2016/10/09 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 休日の自宅で「学生になる」という決意を新たにしたあとの、週明け。

昼食どきのカフェのテーブル席で、メニューと睨めっこをしているヨキが居た。

目当ては鶏肉と根菜のグリルを中心にした、女子力お高めの洒落たランチプレートである。
ところが定番メニューの他に、秋限定のデザートを掲載した別紙を見つけてしまったのだ。
サツマイモに栗にカボチャ。ケーキにプリンにフレンチトースト。
かつての食欲ならば全種類を平らげることも朝飯前であったが、今となってはそうもいかない。

「ぬ……ぬぬぬぬぬ……!」

全部食べたい。こまめに通うのも吝かではないが、今この瞬間にすごく食べたいのだ。
こんなことなら女子を引き連れてくればよかった。

明日にでも世界が滅びそうに深刻な顔をしていた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に斉藤遊馬さんが現れました。
斉藤遊馬 > (世界の終わりはそんなに遠いわけではなかった。)

あの……ヨキ先生、ですよね?
(男の背後から声をかけたのは、まだ年若い少年。)
(風紀の制服を着ながら、左の手元にはバインダーが一つ。)
(どうやら委員会の調査か何かで訪れたらしく。)
周りがめっちゃびびってるんですけど、なんかあったんです?
(言いながら、右の手、持ったペンで周りをぐるりと示せば。)
(さっと目を背ける人々の姿があった。)
(そして少年の後ろにも、少しおどおどとした様子の店員の姿。)
先生タッパあるんで、その顔して唸ってると、若干怖いんですよね……。
(つまるところ、この場において若干風紀が乱れていた。)
なんか問題ありました?さっきメニュー見たときは、普通の中身でしたけど。

ヨキ > 何しろ規律に厳しいことで有名なヨキである。
真剣な顔をしていると、それだけでオーラは凄まじかった。

ヨキ先生、と名を呼ばれて、すわ問題でも起こったかと振り返る。
初めに目に入ったのは、風紀委員の制服。それから顔を見上げて――

「………………!」

遊馬の言葉に、初めて「問題」の根源が自分であることに気が付いた。

「あ、いや……」

いやいやいや、とすっかり鎮火して頭を掻く。

「モンブランロールとかぼちゃのタルトとスイートポテトのフレンチトーストと、
 どれにしようか迷ってしまって……」

周囲を慄かせるにしては、しょうもない理由だった。

斉藤遊馬 > (相手から帰ってきた言葉に、がくん、と首を折った。)
とかく女の好むもの 芝居 浄瑠璃 芋蛸南瓜とは言いますが、栗加えたらヨキ先生釣れるんすね……女子に伝えときます……
(表情に浮かんだ苦笑い、特に隠すでもなく。)
(相手の手元のメニューを覗き込むようにして、首を傾げた。)
でも、食べたいなら、三つとも注文したらいいんじゃないですか?
ヨキ先生、確かめっちゃ食べるでしょ。
(ペンのお尻を己のあご先に当てながら、視線を、つぃ、と左にやって)
女子が、調理実習の後に『ヨキ先生ちゃんと食べてくれるのー!』とか言って、
偉い量のお菓子持って廊下ダッシュしてるの、取り締まった覚えあるんですけど。
そんなおっきくないですよねこれ。直径22cmとかそういうのじゃなく。
(振り返り、己の背後、ほっとしていた様子の店員に確認すれば、こくこく、と頷く姿。)

