2015/07/28 のログ
ヨキ > 「そうだな。神様だ」

(何を思ったか、ちはやの寂しげな顔に目を細めて微笑む。
 前向きで礼儀正しい様子に、にこりと笑って礼を返した)

「神宮司君は、学ぶことが多いのだな。
 その意欲がよく続くように、ゆっくり休みたまえ」

(おやすみ、と手を挙げて見送る。
 カミューへ向き直ると、やれやれ、とばかりに息をついて)

「ヨキは学園の味方であるからな。
 このヨキの目の届くところでは、ものみなルールを守ってもらわねばならん。
 ……黙っている者がなければいいのだが。
 困ったことに、この学園には君のように異性と見分けの付かぬ者があれば、ルール違反を黙って見過ごす輩も居るようだからな」

(指先をくるりと捻って回すと、蝶は再びその翅を垂らし、もとの鎖となって指に絡みつく。
 鉄色のパンジャが、ちりりと鳴った)

「かつて、日本に――『自在置物』、という工芸があってな。廃れて職のない甲冑師たちが産み出した、唯一無二の手わざだ。
 鉄や銀や、銅を打ち伸ばし、折り曲げ、精巧な動作をもする生き物を形づくる。
 今ヨキがやっているのは、そんなようなものたちの、真似事だ。

 制作せずとも芸術を知り、評することは出来るが、ヨキにはとても足りぬでな。
 カミュー君、君にそうした『好き』はあるかね?」

カミュー > 「…神?」

学園にはあんがい自称神が結構いる。知り合いにも…本物かはともかくとして。
それにしては意味深な答えでは無いだろうか、とつい反復するように口に出す。

「見分けだけとも限らないでござるが。
万人が共有するルール、というものを語るにはまだこの学園は混沌としすぎているでござるよ。」

困ったことに加えられたことに苦笑して、覗き込んでいた姿勢を正す。
ふわりとしたつくりの胸元が揺れて、微かにでもその胸のふくらみが見えるかもしれない。

「日本の技でござるか。自在置物…ふむ、鎧もまた組み合わせの技がいる技術だからな。
好き?…ふむ、こちらの文化に興味は持つでござるが、特定の『好き』と問われると…難しいかもしれないでござるな。
侍には興味は持てど…それほど真剣にのめり込めはしないかもしれん。」

己の羽織…京都で有名な侍集団のみやげ物の、ぺらぺらとしたそれをつまみながらそう自嘲的に答える。
好きと言っても所詮はコスプレ程度だ。立場を考えると所詮一時的な熱狂にすぎないかもしれない。そんな考えを抱きながら。

ヨキ > 「ああ、いや。この異能に命が宿せたなら、それは神の所業だとな。
 神宮司君がそう言っていたから」

(カミューの言葉に腕を組み、顎へ手をやって)

「何も、そこまで大げさなものを語っている訳ではないぞ。
 ここでヨキが言うのは、単なる『校則』の話だ。
 廊下を走るな。予鈴に間に合え。授業中は静かにしろ。異性の風呂場を覗くな。
 犬だって躾けられれば守れるほどの、ちょっとしたお約束事さ」

(言葉に合わせて広げる手には、指が四本きりしかない。男の大きな手のひらに、犬のように短い指)

「ふふ。何も日本の文化でなくたっていいさ。その髪色、君は異世界の出自であるのかな。
 人が何かに打ち込む姿を見たり聞いたりするのが、このヨキの楽しみでな」

カミュー > 「そうでござったな。」

態度と答えに微かに違和感を感じたが、そういわれてみると気のせいに思う。
さらりと忘れてしまって

「校則を語り取り締まるなら風紀の仕事だと思うでござるが。
それに校則はいまだ模索されている中途にすぎない…どちらかというと信念とか言ってもらったほうが面白かったでござる。」

そっちのほうが議論の種になる。当たり前な答えに、なんとなく笑ってみせる。

「犬に廊下を走るなはちょっと難しく無いでござるか…。」

そう言う問題では無さそうだが、躾としてどうなのだろう。
なんとなく突っ込みつつ、ヨキさんが自身同様異邦人らしいことに気づいた。

「いかにも、拙者は異邦人でござる。
とはいえ半ば放逐されたようなものでござるから、打ち込む…というのは難しいでござるな。
自由とは行かず、とはいえ何かを為すわけでもなく…。楽しみを満たせ無くて申し訳ない。」

