2017/05/11 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 放課後、学生で賑わうカフェテラスの店内。
二人掛け用のテーブル席にひとり、ご機嫌なヨキの姿があった。
「んふふふふふ……」
テーブルの上に置かれているのは、期間限定のいちごパフェだ。
つやつやのいちごが王冠のように花開き、つんと尖った生クリームがやわらかな曲線を描いている。
これを食べるために、やるべき仕事をさっさと仕上げて橘へやって来たのだ。
「いただきます」
スプーンを手に恭しく合掌して、生クリームをたっぷりと載せたいちごを口へ運ぶ。
元から子どものようにキラキラと輝いていた目が、一口目を口へ入れた途端にハートになった。
「んふッ」
いい歳をした大人が、つい笑っちゃうのも已む無しなのだ。
■ヨキ > いちごといい、マンゴーといい、栗といい、毎シーズン橘のデザートはよく出来ている。
熟したいちごと生クリームの甘さがこっくりとしていながら決して喧嘩をせず、しつこくない。
舌に乗せるとたちまち滑らかに溶けて……
という、理性的な感想を果たしてヨキが抱けたかどうかは分からない。
とにかく美味い。それだけで良かった。
爽快さをそのまま形にしたような食べっぷりで、二口三口とパフェの輪郭を切り崩してゆく。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > 疲れたり考えたりそんな時には甘いものが有効だ。
そういう時の質の高い甘さは凄く必要なものだと思う。
悩みも疲れも薙ぎ倒すパワーが甘いものにはある!
そうして質の高い甘味を求めてやってきたカフェテラスにやって来た男。
白く長いタオルを首に巻いた男である。
「あれ?」
そこで見かけたのは知っている教師の姿。
ただでさえ身長が高く目立つのにパフェを勢いよく食べるのは更に目立つ。
いや、気になるのはそこじゃない。
前、会った時とどこかが違う…どこが違うんだろう。
前に会って話したのは一年くらい前だから変わっていても全然おかしくは無いのだけど…。
「お久しぶりです!!ヨキ先生?なんか雰囲気変わったような?分かった!…髪切りましたね!?」
…やっぱり何か違和感がある。
違和感があるけどまあ、このくらいの違和感ならまあ、きっと他人の空似という事は無いだろう!
■ヨキ > 幸せオーラを振り撒きまくっていたヨキが、やって来た真の姿に気付く。
「――おや、真乃くんではないか。久しいな」
彼はいつ会ってもすぐ分かる。半ばまで食べ進めていたスプーンを止めて、紙ナプキンで口元を拭う。
ほれ、座り給え、と相席を薦めながら、相手の言葉にぱちぱちと瞬きする。
「雰囲気?髪は長さを整えたくらいしか切っていないが……、…………あっ」
はたと気付いて、自分の両耳を抓む。
ごくありふれた、人間ならほとんど似たり寄ったりの形をした、ヒトの耳。
「もしかして、これか?
実はこのヨキ、あれよあれよという間に“人間”になってしまってな」
かつて顔の横に垂れ下がっていた猟犬の耳は、もうない。
どことなく青白かった顔色は今や血色よくつやつやしているし、何となく表情も明るくなったように見える。
■真乃 真 > 「はい、ありがとうございます!!」
やっぱり、合ってたな!流石僕!!
促されるまま席に座り、やってくる店員さんにはコレ!コレと同じやつください!と
目の前でおいしそうに食べられていたパフェを注文する。
「本当だ!!耳がない!」
前まであった犬耳が無くなっている!
道理で頭のあたりのボリュームが減ったような気がしたんだ!
「それにしても、不思議な事もあるもんですね!
何か変わりました人間になってみて?
見た感じとか話した感じはそこまであまり変わらないですけど!」
常世島に今までいて初めて見た!
それはともかくいきなり人間になって不便な事とかは無いのだろうか?
…あんまり思いつかないけど!
■ヨキ > いちごのプレミアムパフェと銘打たれたその一品は、学生街らしい手頃な値段ながら、なかなかのボリュームがある。
注文を済ませる真へ、んまいぞ、と念を押す。
「だろう?ははは、ヨキもまさか斯様なことになるとは思わなかったぞ。
いちばん大きな変化といえば――そうだな。
『色が見えるようになったこと』かな?
犬の目というのは、人間に比べて見分けられる色がぐっと少ないでな。
それまで不便に感じたことはなかったが……食べ物など、十割増しで美味そうに見えるようになったぞ」
ヨキは獣人だった頃から、食事をえらく美味そうに食べるタイプだったはずだが、その十割増しと来た。
もはやトリップと呼んでも差し支えないのではないだろうか。
「あとは君のことも。
その髪も目も、本当の色でしっかり見えるようになった」
にっこりと笑う。
「ふふ。獣人だった頃は特注品を使わねばならぬことも多かったがね。
その頃に比べれば、ずっと暮らしやすいさ」