2016/03/11 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に佐伯貴子さんが現れました。
佐伯貴子 > 疲れたー…

(ヨロヨロと、混雑する夕食時の店内をさまよう。
 空いている席があったのでどかっと座り込む。
 学期末試験、つまり進級試験も大詰めだ。
 自炊する気力が尽きてしまった)

佐伯貴子 > (メニューをとりあえず眺めてみる。
 ハンバーグ定食が鉄板だが、
 少し値のはるものを食べてもいいかもしれない。
 国産牛ステーキ300g、という文字に目がとまる。
 タンパク質は日頃からプロテインの粉末で補っているが、
 それとこれとは話が別である)

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」にライガさんが現れました。
ライガ > ごった返す人ごみの中に、白髪の大きな背中が見える。
なにやら俯いて手元を動かしているようだが、ふいに顔を上げてコキ、コキと首を鳴らすと、不満そうにつぶやく。

「遅いな、結構経ったと思うけど。忘れられてんのかなあ」

傍らには鞄が置いてあるが、ジッパーが開いており、隙間からノート類が見えるだろう。
テーブルの端には、お冷のコップが置かれているが、すっかり中身はなくなっており、熱気で溶けかけた氷がカラン、と音を立てた。

佐伯貴子 > 財布発見。移動する。

(メニューから顔を上げると、見知った後ろ姿があったので、
 鞄を掴んで、座った時とは裏腹な機敏さで立ち上がる。
 つかつかとライガの向かいの席を引くと)

やあ、久しぶりだな。
君も夕食か。

(などと笑顔で言いながら勝手に座る。
 佐伯貴子は現金な女であった)

ライガ > (……ひでえ)
こう見えても周囲には注意を払う方で、先ほどの聞き覚えのある呟きもしっかり拾ってしまっていた。
唇の端にわずかな苦笑をにじませる、だが相手が近づいてくるとたちまちその表情も消え、
腹をすかせた一人の青年が静かに座っていた。

「ひっさしぶりじゃないか、貴子。
さっきから麻婆豆腐頼んでるんだけど来なくてね。
すっかり出来上がっちゃったよ」

などと言いながらほら、と手元を開くと、鞄から伸びる毛糸、そして、
大柄な外見からは意外であるが、暖色系で編まれた手袋があった。どうやらほとんど終えてしまったらしい、ちゃんと先が5本に分かれた形ができている。
金色の虎の眼を細め、にやっと笑みをこぼすその姿は、
相変わらず、おサイフ系男子であった。

佐伯貴子 > (呟きが聞こえていたとは露ほども思わず、
 明らかに裏のある営業スマイルを浮かべている)

元気そうで何よりだ。
この時間帯は、来るのが遅いのは仕方がない。
編み物…?

(ライガの所属する部活を知らなかったので、
 意外そうにその手元を見た)

手袋か?
食事の好みとは別にそんな一面もあるんだな…

(後輩とはいえ成人男性であり、
 料亭などに通うイメージからは、
 かけ離れた趣味に見えるのだった)

ライガ > うん、美少女の笑顔は良いものだ。
たとえ営業スマイルでも一食くらいならって気になっちゃうね。
大丈夫、この青年は解ってて財布を開けるから。

「これだけの人だもんね、時期が時期でみんなお疲れモードだろうし。

あ、言ってなかったっけ、手芸部だってこと。
これはこれで集中高めるのによくてさ、この冬は勉強の合間にも幾つか作品作ってる。
ま、似合わないって言われるんで人にはあんまり見せないけどね」

ライガはいまだくる気配がない注文の品を探すように、周囲を見渡す。
席について夕食をかっこむ皆の表情は、一様に疲労が目立って見える。
ちなみに部室には、作者不明の編みぐるみが大量に置いてあるそうな。
ライガさん作?いやいや、そんなわけない。少ないとはいえほかの部員もいるらしいし。そんな……

「お、やっときたきた。
少し寒いと、ついつい辛いものが食べたくてね」

割り箸を手に取ったライガの前に大皿とライスが運ばれてくる。
肝心の麻婆は、なんか…こう…、血 の よ う に 赤 か っ た 。
所々に浮いている豆腐が、見ようによっては白骨のようにも見えなくもない。

「ファミレスでも辛めの味付け好む奴がたまーに居るらしくてさ、最近はこういうのも頼みやすくなったよね。
ところで貴子は、何頼んだんだ?」

この時期に夕食となると、やはり寒さに負けず英気を養うためにがっつりカロリーだろうか。

佐伯貴子 > (ライガはいい人である。
 ゆえに利用させてもらう。
 自費はない。
 ちがった、慈悲はない)

この時期に自炊するのは、時間的にも精神的にも結構な負担だからな…

聞いてなかったな。
似合うかどうかは分からないが、意外なことは確かだな。
ちょっと、なんていうか、面白い…悪い意味ではなく…

(表情を見れば、純粋に興味深いという意味で、
 ライガの手元を見ているのがわかるだろう)

うーむ、胃に悪そうな色だな。
タバスコチョコというのもあったから、それを贈ればよかったかな?