半ば、と言うところがカミューの立場の厄介なところ。
己の手のひらを見つめながら。

ヨキ > 「おや。教師は学園の風紀に触れずともよいと? はは、ヨキの趣味の時間も増えそうだな。
 ありがたい話だが、教師の本分はそれこそ蔑ろに出来ぬでな。

 だがね、『模索』と『見切り発車』は区別を付けたほうがいい。
 模索することは正しいが、組織はあやふやなまま設立されるものではない。
 すべては現行のルール――つまり校則に従って運営され、現状と齟齬が現れたとき、ルールには手が加えられて然るべきだ。
 ヨキの信念はすべてに在る。この島に、この学園に、この校則に。そしてその語は、いまヨキの手札とするには些か弱い」

(穏やかに笑っている。カミューの様相、それ自体に視線は向けられていない。
 金色の瞳は、ただ碧眼を見ている。時おり上下の瞼をぐっと合わせるような、獣めいた瞬きをしながら。

 犬への躾については、手綱捌き次第だな、と笑って)

「放逐?ほう。徒刑囚か?獄吏の目でもついて回る身かね。
 有史以来、囚人から身を立てた者は少なくない」

カミュー > 「む、確かそう言うのを聞いたことが…生活指導、というやつでござるか。」

納得しつつ、日本の文化から見知った言葉を引き出してみる。
風紀、公安以外にそう言う立場もあるのか、と考え直しつつ…知っている教師は風紀公安関係の立場があるか、自由かの二択が多かったのだ。

相手の言葉を噛み砕くように、じっと見つめる金色を見つめ返して。
カミューの蒼はその奥に不思議な光をたたえている。

「いや、面白いとか失礼したでござる。先ほどの言葉は撤回する。
真っ当で、ためになる言葉だった。」

ひとつ瞬きをして、目を伏せ軽く頭を下げる。

「自身のこともあるが…神宮司さんみたいに区別の付きづらい生徒も最近は増えている気がしたし、こう……
…噂では男色もはやっていると聞くので、型どおりのルールではどうか、と思いつつあった次第でござる。」

TCB団はそう言う歪みの筆頭なのだろう。おそらく力だけでは押さえつけられない、と思う。
カミューにはだからどう、というわけではないが。

囚人扱いには苦笑して。

「…そう見えるでござるか?
どちらかというとそちらのほうが気楽でござったか…
うかつに動くと影響があるので、隠居させられた、見たいな感じでござるよ。故郷の事情になるからこれ以上は面倒でござるが。
例えるなら、魔王と和解したあとの面倒な勇者の扱い、か。」

別にカミューは魔王を退治したりはして無いが、余計な力があると言う点では似ているのだろう。
そんな漫画を思い出しつつ。

ヨキ > 「そうそう。教師は教える立場であるゆえに、生徒の素行を見逃すことは出来ん。
 だがしかし、校則の外ではヨキはいくらでも君らと楽しむ心積もりでおるのでな。

 ヨキは公安にも風紀にも付かぬし、だからと言って野放図を決め込む訳でもない。
 ヨキはヨキの思想においてのみ行動する、遊軍のようなものなのさ」

(逸らすことのない眼差しは、ヨキが常に他人をそのようにして見ていることが窺い知れる。
 カミューの瞳を、さながら見たこともない石か、飴のように眺めながら)

「はっは。撤回などせずとも構わん。
 ヨキは意固地であるからな。思いもよらぬ言葉の聞けることは楽しいものよ。
 まあ……色恋、男色は好き好きであるからな。
 それもまた、節度を守って、と言うほかにないな。
 同じ寮に住まう者の男色を認めては、住まいの離れた恋が報われない」

(校則の範疇であるならば、清らに恋い慕うこと大いに結構、と。
 続く話には、ふっと息を漏らして笑う)

「いいや。
 もし君がこの広大な島を流刑地として、それで自由を阻まれているとなれば、これ以上の哀れはないと思ってな。
 遠い世界の事情には不勉強であるけれども、君が罰を受けているのではないとしたら、それでいいんだ」

カミュー > 「風紀もずいぶんと自由みたいでござるが…
確かにどこの立ち居地にも着かないことが、その行動に相応しい。」

こういう人物はもといたところにもいたし、扱いを間違わなければ頼りにもなる。
とはいえ実力がなければただの夢想だ。しかしヨキ教師はそれも兼ね備えている…ように見える。
血しぶきが物騒にすぎるが…しかしおおむね好感を感じた。器も大きい。

「どちらもヨキ教師にとっては同じ、と。
わかりやすいでござる。」

政治的ではないが、清らかであるのだろう。
下手な口出しは自身の立場のゆがみっぷりを自覚してしまって、口元を歪める。

「流刑地というには…いや、そういう考え方もあるのでござるな。
哀れなのかどうかは実例を見なければ拙者にはなんともいえないでござるな。
とりあえず拙者は違う……ふぁ…と、長く話をしてしまった。
拙者もそろそろ寝ることにするでござるよ。」

