2016/08/16 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に加賀智 成臣さんが現れました。
■加賀智 成臣 > 「……………。」
昼。夏の日差しが最も強くなる時刻。
加賀智は、カフェテラスの庭先…パラソルの下でコーヒーを飲んでいた。
ちなみにブラック。
「……………。ふぅ。」
たまにはいいかもな、なんて似合わないことを思ってみたり。
こないだカツアゲされた路地裏で、ゴミ箱の中にコーヒー無料券があるのを見つけたのだ。
それを利用して、午後を過ごしていた。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にクラージュさんが現れました。
■クラージュ > レベルは上がったが、暑さには勝てない。
特にこう湿気のある独特の暑さは辛い。
マントでは防げないのだ。むしろ熱が籠る。
だからこうして、カフェテラスに逃げて……。
あ、倒れた。
■加賀智 成臣 > 「………………。」
誰か倒れたようだ。
でも動かない。
自分が行っても足手まといになるだけだし、助けて欲しいなんて言われてないのに助けたらお節介だろうし。
店員に介抱される変な格好の人を見つつ、コーヒーを飲む。
■クラージュ > 「俺が力尽きたら世界が……」とか「うう、最後にセーブしたの何処だっけ」とかうわ言で言ってるあたり重症かまだ余裕ある方か。
比較的涼しい場所でぐったりしている勇者。
やべー 魔物より天候つええわー。
■加賀智 成臣 > 「…………………。」
ゲーム脳の人だろうか。可哀想な方向の。
そういえば変な格好もよく見ればファンタジーな戦士っぽさがある。
ゲーム好きが高じ過ぎたのだろうか。
「……あのー。要ります?」
アイスコーヒーの無料券を差し出して、ぐったりしている変な格好の人の額に貼り付ける。
■クラージュ > 「……すまない、助かるよ。 心の底からそう思う」
お店のヒトは汗で張り付いた無料券にちょっと嫌な顔しながらも引っぺがして奥に引っ込んでいく。
「熱砂の砂漠や、準備できてる火山地帯の探索の方がまだマシだね……。
この世界の夏ってどこでも こう なのかい?」
注文も受け付けてくれたし、いつまでもぐったりしてると格好がつかない。
椅子に(おっくうそうに)腰掛けて、お手拭で顔とか拭いちゃう。
■加賀智 成臣 > 「……あぁ……すみません、手を動かすのも大変そうだったので……
固定できそうなところに貼ってすみません……」
なんか色々と駄目くさい。一応涼しい室内のほうに移動する。
「いえ、一応国の特色はありますけど…この辺はこういう暑さですね……。
……その服、というか鎧……脱がないんですか?」
恐る恐る聞いてみる。聞いちゃダメそうなことを聞いているわけでもないのだが……
どうにもネガティブそうな青年だ。
■クラージュ > 「ヘバってたのは事実だしね。謝らなくてもいいさ」
涼しい室内で多少は復活してきたらしい。
汗も少しは落ち着いたし。
ああ、復活したんだなんて顔で店員がアイスコーヒーを持ってきてくれた。
ミルクと砂糖をやや多めに入れてかき混ぜる。
「……まず脱ぐのが割りと大変っていうのもあるんだけど、脱いだ後の持ち運びがまた面倒くさくてね……。
馬車とかあればいいんだけど、今は持ってないからね!
