2017/08/07 のログ
クロノ > …そっか、それは良かった。安心したよ。

(相席の手招きに、男の子はこく、と小さく頷いて「ありがと」と、招かれるままに向かいの席へ。)

…今日は何にしようかなー…。
(メニュー表を手にとって、おでこのランプをチカチカ点滅させながらメニューに視線を走らせ、注文する品物を選んでいる。)

和元月香 > 「ここメニュー何気に多いから決めるのちょっと苦労するよねー。」

苦笑して、ケーキをまた一口。
さっきはあまり味に集中できなかったが、かなり美味しい。
____しかし、また胸を掠める違和感のような感情。
すこし考えた後、思い切って尋ねてみる。

「あのさ、クロノ。
こんなことを君に尋ねるのはちょっと違うかも、しれないんだけど」

月香の表情は、いつもと変わらない。
恥じらうように頬を染めることも無く、不快げなことも無く。
しかし迷える子羊のような、ちょっと頼りない表情だった。

「...恋って、どんなのだと思う?」

クロノ > …? っははは、そうだね。全種類制覇するのには結構時間がかかりそう。…途中で季節毎に変わっちゃったりしてね。
(相手の言葉に、男の子もうーん、とメニュー表を眺めながら考えること少し。店員さんを読んで注文したのは、フルーツタルトとアイスコーヒー。)

──…… ?

(普段通り…とはどこかちょっと違う、相手の視線と表情。そして続く言葉に、男の子はしぱしぱと琥珀の眼を瞬いて、数秒、沈黙。)

……これが正しい、って答えるのは難しいけど…"ふと気づいたら、日頃からその人のことを想う時間が増えてた"とか、"話す内容を考えてもうまく纏まらないか、特に話したいことはないのに、なんだか無性に声が聞きたい、顔が見たい"…って思うようになったら、それは恋をしている、って事なんじゃないかな?

(なんだかこれまでに会ったときとは様子と雰囲気が違う相手を、のんびり見守りながら男の子は最初に運ばれてきた氷水のコップをちびちび口に運ぶ。)

和元月香 > 「期間限定とか多いから、つい手を伸ばしたくなるんだよー」

全メニュー制覇はいつになる事やら。
今も夏期限定のケーキを前に、月香は肩を竦めた。
しかし美味い。しかたない。

「ふむ.......」

クロノの答えを、フォークを机に置いて聞く。
ごくり、と唾を飲み込んだ真剣な表情。

「...なるほど...」

そして納得したように神妙な面持ちで頷く。
今の感覚と、照らし合わせてみる。

(...ちょっと、似てる?)

胸をときめかせたり、とかそういうのではない。
だが、数日妙に彼の姿が頭から離れないことは、クロノの話の一つに類似していた。

「____.....、
じゃあ、私は恋をしているのかー?」

うーむ、とジュースをかき混ぜながら首を傾げる。

クロノ > …ははは。期間限定を攻めるか、定番をコンプリートするか。完全制覇を狙うなら、まずはどちらか目標を定めなきゃ。

(男の子は夜の時間帯に利用することが多いので、ランチメニュー制覇はちょっと厳しそう、と小さく笑う。)

…あとは、"相手と一緒に何かをしたい"…同じ時間や体験の共有をしたい、って頻繁に思うようになっていたら、恋だと思って良いんじゃないかな?

(と、男の子なりの考えをゆっくり話して伝えたところで、店員さんがコーヒーとケーキを持ってきた。男の子の方は相手と違って、目の前のスイーツに以前と変わらずぱぁ、と満面の笑顔でひとくち。)

…んふふ、わぁい♪ ……いっただっきまぁ~す!
(いろんなベリーや果実が乗って、彩り鮮やかなタルトのケーキ。小さなフォークを器用に使いながら、幸せそうにケーキ喰うロボット。)

和元月香 > 「だってどっちも美味しそうなんだもん...」

ふて腐れたようにまた一口。
緩む頬を押さえながら、幸せそうに噛み締める。
甘いものを食べる時間は本当に至福なのだ。

「何かをしたい、か...。
なんとなく今は、思い出しちゃったりしちゃうだけだからまだなのかな...。よく分かんないね」

情けなく苦笑する。
分からない感情をただただ不思議に思う、そんな表情だ。
こうしている間にも心には、彼の後ろ姿が浮かんでいる。

「...てか、クロノって恋したことあるの?何か詳しいけど」

ふと思いつき、自然と首を傾げる。
無いと思い込んでいたが、
意外とあったりするのだろうか。

「本当に嬉しそうに食べるねー」
(相変わらずかわいいなこのやろー!)

