2017/06/09 のログ
■美澄 蘭 > (…これからはじめじめからの暑い季節だし、爽やかなフレーバーのアイスティーがオススメみたいね。
でも、冷たい飲み物って合わせるデザートに悩むのよね…どうしようかしら)
メニューと睨めっこしながら、軽く唇を尖らせる思案顔。
■美澄 蘭 > (…よし)
やっと決まったのか、店員に声をかけて。
「すみません、シトラスアイスティーと、オレンジタルトをお願いします」
そう注文をする。
店員が厨房に引っ込んでいったところでやっと息をついて…勉強の準備と、勉強時に聞くBGMの準備を始めた。
■美澄 蘭 > クラシック系の楽器やりである蘭にとっては、BGMの定番である器楽系クラシックは耳を奪われる音楽筆頭である。
数学の課題をテーブルに広げた蘭は、イヤホンをセットして好きな洋楽の再生リストをかけ始めたのだが…
「………。」
何故か、課題に向き合ってシャープペンシルを手にした蘭の手が、止まった。
■美澄 蘭 > (………何だろう、この…聞き流せない感じ)
洋楽の、若い女性達のグループである。
彼女達が作詞にも携わっていて、等身大の歌詞というのも彼女達の魅力………と言われていたのだが。
今までの蘭にとっては、その強さが羨ましい、くらいの感覚でしかなかった。
それが…
(………何か、妙にむずむずする…恥ずかしい感じがする………)
集中はどこへやら、だった。
ふと気がつくと、注文したものを持ってきた店員が不思議そうな顔をしている。
「あっ、ありがとうございます…!」
イヤホンを外し、あたふたと数学の課題を畳んで、お茶とデザートを置いてもらった。
■美澄 蘭 > 「………。」
心を落ち着かせるべく、一つ深めの息を吐いて、アイスティーに口をつける。
柑橘類の爽やかな香りと心地いい酸味は、気分を切り替えるのにちょうど良かった。
しかし、何かおかしい。曲の方は変わっていないはずなのだが。
蘭は覚悟して、もう一度それらの楽曲と向き合ってみることにした。
課題は、ちょっと脇に置かれ続けている。
■美澄 蘭 > あなたの愛に触れるだけで、と。焦らさないで、と歌う歌詞が。芯のある声で作られるハーモニーが、妙に他人事の感じがしなかった。
(………私、どうしちゃったの?)
何となくオレンジタルトに手をつけてみたが、オレンジの甘酸っぱさが、何となくぼやけたように感じた。
再生を止め、イヤホンを外す。
■美澄 蘭 > 憧れを超えた異性への感情など、自分には遠い話だと思っていた。
でも…どうやら、そうでもなかったらしい。
(………再生リスト、別なのにしよう)
深く溜息を吐いて、携帯端末を操作する。
感情の矛先を別のものに向けた楽曲の再生リストを呼び出して、イヤホンを付け直す。
■美澄 蘭 > 何とか気持ちを切り替えた蘭は、適度にお茶とデザートを楽しみながら、ある程度課題を進めることに成功した。しかし…
(好きな曲を落ち着いて聞けないの、何か悔しい)
会計をして店を去る間際、蘭はそんなことを考えたりしていた。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から美澄 蘭さんが去りました。