2018/05/08 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 午後、ティータイムにはちょうどいい時間。
「こんにちは」
店内に入ってきた少女は、空いた席の中から吟味して、窓際の席に腰掛けた。
初夏らしい天気であれば、色素の薄いこの少女には陽光が眩しすぎるのだが、幸か不幸か天気がパッとしない今日は、耐えられると判断したらしい。
■美澄 蘭 > 店内でメニューをしばし眺めて…
「すみません、アイスのアールグレイをお願いします」
と、近くを通る店員に飲み物だけを頼むと、ブリーフケースから楽譜を取り出した。
ピアノ独奏の曲の楽譜。
同好会のサマーコンサート。この学園で、最後に自分が主役になる曲。
■美澄 蘭 > 流石に、今年の常世祭の演奏会で演奏者に名乗り出る気はしない。
自分が次の「ステージ」に上がるための…大学入試の、正念場だから。
同好会の仲間達からは、寧ろ今年のサマーコンサートもステージに上がることを…そして、少ないながら伴奏も引き受けることを驚かれたぐらいだったが。
『だって美澄さん、卒業のためには魔術と異能、両方の制御試験あるんでしょ?やること多くない?』
演奏会のプログラム組みの過程で投げかけられた問いを思い出すと、苦笑いがこぼれかけたが…丁度その頃に頼んだ飲み物が運ばれてきたため、何とか引っ込めて対応した。
■美澄 蘭 > アイスティーを少しストローですすって、改めて楽譜を見る。
技術的には難しい曲ではない。ただ、少ない音数での表現が試される曲ではある。
(…「私」の成長を出す機会は、出来る限り逃したくないもの)
魔術は覚えた。異能も、しばらく暴発はない。
でも、そのことそれ自体は、「美澄 蘭」という人間を語らない。
勉強も頑張ってはいるが、まだ、自分を出す段階には至っていない。大学入試までは、その下積みに過ぎないのだ。
…そうなると自然と、そういうことを「見せる」舞台は、音楽の場になっていくことになる。
■美澄 蘭 > 無論、音楽だって高みを見ればきりはない。
蘭はピアノを「趣味」にすることを選んだ。
でも、それだって、「自分なりの精一杯」を出す機会があるならば、それを利用したって誰に迷惑をかけることもない。
つまらない演奏をしてしまったら、自分が恥をかくだけのことだ。
(…余裕なくなったら伴奏優先、かしら…迷惑、かけられないし)
少しだけ、眉を寄せる。
今のところ入試対策の授業自体は普通に対応しているけれど、実際の試験でどのくらいの位置につけるかは今後の頑張り次第だ。
模擬試験の結果やらを見ながら、状況を判断しなければならないだろう。
■美澄 蘭 > 魔術や異能については、あまり新しいことはやっていない。せいぜい、春休みの保健課の講習で白魔術の入門を覚えたくらいだ。
あとは時々制御や実技の確認をしていけば、何とかなる…はずである。
(優先順位はもちろん大事だけど…後悔だけは、したくないものね)
改めて楽譜に目を通しながら、アイスティーをすする。
この学園に来たことで得られたものは、たくさんあった。
だからこそ、そういう機会を与えてくれたこの学園都市に、そこで生きる人達に、「自分」を見せておきたいのだ。
前を向けるようになったのだと。少しは、「本当の意味で」強くなれたのだと。
■美澄 蘭 > やがて、蘭は携帯端末を取り出し、それにイヤホンをセットして…何かを聴きながら楽譜を丁寧に読み取り始める。
ふとした合間にアイスティーをすするということを、何度か繰り返して…
「…よし」
アイスティーがだいぶ減ってきた頃、残りを一気に飲み切って、蘭は席を立った。
会計を済ませて向かうのは、もちろん…。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から美澄 蘭さんが去りました。