タルトにありつけてご満悦なロボットの少年にはにまーっと緩んだ笑顔を向けた。
甘いものに関しては多分他人の事は言えないが、月香は自覚はしていない。

クロノ > …ははは。ぅん、そうだね。1日ひとつずつでも、気長に続ければいつかはマイスターになれる…かも。
(焦らない焦らない、とにこにこ顔で穏やかに囁く男の子は、今日も平和にマイペース全開の様子。)

…もし本当に"恋の病"だったら、進行していくと"寝ても覚めてもずーっとその人のことしか考えられない"とかいう感じになってくるから……今のところは"経過観察"で良いんじゃないかな? …月香は、その事に関して、嫌悪感とか不快感を感じている訳では無いんだよね?

(フルーツ果肉をフォークで啄みつつ、アイスコーヒーをストローでちゅるちゅる。嬉しそうに、と言われて、「そりゃあ、おいしいスイーツを食べられたら幸せだからね」とニコニコ顔)

──……? あるよ。もうずっとずっと昔の事だけど。

(相手からの問いに、意外と冷静なままの様子で答える男の子。照れるでもなく、恥じるでもなく、また懐かしむ様子も無いけど、後悔などもしていないようで、表情も声音も特に変わることはない。)

和元月香 > 「...せやね、まだ卒業まで長いしね」

のんびりいこう、のんびりと。
クロノのほんわかした雰囲気に釣られて笑みが自然と浮かぶ。
テラス近くの空間が、ほわほわとした暖かい空気に包まれた。

「...そんなに考えちゃうんだ...。なんかすごいね、恋って。
うん、別に嫌なわけじゃない。
でもさ、なんというか予想と違うんだよね。
照れたりとか、恥ずかしくなったりとかしないっていうか...」

漫画の読みすぎかもしれないが、恋をした人間は頬を染めたり、羞恥に似た気持ちを抱いていたように思う。
月香の感情は半分が崩壊しているとは言え、まだ羞恥の感情は残っているはずだ。
初めての感情だが、あまりにも自然に受け入れられている。
まるでそうと決まっていたかのように、すとんと胸に落ちてきたような。
もしかしたら月香がもう羞恥さえ感じない、だけかもしれないが。

「___...あるんだ...。
クロノもその子に恋をして、寝ても覚めてもその子のことばっかり考えてたの?」

ちょっと意外そうに目を丸くする。
しかしクロノの、見覚えのある雰囲気の眼差しに1人目を細め、静かにジュースを飲む。

クロノ > …早食い大会とかでもない限り、せっかく作ってもらえた美味しいものは、美味しくのんびり食べたいな。
(量や早さを誰かと競うものでもないし、と、毎日手作り弁当を持参して保健室で生徒と一緒に食べている男の子の、素朴な気持ち。)

 ……ぅん。なるほど…。そうだね、その辺の感情も、ステップが進んでいくうちに変わっていくものだから。あとは個人差も大きいし、一概にこう、って決まってはいないよ。

(相手の経緯や素性を特に詳しく知っている訳ではない男の子は、しかし相手本人も深刻に悩み倒している訳ではなさそうなので、ゆっくり理解していけるといいね、と言葉を添える程度にしておく。)

 ──……正確には、僕の場合は人間と違って、恋愛対象として登録された相手にしかそういう感情は抱かないようになっているから…自然な流れ、とはちょっと違うんだけど。

……さっきまで親しいお友達だった相手が、登録作業が終わった直後から急に特別な存在に思えて…心臓や肺があるわけでもないのに胸がドキドキしたり、ぎゅーってなる感覚が感じられるようになった。最初の時は、すごく新鮮だったよ。

(結局のところ、この男の子の人格も感情も、プログラムによって制御されているものでしかなくて、"あぁ、自分はやっぱり機械人形なんだな"と感じた瞬間でもあった、と。)

和元月香 > 「まだまだ先は長いしね、沢山の食べ物を味わって食べて行きたいなぁ」

幸い時間はたくさんある。
うん、と頷いてまたケーキを頬張る。
...やっぱり、美味い。

「...そっか、なんかごめんね。よく分からなくて。
初めての感情だったから不思議で仕方なくてさ。
ちょっとすっきりしたかも、ありがとね!」

心からのお礼をこめて、笑顔を浮かべる。
いつものより少し、子供らしい素直なそれを。

「...、じゃあ、自分が決めたってないわけか...」

ロボットもなかなか複雑だ。
プログラミングされた通りに行動し、対応をし、そして時には、愛情を抱く。
客観的に見れば酷く残酷な話な気もしたが、月香はそれほどクロノに憐れみを感じることは無かった。
例えプログラミングされたものであっても、
クロノが確かに幸せそうに笑っていたから。