ヨキ > 眉を下げて笑う。若干顔が赤い。

「あはは、君は渋い言い回しをするね。もちろん釣れるぞ。
 入れ食いだ。ぜひ伝えておいてくれ」

首を傾げる遊馬に向けて、うん、と何気なく腕組み。
何気ない腕組みですら威圧感がある。ここがカフェテラスでなければだが。

「前は全部食べられたんだがな。
 それは“獣人”だったときの話さ。今はほら、この通り……」

自らの耳を抓んで引っ張る。
先月まで、彼はハウンド犬のような耳をしていた。
それが、まるきり人間の耳をしているのである。

「人間になって、食欲も人並みになってしまってな。
 おかげで食費もずいぶん安くなったぞ」

店員へ目配せする遊馬に倣って、自分も小さく手を振る。怖がらなくて大丈夫。大丈夫だから。

「それにしても、取り締まりで君に間接的に世話を掛けたか。
 何ならみんな頼んで、ヨキと君でシェアでもせんかね。
 仕事中の買い食いはご法度、という決まりがあるならば別だが」

斉藤遊馬 > (相手の恥ずかしげな苦笑に、少年も笑って。)
この間の古典の授業で習ったんですよね。
女子が差別だ!って叫んだんですけど、直前まであいつら干し芋貪ってたんで、説得力半端なかったですわ。
美術室のオーブンからなんか焼き芋の匂いする、とか通報受けたくないんで、加工品持ってくように伝えときますよ。
(口をへの字に曲げてそう言いながら、女子共の様を思い出したのか。)
(少年は目を閉じて、溜息を一度吐いた。)
(そして開いた目に写ったものに。)
え。
あ。
(口を開けたまま、瞬きを数度。)
(記憶の中の、目前の相手のデータとは異なるもの。)
そうだったんですか。そりゃ、失礼しました。
しかしそうなると、さっきの話、伝えるのやめとかなきゃなぁ。
(理由やなんやを聞くでもなく、消費しきれぬ食品を齎すこと無いよう、少年は考え直した様子。)
いや。別に、これが俺たちの役割ですし。
先生にしたら単純に悩んでただけですしね。
……え。いいんすか?いや、どうせ今日の仕事これで終わりだったんですけど。
(言いながら、お言葉に甘えて、というように、相手の対面の椅子を引いて、腰掛けて。遠慮がない。)
じゃあ店員さん、それお願いします。後俺アイスコーヒー。

ヨキ > 変わらず軽い調子で、自分の変化に対する遊馬の反応にくすくすと笑う。

「ふふ、びっくりしたろう?
 大変だったよ。手続きとか、周りへの説明とか。

 だから、もしも次に大量の差し入れが届いたときには、君に湧けるようにしようか。
 そうしたらせっかくの好意を無碍にすることもなくなるかも」

言いながら、早速自分の対面に腰を下ろす遊馬へにやりと笑い掛ける。

「いいよ、ご馳走する。お勤めご苦労様。
 ええと、デザートに君のアイスコーヒーに……、
 ではヨキは、この秋のランチプレートと、あと紅茶をストレートで」

昼食とデザートとを合わせれば、そこそこの量にはなる。
注文を済ませてから、相手へ目をやった。

「風紀委員だなんて、この島のヒーローではないか。
 ヨキはもちろん、君もモテて然るべきだ」

自分もモテたいことには変わらないらしい。

「真面目な風紀委員の君、名前は?」

斉藤遊馬 > そりゃ大変だったでしょう……。種族も含めて、学校には登録されてるでしょうし。
そもそも、ほんとに同じ人なの?って確認取れなくなりますしね。
偽物が成り代わって贋作ヨキ先生爆誕。美術の授業崩壊!とかなったら偉いことになる。
(その場合の騒動を想像したのか、げんなりとした表情で、うへぇ、と声を漏らした。)
(相手の提案、お菓子の譲渡には、首をぶんぶんと振って。)
勘弁してください。万が一にも俺が食べてる所見つかったら、
翌朝には俺の身体が17くらいにバラされて、青垣山と海底遺跡あたりにばらまかれます。マジで。
(手の中持っていたバインダーの表紙、ペンでデカデカとNOの文字書いて、勝訴示す如く相手に見せた。)
ん?先生それ俺と分けても結構な量じゃないです?
あぁいや、タッパあるもんな。そりゃ食えるわ……。
(注文を受けて帰っていく店員に、よろしくー、と手を軽く振って。)
(バインダーとペンを机の端っこに置きながら相手を見る目、口にはしないものの身長への憧憬が僅か滲む。)
ヒーローって先生、そんないいもんじゃないの、先生もご存知でしょう。
口うるさい、学園の犬、いざとなったら役に立たない。評判大体そんな感じですよ。
(からからと明るく笑いながら、首を振る動きはゆるゆると。)
あ。すみません。俺は斉藤遊馬(さいとう あすま)。二年です。
名乗りもせずにご相伴に預かってすみません。でもいただきます。めっちゃありがたいです。

