよね、と。
相手の視線がどこを見ているかは分かっていない様子だけれど、白いブラウスは見事な曲線を描いている。
野暮ったい服装でも目立つは目立つ。

「………難しいところよね。
 見た目も、性格も、悪いクセも全部含めて、最初から分かってくれる人なんていやしないし。

 でも、夢子さんも分かっているように、私はこんな性格だから。
 ………ちょっとくらいは性格をわかっててもらわないと、イライラさせてしまいそうでね。」

 苦笑しながら、夢子の言葉にそりゃあそうよ、と同意を示して。
 差し出されれば抹茶オレのグラスを素直に受け取って、軽く口に含む。
 甘くて美味しいのか、頬が緩んだ。

四季夢子 > 「うっわそれは辛い……でも間違われるってことは先生とお姉さんって似てるんですね。
やっぱり姉妹とか兄弟って何処かしら似るって物語とかでいうし……私は一人っ子だからその辺解らないんだけど。」

ずる、とテーブル上に崩れてついでに相好も崩れた結果に苦笑い。
対処療法のように程好い甘さの抹茶ケーキで中和をしなければいけないわ。

「やっぱりある程度親交があって、それから愛に発展して行くのが王道って所?
よくあるのだと愛が成就した後に、後天的に試されるような物事が生まれるものだけど……
……これは男女間に限らないっか。」

あはは、と笑いが乾いた所でお冷を口にし潤す。

「そこで同意されなかったらどうしようかと思っちゃいました。
でも噂なんですけど……落第街にあるらしいのよね……そういうおみせ。」

がお、と獣の真似をしながら切り替わる話題はよくある噂話の類。
内容は落第街の何処かに、人食嗜好のある亜人とか向けの人肉レストランがある……と云うもの。

「すっっごい格好いい人がナンパしてきて、ホイホイついていったら……とか
そーゆー怪談系のあれだから根も葉も無ければ花も無い話なんでしょうけど……」

そもそれなら噂が伝播する事自体がおかしいのだから所謂都市伝説の類と知れるもので
私は朝宮先生の反応を覗うように、わざとおどろどろしい声色でそんな話をした。

朝宮 小春 > 「似てる似てる。見た目もそっくりよ。
 性格とか性能は……ぜんぜん違うんだけれどね。」

こちらも苦笑いを浮かべながら、少しだけ考えて。

「………愛が成就する前も後も、大変なことは起こるものよね。
 本当、どんなものでもね。」

苦笑を少しだけ浮かべながら………。

「でも、先生と生徒、としての愛情って意味なら、本物よ?」

安心してね、と言いたげに胸を張って、ここ、ここ、と自分と夢子を指で結ぶ。
むず痒い恥ずかしいことを、堂々と言う教師。


「………ぇ、っと。そうなのかしら………。」

ぞくりと震えて、顔色が変わる。うう、と不安そうに表情が曇って…。

「……歓楽街に行くなら、一緒に行きましょうか。」

そんなことを言い出した。

四季夢子 > 「やだ先生、性能だなんて機械や物じゃないんだから。
愛の前後は……きっとそれらを含めて乗り越えて行く事も大事なんですよ。
例えば……あはは、急には思いつかないわ。」

例えば、突拍子も無い異能に目覚めるとか。
そう言おうとして笑って誤魔化して、私はテーブル上に線を描く朝宮先生に猫みたいな笑顔を向けてあげるの。
先生ったらそれはそれは判り易く怖がってくれるんだもの。

「……朝宮先生。それ、この後歓楽街に行って私達の愛(先生と生徒としての)
が試されるような事態になるフラグじゃあないかしら……?」

だからもう一つ脅かして、タメを入れてからおどけるように舌を出してのあっかんべえ。

「なぁんてね。へーきですってば。御一緒する分には構いませんけど昼間の歓楽街なんて皆行ってますし。
ほんと先生ったら心配性なんだから……まるで小さな子供の母親みたいですよ?」