「心臓が痛くなる...。それもよく聞く表現だねぇ。
私は痛くはならないけど、なんかざわざわする感じはするなぁ...」

シャツの上から心臓がある胸元を抑え、ふっと目を閉じる。
ぐるぐると中を渦巻く感情、これがやがて痛みになるのだろうか?

クロノ > …ぅうん、いいんだ。誰だって、初めてのことは不安なものでしょ?回数重ねても、状況は毎回同じではないし。

(不意に謝られる男の子は、ゆっくりと首を振ってにこにこ。お礼を言われれば、「どういたしまして」と嬉しそうにはにかんだ。

 …… ふふふ。僕の型式のAIの場合、親友までは、コミュニケーションを重ねれば自動的に登録されていくから。それ以上の関係として相手を認識するには管理者権限の許可が必要だけど、管理者のお墨付きをもらえたら、恋人デビュー…ってわけ。

(相手が人間の場合、恋の相手が機械で本当に良いのか、とか検討項目は色々多いらしい。ロボット同士の場合は割と簡易なんだとか。)

 ……ん。月香も、幸せになれるといいね。…ただ、恋に焦りは禁物、だよ?

(恋は盲目、とか、恋は相手から色々なものを奪う事、とかよく聞くけれど、できれば相手にも失敗せずに実らせて貰いたいから。男の子はタルトの底の硬いところを丁寧に食べつつそんな助言を。)

和元月香 > 「...そーだね。
ほんと、今回は...」

(斜め上のことばっか起きる...!)

いいことも、わるいことも。
やっぱり、【最初】に戻ってきたからだろうか。
いつも以上に、イレギュラーの事が起きすぎる。
でも、悪い気はしなかった。退屈では無いから。

「じゃあ親友を決めるのは、自由なんか...」

なんだか少し、ほっとした。

「幸せね...。なれたらいいな。
まぁ、あいつにはあんまり迷惑かけたくないし、のんびり行くよ」

まるで他人事のような物言いだったが、深く深く頷いた。
皿にフォークをなぞらせて、こびりついたクリームを丁寧に掬いとる。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に和元月香さんが現れました。
クロノ >  …月香、エネルギッシュに動き回るのも健康的だけど、疲れたときにはちゃんと休もうね?

(相手の恋愛の経過とか、そもそも相手の本質についての過去の苦労話を知らない男の子は、目の前の相手とは至極フラットに接し、ごくごくありふれた存在という認識でいた。)

 ……ふふふ。頑張って。僕も応援してる。
(とりあえずのんびり構える事にしたらしい相手の返事に、男の子は安心したようで、相手と同じようにアイスコーヒーをちゅるちゅる。)

和元月香 > 「...よく言われるよ、休めって。
ちゃんとのびのび休んでるつもりなんだけどなぁ?」

不思議そうに首を傾げる。
月香の休むは遊ぶである。だから休んでいるとはあながち言い難い。
何度も言われたその言葉を、月香は何とか守ろうとしているのだが。

「うん、なんかなにをどう頑張ればいいのか分からないけど頑張る!」

文脈めちゃくちゃな文だ。
しかし月香はよっし、と勢いよくジュースを飲み干してから立ち上がる。
いつの間にか空になった白い皿に清々しい笑顔が映る。

「...私そろそろ行くね!相談に乗ってくれてありがとう!
なんかまだよく分からないけど!」

ありがとう、の言葉にまた明るい笑顔を向けて。
月香は手を大きく振りながら、背中を向けてカフェを後にした。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から和元月香さんが去りました。
クロノ >  ? ……ん。それなら良かった。月香って、たぶん他の子と比べると相当活発なんだろうね。
(周りからは忙しなく動いているように見えてても、本人の負担になっていなければそれでよし、と。)

… ぁ、うん。また何かあったら、お話聞かせてね?
(再び元気いっぱいに忙しく立ち上がる相手を、機械の手をゆらゆら小さく振って見送りつつ。男の子もまた、ケーキの残宰を平らげたら会計を済ませてカフェを後にしよう。)

ご案内:「カフェテラス「橘」」からクロノさんが去りました。