(少し眉をひそめてそんなことを言う。
 自分ならば、食べられないことはないだろうが、
 食べきる時には汗でびっしょりになっているだろう)

あ、まだ頼んでなかった…
すみませーん、国産牛ステーキ400gで!

(中腰になって注文する。
 500gでなかったのは、食べきれない恐れがあったからであって、
 容赦ではなかった)

ライガ > 「ふーん、じゃあさ。
ついでだし奢っとくよ。僕と違って、試験は多そうだし。
そうね、試験終わって近いうちに時間、割いてもらえるだけでいい」

返事は待たずに。というか、それくらいは通ると思っている。
お先に、と貴子に断ってから、さっそく箸をつけ、フーフー言いながら掻っ込む。合間にライスを口に入れ……
タバスコチョコ、という言葉を聞くと、とたんにちょっと顔をしかめた。
決して、辛さで敏感になった舌に熱々のライスが直撃したせいではない。

「いやあ、流石にそこまで味オンチでは……
ああ、あのチョコはリキュールとか、シナモンとか入ってたりして、いろんな風味が楽しめてよかったよ。美味しかったし。
チョコレートを贈り合うって風習は、最初は奇妙に思ったけど、ああいうのも、良いもんだね」

お返しは、一応決めてあるが、さじ加減が難しいところではある。
友チョコのようなものであるし。

「ああ、じゃあ早めに注文を決めて。
なるほどね、赤身肉か。確かに脂ばっかとるよりは体型に影響少ないだろう……って」

あれ、もしかしてこれフィレ肉じゃない……?
メニューの写真が不穏な雰囲気を醸し出す。
『写真とは異なることがあります』の表記も気休めにしかならない。
流石にファミレスでブランド牛頼む人は少ないだろうし、値段もそれなりだろうが。

佐伯貴子 > そうか、奢ってくれるのか。
今回はその好意を有りがたく受け取っておこう。
ご馳走になる。

(人を財布呼ばわりしてしれっと言い放つ)

試験が終わったら別にいいぞ。
あ、卒業式と入学式は出席するから、その日以外なら。
メール入れてくれれば合わせるから。

(佐伯貴子は現金な女とはいえ、
 非情ではなかった。
 仮にも友人と認めた相手に奢らせて頼みを断るような人間ではなかった)

それが中々評判が良いらしくてな。
口直しに最適、と辛党のレビュワーが書き込んでた。

ふうん、中身はあまり詳しく知らないんだ。
美味しかったのなら良かった。
女は男よりイベントが好きらしいからな。
今後も面倒がらず付き合ってくれ。

(良い感想が聞けたので、
 自然な笑顔になって運ばれてきたお冷を飲む)

ステーキに何か問題があるのか?

(ファミレスである。
 いくら多少高いと言ってもたかが知れている。
 それに「国産牛」としか書いてない。
 和牛でも国産和牛でもない。
 しかして運ばれてきたのは、

 ――フィレ肉に見えた)

いただきます…

ライガ > 「よかった、断られないかって冷や冷やしたよ。
大丈夫、何もなければ春休みに近い時期になるだろうからさ。
さ、そういうわけで遠慮なくやってくれ」

そう言って、ごまかすようにウィンクしたが、背中を冷や汗が伝った。
400グラム……は、けっこうイクよな。いや、それくらい平らげる女の子も好きだけど。

「いや、いいんだ。
ガッツリ肉も食べるんだなって、意外に思ったものだから。サイコロステーキは以前会った時に食べてたけど」

こういう時、なんていうんだっけな。
『男に二言はない』そうそうこの言葉。
何かに敗北した気もするが、たぶん、目が曇ってたんだろう。そうに違いない。
などと心の中で言い訳を繰り返しながら、食事の続きに戻った。

──その日、会計の際にライガが貴子に隠れて、領収書を二度といわず三度見していたのは言うまでもない。

佐伯貴子 > 私は金には汚いが、冷たい人間ではないつもりだがな…

(自分で言った)

人間が猿だった頃…と言って通じるかどうかわからないが、
とにかく肉はごちそうだと古来から決まっているんだ。
それに運動もしているから、たまにはこういうシャトーブリアンも食べたくなる。

(シャトーブリアンといった。
 本当かどうかは食べたもののみぞ知る。
 上品に見えるがどこかぎこちなく、
 ナイフとフォークでステーキをぺろりと平らげ、
 きちんとお礼の一礼をして、
 至福の表情で店をあとにしたという――)

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からライガさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から佐伯貴子さんが去りました。