2016/08/18 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 「……絵かぁ」

カウンター席に座り、図書館にて借りてきた本をめくりながらそんなことを呟く。
本の表紙には「風景・背景画集」と大きな明朝体で強調されており、その周りに出版社や著者が小さな文字で添えられている。
肝心の本の内容は日本の田舎の風景から欧州の都会の風景まで東西南北ありとあらゆる時代の風景・背景が印刷されていた。

(デザイン、かぁ…)

頬をかき、その冊子を閉じるとカウンターに置いてあるリンゴジュースを一口飲み、ノートとシャーペンを取り出す。
ノートを開き、シャーペンの芯を出すと芯を真っ白なノートの紙の上に滑らせる。

滝川 浩一 > シャーペンの芯を走らせ、そのまま白紙のノートに一本の杉を書き上げる。

「おぉ、これは…」

その一本杉を見て、そのように小声で声を上げる。
これは、なんというか…いや、木だ。木なのだが…
幹の太さが疎らだし、葉の濃さもバラバラ。他の木ならこのようなものも存在しなくはないだろうが
それを杉と呼ぶにはとても無理があった。

(うーん…我ながらヘタクソ…いや、俺の手が悪いってのもあるけど、シャーペンで絵はきついなぁ…
特に俺、筆圧強いから全部線濃いや…)

苦笑いしてその絵を見ると、とりあえず余白を探し線を真っすぐ書く練習をする。

滝川 浩一 > シャーペンを正しく持ち、真っすぐ立てて左から右へ芯をスライドさせる。
筆圧を減らすため力を抜こうとするが逆に肩の方に力が入ってしまい、線がぶれてしまう。

「あちゃー、落ち着け落ち着け」

小声で呟くと肩を一回しして首を鳴らす。
そしてもう一度、線を引き始めると今度は真っすぐとした綺麗な線が出来上がる。

(おお、力抜くって重要だなぁ。力み過ぎなんかな?俺)

驚いた様子でそれを見れば、何度も何度も線を描く。
最初に比べればマシな線が10本以上できれば、今度は杉の幹のように二本の線を縦に並べていく。

それを繰り返しているうちにすっかり時間が過ぎていくのであった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から滝川 浩一さんが去りました。