2016/11/01 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > 「いつもの」

レジ前に着くなり、不躾な注文をするエリート不良風紀委員。

■店員A > 「ハロウィンは昨日で終わりですよ。
そんな目で脅したって、お菓子はあげませんからねー?」

「誰がクソ目付きだ」

■店員A > 「言ってませーん」

ツインテールの店員と短く軽口を交わした後、追加でディナーセットを注文した。
適当な席に座って、目的の品を待つ。
隣の椅子に置いた鞄の中には、こぼれ落ちそうなほどの量を誇るお菓子。
同僚が出会い頭に押し付けてきたものだ。……十中八九、イヤミだろう。
中身は殆ど甘味のラインナップで、当分補給にはよろしいのだがそんなに困ってもいない。ハッキリ言って持て余している。
今必要なのは糖分よりもタンパク質、そして辛味なのだから。

久藤 嵯督 > 待っている間があまりにも退屈だったので、不意に聴覚を研ぎ澄ませてみた。
客の話し声の一つ一つが喧しく鮮明に聞こえてくると同時に、キッチンからは肉を焼く音を確認出来た。
選んだメニューは凝った造りをしているので、もう少し待たされるものだと思っていたが。
どうやらそこまで待つ必要もないらしい。

仄かな期待を抱いた所為か、つい嗅覚を強化してしまいそうになった。
首を軽く振って、止める。完成品を待たずして楽しむ、というのも無粋なことだ。
自分の娯楽に関しては結構うるさく拘るのだと自負している。

周囲の一般人と言えば、くだらない話に花を咲かせている。
正直普通の人間がどこで一喜一憂しているのかまだ掴めていないが、腑に落ちないということも無くなった。
自分にもそういう所があると知って、馬鹿にできるものではなくなったのだ。

久藤 嵯督 > 今回は特に目立った情報も得られず、夕食の時を迎えることとなる。

運ばれてきたのは明後日にはなくなってしまう期間限定メニュー、『ハロウィンズブラッド』。
鉄板上のチリチーズハンバーグを中心に、デコレートされたカボチャをなどの野菜が添えられている。

「いただきます」

ナイフで肉を切り裂くたびに熱い肉汁が鉄板をかき鳴らし、こぼれ落ちたチリチーズと混ざり合う。
仄かに赤い肉は、口の中で溶けるように柔らかい。
チリのややきつめの辛味をチーズが緩和していて、辛味を苦手とする者さえ虜にしてしまうような引力がそこにある。

零れてマグマのようになった鉄板上のソースに野菜を付ければ、これも中々楽しめる。
気分はチーズフォンデュにスパイスを加えたようなもので、これにより当メニューは思っていた以上のボリュームを発揮する。

時々ライスを挟みながら、無事に完食。
通常のメニューよりやや値は張るものの、価格に見合った品質を誇っている事には違いない。
素材や料理人の姿を浮かべながら、両手を合わせた。

「―――ご馳走様」

久藤 嵯督 > 夜の仕事に備えて食後のコーヒーを嗜んでいると、一人の男が背中合わせの席に座って来た。
タバコを吸って吐くように深呼吸をして、独りごとのように呟いた。

■学生服の男 > 「―――液の男《リキッド》が脱走した」

直後、嵯督の目の色が変わる。
実際色彩が変わることもあるが、ここでは驚きを表すものとしてだ。
実に面倒だ。被害が出る前に見つけ出さねばならないだろう。
風紀委員としても見過ごせるものではない。反面、またアレと当たるのは楽しみでもある。
一掃眉間に皺を寄せながらも、その口元は歪に吊り上がっていた。

「……そうか。目星は」

問い返すも、以降男が口を開くことはなかった。
沈黙を得た嵯督は席を立ち、レジ前でデスジュースを受け取った。
嵯督の顔を見て呆れた顔をした店員を背に、カフェテラスを去っていく。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から久藤 嵯督さんが去りました。