でもまぁ、今くらいは脱いでしまってもいいか」
実際、通気性は最悪だ。防御力はそれなりどまりのくせに。
早く専用装備が欲しいと切に願う。
そしてとりあえず手甲やら具足を外していく。
「さて……幸い、今は懐が暖かい。
コーヒーのお礼にお茶請けなんかを提供したいのだけれど、どうだろう?」
■加賀智 成臣 > 「いえ、それとは別というか……ほんとすみません……」
へこへこと謝りながら、なぜか相席に座る。
どうやら無意識らしく、気付いてまた謝った。
「……ああ、持ち運び……でも、普段から着る必要はないのでは……
有事の際だけ着るとか、そういう対処もできそうですけど……」
真夏の日の光の下通気性の悪そうな鎧を着て歩き回るなど、自殺行為もいい所だ。
今度試してみようかな、と思った。
がちゃがちゃと外されていく具足や手甲を見つつ、コーヒーを啜る。
「えっ、そんな申し訳ないですよ……このチケットも僕のじゃないですし……
ゴミ捨て場から拾って来たものですし……」
ぶんぶんと手を降って遠慮の意を示す。
■クラージュ > 相席は快諾する。
なにせコーヒー奢ってくれたし。
「転送荒野で、魔物退治をしてきた帰りなんだ。
まさかここまでの暑さになると予想していなくってね」
いやははは、かっこ悪いね と笑う。
胴部を外すのが一番大変なのだ。戦闘中にバラけたらお話にならないし。
ガッチャガチャ。
「細かいことは気にしない。
俺がそうしたいからそうするだけさ!!」
■加賀智 成臣 > 「あぁ、あの危険区域……どんなのが居るんですかね。
やっぱり凶暴なのがたくさん……?」
身をちょっとだけ乗り出す。身を守るために情報を……
というわけでは全く無い。
むしろ死ぬのに良さそうな生物がいないかの情報を仕入れるためである。
「……………。
……じゃあ、この……バニラアイスを。」
一番安くてちっちゃいやつである。
■クラージュ > 場所とタイミングにもよるけれど と前置きして。
「青くてゲル状の魔物や大きな鴉、凶暴化したアリクイや角の生えたウサギ……黒眼鏡の怪しい司祭を見た、なんて報告もあったかな」
いくつかの魔物を列挙していく。アリ●ハンか。
「ちょっと前だけれど、赤竜も現れたしね。
どうも現れやすい場所というのがあるみたいだ、一応地図には目星をつけてはいるけれど……」
どこだったかなーと地図を探しながら店員さんを呼んで、メニューの追加。
「あ、この特性超濃厚バニラアイス~ハニーシロップスペシャル~を二つ」
違う、それじゃない。
■加賀智 成臣 > 「………。最後の人って魔物なんですか?」
素朴な疑問だった。
だが、列挙される魔物はどれもこれもありきたり。
溺死、刺殺、アリクイに脳味噌を掬い取られるというのもインパクトに欠ける。
少し残念に思いつつ、他に恐ろしい物はいないものだろうか、と考えているところに……
「……赤竜、ですか?」
少しだけ希望が出てきた。どんなものでも竜は竜。
もしかしたらこの生に幕を下ろせるかもしれない。
「……いえ、それじゃなくて……あ、やっぱりいいです。」
おごってもらう分際でなんやかんや言うのもアレかなぁと思ったようだ。
ダメな人間であった。
■クラージュ > 「わからないけど、胡散臭かったんじゃないかな」
酷い言い草である。
「個人的には、スライムが嫌だけれどね。斬っても突いてもダメージ通りにくいし。
溺れさせるやつもいるけど、溶かすやつが色々と辛い。
ナメクジも、あいつらの口って体の下にあって鑢をかけるみたいに……と、カフェで話す内容でもなかったね」
こほんと小休止でコーヒーを一口。
「ああ、竜だ。
生活委員会だったかの部隊が総出で退治したようだよ。
あれほどのクラスは早々に出てくるものじゃないだろうけれど、今後まったくでないって保障はないしね」
戦利品として牙と鱗を少しもらって来た。
早く鍛冶屋にめぐり合いたい。
「なんか、見てたら食べたくなってきちゃってさ……俺、甘党だし」
■加賀智 成臣 > 「胡散臭い……。」
胡散臭いだけでモンスター扱いされるとは可哀想な人もいるものだ。
自分もゾンビ扱いされて討伐されかけたこともあったが。
「……溶かす……酸みたいに、ドロドロにですか?
うーん……」
怖がっている様子は微塵もない。
むしろ、何かを考えているように見える。
「……………。なるほど。」
今度、この人物を見かけたら付いて行ってみようか。
そんなことを考えつつ、コーヒーを一口啜る。
「……そうですか。」
加賀智くんは苦党である。
■クラージュ > 報告したヒトは過去に何かあったのかもしれない。
本気でただただ胡散臭かった可能性もあるけど。
「……君は、不思議な人だね」
話を聞いて何かを考えるような素振りをみせる加賀智を見て、そんな感想を零した。
そして地図を見つけたらしく、少しだけテーブルに広げる。
店員がもってきたアイスを重ならないように置いていくのだが、まぁ狭い。
地図にはところどころにマーキングがしてある。
出現ポイントらしい。
「ここら辺には近づかないことだね。
ちょっと危ないなーってポイントだから」
■加賀智 成臣 > 「……不思議、ですか?