ヨキ > 「先日も、危うく偽物扱いされかけてな。
 これだけ多彩な異能や魔術が存在していては、自分が本物だと証することも難しい」

喉元を過ぎれば笑い話だ。
苦い顔の遊馬に対して、軽く笑い飛ばす。

「ははは、大丈夫大丈夫。
 ヨキの可愛い女の子たちは、そんな過激なことなど……。

 …………、するかな。女の子だし」

異性の勢いは時としてよく分からない。
無責任に小首を傾ぐ。可愛こぶってみせたつもり。
空腹らしく、腹を手のひらでぐるぐると擦る。

「ああ、図体はでかいし、あちこち動き回っているからな。
 二時間ごと何となく小腹が空いてしまって……むやみに食べて太る訳にもゆかんしな」

あっはは。結局のところ、割と大食らいらしい。

「斉藤君か。なあに、とやかく言う者は君らの苦労を知らぬのさ。
 大きな街の平和は、地道で小っちゃい活動によって守られている。
 ヨキは君ら委員をいたく尊敬しているのだよ」

まずはコーヒーと紅茶が運ばれてくる。
お疲れ様、とカップを軽く掲げ、微笑んで一口。

「それにしても、二年生か。
 さぞかしてんてこ舞いの一年間だったろう?」

斉藤遊馬 > ずっと昔は写真一枚で身分証明できましたけど、今だと普通に顔変えたりしますしね……。
昔の人、整形手術とかどうしてたんだろ。
(首を二、三度捻って考え込む様子であったが、目前の男の発言に、真顔で。)
する。
する。
します。
女子はマジで怖い。さっき話した調理実習の廊下疾走止めたときも、俺、死を覚悟しましたからね。
”冷めんだろうがよぉ!おめーマジぶっ殺すぞ!”とか廊下で叫ばれて非常に辛かったです。
(女子の口調の再現をした瞬間だけ、不意に少年の声が変わった。)
(少年の喉から出たのは、少し高めの女子の声。カフェの喧騒に紛れたものの、出元は確かに少年の喉。)
(怖い怖い、と肩を竦めながら、思い出した過去の様子に顔をしかめている。)
確かに人間の体になったら、肉のつき方も人間と同じになりますしね。
でも、こまめに少し食べるほうが太りづらい、とも言いますよ。
……先生の場合少しじゃなさそうなのが問題なのかな。
(先程の注文の様子を見れば、なんとなくそんな気がしたか。)
(相手の笑いに釣られるように、少年も笑った。)
(しかし突然に褒められれば、は、と笑いを止めて。)
あー…いや、その。ありがとうございます。
(少し照れたふうに、視線を左右に少し揺らしてから、頭を下げた。)
(運ばれてきたアイスコーヒーを手にとって。)
ゴチになります。
(軽く掲げてから、ミルクとシロップを注いで、一口。)
(はぁ、と一息ついた。)
てんてこ舞い、っていうか。なんでしょ。現実感がないまま、一年終わった感じです。
このまま四年終わって卒業なんじゃないか、って思うくらいに。
長く居ると、慣れるものなんですかね、これ。
(うーむ、と首をひねった前に、追って運ばれてきたランチプレート。)
(そちらそちら、と、目前の男を掌で示して。相手の前に置かれた、洒落た一枚。)