けらけらと笑う声は店内の喧騒に綺麗に紛れたのかも。

朝宮 小春 > 「………機械や物だったらねー。」

良かったのにね、とは口にしないけれど。目を閉じてふう、と吐息。
頭を取り替えたかった、と思ったことは何度もある。

「乗り越えて、ね。
 乗り越えるのって、一人ではきっと無理なのよ。
 だから、恋人とか友達とか家族とか。………先生とか?」

ね、ね、と自分を指差して微笑んで見せる。
頼って欲しい、ふんわりとした教師。


「………そ、そうだとしたら安心なさい。
 例え私がちょっとくらい食べられたとしても、守ってあげるから。」

先生だもの、なんて言いながら胸を張る。
その言葉は不安に満ちながらも、曇りは無い。

「………だって。
 あくまでも先生と生徒なんだから、いいじゃない。
 それに、夢子さんは危なっかしいんだもの。」

四季夢子 > 「朝宮先生って生活指導も担当するようになったのかしら?
大丈夫ですよーだ。もしもの時はきちんと、物や機械じゃあない先生を頼りますって。」

乗り越える事や危なっかしいと言われる事に我ながら良くできたと言えそうな笑顔を向けて差し上げる。
ただ、ちょっと食べられてもなんて言う件には眉根を寄せて露骨に厭そうな顔にもなってしまった。

「……微妙に生々しいんですけど……怖い事言わないでくださいよ、もしかして仕返しですか?
そんなに危なっかしいかなあ私……これでも内申点とか良い方の筈なんだけど……。」

夜中に彼方此方歩いたりはするけれど、此処最近は風紀の人やら先生方やらには見付かっては居ない筈。
尤も本当に危ない所には行かないから、そういう所を警邏していたら遭う筈も無いのだけど私の首はぎしりと傾ぎ
真横に倒れそうになる所で起き上がりこぼしのように戻っていった。

朝宮 小春 > 「ここの教師は生活指導もほぼ兼任みたいなものでしょう?
 ええ、……ふふふ、頼って頂戴ね。
 私も、何かを頼まれると嬉しいの。」

素直に自分の気持ちを口にして、ね、と微笑みかける。
大事な生徒だ。

「………ぜ、全部食べられるのはちょっと心の準備がいるというか。
 私からしたら、ここの島の生徒は十分、危なっかしいと思うけれどね。

 私も含めて、であることは否定しないけど。」

分かるでしょう? と穏やかに声をかける。
個人の素行だけ、ではなく、この島の環境そのものに不安を抱いているのか。

ショートケーキをそっとフォークで切って、はい、あーん、と差し出してあげる。

「じゃあ、この後はどこか、二人で行きましょうか。
 お買い物とかそういう?」

四季夢子 > 差し出されたフォークを遠慮せず咥えてケーキを頂いた。
私のケーキなんてものはとっくに綺麗に無くなっていて、
手にしたフォークで朝宮先生のショートケーキを狙う素振りとてしてみせる。

「じゃあ準備が終わったら残りも食べてしまおうかしら……
……朝宮先生って食べたらきっと甘いんでしょうね。」

きっと良いお母さんになりますよー、なんて微笑みに言い返し
私は携帯端末を取り出して地図を開いて朝宮先生に良く見えるようにしてあげる。

「夏の水着を新しく買おうかなって思ってて、それで歓楽街のお店も観ておこうかなあって。
商店街のとかは見たんですけど何だかパッとしなかったのよね……
だから朝宮先生も付いてくるなら折角だし夏向けにどうですか?」

折角だから選んであげてもいいですよ。
そう北叟笑む私の意図通りに事が進んだかどうかはまた後日。

朝宮 小春 > 「食べる? ふふ、私はそんなに甘くはないわ?
 ………甘くは無いと思うけど。」

皿を差し出すようにしながら、……ちょっと甘やかしてしまいそうな。
地図を出されれば、それをじっと眺めて、ふんふんとうなずき。

「ああ、良いわね。
今年の夏は泳ぐ予定だし、丁度いいじゃない。
夢子さんが選んでくれるなら、それで海に行くとしましょうか。」

堂々と、半ば自棄になってそんなことを言う教師。
どちらにしろ見たかったのは事実だから、素直に頷いて。


さてはて、どんな水着を選ばれてしまうのか。
それは海に行く日(もしくはプールの日)のお楽しみ。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から四季夢子さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から朝宮 小春さんが去りました。