変だとか、気持ち悪いとかはよく言われるんですけど……
不思議は初めて言われました。」
ぽりぽりと頬を掻く。
その言葉だけで、この青年がどんな人生を送ってきたのかある程度わかる……かもしれない。
「………。」
一口アイスを食べる。
眉根を潜めて、コーヒーを啜った。
「………分かりました。気をつけたいと思います。」
嘘だ。
この人に死にに行きますなんて言ったら、間違いなく助けに来るだろう。
それで巻き込まれなんかしたら、死ぬほど後悔する。
だから、「行かない」と言った。
■クラージュ > 「ああ、不思議。
戦う力が無い人は、怯えるし。
自信のある人は、喜ぶよ。
学者の人みたいに、興奮するわけでもないし」
こちらは美味しそうにアイスを食べる。
欲を言えばコーヒーにもう少し砂糖かミルクが欲しかった。
「自信はないけど、死ぬのは怖くない。
でも何かには怯えてる……そんな感じ。
俺も世界を救って長いけど、そんな人とは初めてあったよ」
……少し考えて、先にコーヒーを飲み終わってしまうことにした。
「ああ、どうしても行く用事があるならガイドが用心棒を雇う方がいいよ。
あの辺りにたどり着くまでが、結構大変だから。
舗装されてるわけでもないからね」
■加賀智 成臣 > 「……………。」
怯えてはいない。怯えるほど自分の命に価値を見出しているわけではない。
喜んでもいない。喜べるほど自分の体の痛みを受け入れられた訳でもない。
興奮もしていない。興奮できるほど、その死に期待を持っている訳でもない。
結局、何もかもが薄っぺらなのだ。感情も、価値観も、生きる価値も。
死ねないことに怯え続けるだけの毎日。見透かされた気がした。
「……はい。行き倒れは困りますからね。
……ところで、このアイスの残り食べませんか?」
そっと差し出す。甘すぎてギブアップだ。
■クラージュ > 「まぁ、俺の直感でしかないんだけどね」
苦笑して珈琲を飲み干した。
美味しそうにアイスを食べつつ。
「ああ、俺もついさっき行き倒れてよくわかった。
あれは辛い」
なんて冗談を口にする。
「甘すぎたかな?
……よし次は、珈琲に合うような味のやつを注文しよう」
■加賀智 成臣 > 「いえ、良いんです。考えてみたら、間違ってもいませんでしたから。」
ぽりぽりと頬を掻き、コーヒーを啜る。
その顔にはどこか虚無的な諦念が貼り付いているように見える。
「…………。」
違う。多分、この人の考える行き倒れと、自分の考える行き倒れは違う。
だが、あえて言わなかった。言う必要もなかった。
「……あ、いえ、もう良いです、大丈夫です、お腹いっぱいで。」
ブンブン手を降って遠慮。
■クラージュ > 「お腹いっぱいなら、仕方ないな。
また次の機会にでも奢りなおさせてくれよ」
二人分のアイスを美味しそうに食べる。
年相応に見える少ない機会。
「君がどんな君であれ――――」
ガチャガチャと装備をつけていく。
はずすのに比べれば、はるかに手馴れていると言ってもいい。
「―――君が君でいられる世界を護る。それが俺の……勇者の仕事だ」
しっかりと装備を整えてから席を立つ。
お金は事前にテーブルにおいてあるから安心だ。
「それじゃあね、今日は本当に助かったよ。
またいつか!」
ご案内:「カフェテラス「橘」」からクラージュさんが去りました。
■加賀智 成臣 > 「……………。」
君が君でいられる世界を守る。
彼はそう言った。
ぎしり、と椅子に背をもたれる。天井を仰ぎ、溜息をつく。
「(世界が滅んでも、きっと僕は生き残ってしまうだろう。
じゃあ、僕が僕でいられない世界ってなんだろう?)」
この世界は残酷だ。人が一人死ねない程度なら、何の感傷もなく回り続ける。
「………。帰ろう。」
お金を拾い上げ、レジに向かった。
何かもやもやしたものを残しながら。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から加賀智 成臣さんが去りました。