2015/06/04 のログ
ご案内:「食堂」にベリオクレースさんが現れました。
■ベリオクレース > (夜中の食堂、赤髪の男を除いて人影はないようだ。厨房に入り込み、なにやらしている。いつもであれば、珍妙な歌が聞こえてきてもいいものだが、今に限ってこの男は黙りこくり、その顔から明るさと呼べそうなものは一切なかった)
■ベリオクレース > (そのうち、男は果物ナイフを見つけると、よいしょと立ち上がり、シンクの前に立つと、音が響かない程度に蛇口を捻り、水を流し始めた。視線は銀色の果物ナイフに注がれる。右手に握りしめられたそれは、窓から入ってくる光を反射して、鈍く輝いた)
■ベリオクレース > (男は一つ肩で大きく息をした。誰かが通りかかったりして、傍から見ればこの光景はまさに自殺せんとする人間にも思えるだろうか。果物ナイフを握る手は小刻みに震え、男の頬には冷や汗のようなものが垂れた)
■ベリオクレース > [そうだ、おれは魔術とかできないし、正直異界とかいうのにもあんまり興味がない。おれがここに入学させられたのだって、この異能?ってやつを制御できるようになって来いってことだったし……おれバカだし勉強できないから、二年生になれるかも不安だったんだけど。なんかなれちゃったし……意外と卒業はできる気がしてくるよね!]
■ベリオクレース > (黙ったまま果物ナイフを見つめ続ける。水は流れてゆく)
[そ、そう、卒業はできる気がするんだよ……根拠はないけど……でも、それじゃダメなのはおれでもわかる。今んところ事故は起こしてないけど、そりゃ異能が発現することがなかったからであって……おれの場合は怪我さえ気を付けてればいいわけだし……でもこれって「制御」じゃないよね]
■ベリオクレース > [制御できるようになるためには……そ、そりゃ、練習だよな……うぐぅ、痛い思いしなくちゃいけないのか……やだなぁ……こわいし……]
(右手が震えながらゆっくりと果物ナイフの刃を左手の手首にあてがった。目をぎゅっとつむる。が、右手は動かない……)
■ベリオクレース > (どう見ても自殺しようとしているような姿勢で、男はためらいから硬直してしまっていた)
(5分間の猶予)
■ベリオクレース > (5分経過)
……よし!うだうだしてても仕方ない!
■ベリオクレース > (男は思い切り刃を引いた。そこからは、)
い、
(血ではなく赤い炎が噴き出していた)
いだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああああああっあっあっ……うぇえええああああああ
(そして男は号泣していた)
■ベリオクレース > ああああああああめっっっっちゃ痛いいいいい
(夜中の寮で叫ぶのはいかがなものか)
ちっ、違う!そう、制御!制御するんだってば!!!固まれオラァ!!!!
(男は果物ナイフをシンクに放りだし、傷口を思い切り抑えつけた。すると辺りを煌々と照らしていた炎が瞬時に消え、傷口の周りには正常に出血が――否、固形の赤い物体が張り付いていた)
お、お、そう、これ、これを~~維持……
(ところで今の炎は火災報知機などには引っかからないのだろうか……)
■ベリオクレース > 維持……無理です!!!!
(男は泣きながら叫ぶと腕ごとその固形物を流水に突っ込んだ。一瞬また炎が上がったが、すぐに水で消火された。が、)
あ、あれ?これどうしたら血が止まるんだ??ヤバくね??
(男の顔がみるみる青ざめていく――)
■ベリオクレース > そうだ、腕を縛って止血……片手で……?
■ベリオクレース > おひぃ~……
(男はそこで気を失い、厨房の床に突っ伏した。偶然にも、無意識に傷口に固形化させた炎が維持されるという成果を残し、出血はそこで止まったようだった。本人が意識的にこのような状態を作り出せるようになるのはどのくらい先なのか……
翌日、夜中に目を覚ましたのか誰かに運ばれたのか、無様に眠った男は厨房から姿を消していた)
ご案内:「食堂」からベリオクレースさんが去りました。