話の途中で欠伸を噛み殺し、そう会話を区切った。まだまだカミューも歳若い。

ヨキ > 「組織には組織のルールがあるからな。ヨキには『校則』、それひとつがあればよい」

(引いては公安や風紀を含め、学園直下を除いた規律には従わぬとの意が言外に滲んでいる。
 手を広げて、講釈の区切りを示す)

「男色を認めるも自由、嫌忌するも自由であるということだ。
 枠組みから放たれたルールを整備することは賛成だが、均し尽くすことには反対であるよ。
 『好き』を表明できぬは苦痛だが、『嫌い』を封じられるもまた地獄だ」

(欠伸を漏らすカミューに、穏やかに笑って)

「やあ、随分と話し込んでしまったな。ゆっくりと休むがいい。
 この寮はしばらく静かであるようだし……ヨキは他の見回りへゆくとしよう。

 夜更けに怒髪が天を衝いたとあっては、翌朝の寝癖に響きそうであるからな。
 平和な夜であってほしいものよ」

(笑いながら、ではね、と挨拶して、長椅子から立ち上がる。
 サンダルの靴底がタイルの床をひたひたと踏み締めて、寮の外へ出てゆく)

ご案内:「ロビー」からヨキさんが去りました。
ご案内:「ロビー」からカミューさんが去りました。
ご案内:「部屋」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > 鈴成静佳と別れ、寮の自室に戻って来た。
疲れた体を休ませたい……と言う気持ちがあるが、それを抑えてまずパソコンの前に向かう。

「えーっとー……」

起動。インターネットブラウザを起動。
検索欄に……『エロゲー』と入力。

「調べるだけで気恥ずかしいな、これ……」

溜息が出そうになる。が、今後のためにもやらねばならぬのだ。

霜月 零 > が、検索してみると、肝心のゲームが表示されない。
寧ろそれに関連するエピソードの纏めなどが出てきてしまった。

「検索が雑すぎたか……?」

とは言え、題名など知る由もない。
と、ここで静佳の言葉を思い出す。

『そうそう、エロゲー買うときは『スズナ』ってシナリオライターが作ってるゲーム探してみて。結構あるから。ウチのお母さんなんだー。フフッ。』

そんな事を言っていた。

「あー、じゃあ……」

シナリオライター スズナ と入力。クリック。

霜月 零 > 「お、結構あるな……」

なんかずらっと並んできた。どれをクリックしたものか。
取り敢えず、聞き覚えのある単語が題名の物をクリックする。カチッ。

「えーっと……?」

題名は『ダル・セーニョ』。繰り返す日常、入れ替わる愛情。がテーマのタイムリープ系学園モノゲーム。
音楽記号のダル・セーニョとかかっているのだろう。
クリックしたら、中々に凝ったサイトが出てきた。これは……学校かな。

「単なる風景画としても、結構きれいだな……」

そんなズレた感想を抱きつつ、適当にSTORYと書いてあるところをクリック。

「何々……あー、時間遡行っつーかなんつーかか?」

所謂ループもの、と言った感じだった。一定の所で日常がループしてしまう、その中でそのループを抜け出す道を模索しつつ愛情をはぐくんでいく、と言うストーリーらしい。
似たようなものは普通の小説でも散見される。

「つーか、多いな!?」

なんか、2とか3とかコーダとかエクストラナンバーとか、色々種類があった。なんだこりゃ。

霜月 零 > かち、かち、とそれらをクリック。
登場キャラクターは一部同じだったり入れ替わってたり。
これは……

「続編とか、派生作品とかか……」

別途で調べてみたところ、初代が大人気だったおかげで続編が大量に出ており、おかげさまで『リピート商法』と批判されてたりもするようだ。どこの業界も世知辛いというかなんというか。
ちなみにシナリオライターもちょくちょく入れ替わっており、それが余計批判を呼んでいるとか。
閑話休題。

「色々あるんだな……」

たった1企業の1作品しか調べていないのに、お腹いっぱいになりかけていた。大体派生が多すぎるのが悪い。

霜月 零 > じゃあ、と同企業の中の別作品を調べてみる。別種がほとんどないのは大丈夫なのかこの企業。

「えっと……『エンドレス・ファンタジー』な」

「世界は終わりなき物語の舞台」がキャッチコピー。ファンタジー、の名の通り中世ファンタジー系の世界観であり、ダル・セーニョシリーズとはかなり趣が違う。
ちなみにEVENT CGと言うページには、あられのない女の子のイラストがいくつかあった。うわぁエロい。

……ちなみにこのエンドレス・ファンタジー、リピート商法の批判を避ける意味も込めて打ち出した新作だが、システム面で不慣れなテーマに挑戦したため爆死したらしい。本当に世知辛い。

「色々あるんだな……」

先程とは違う意味合いで同じ言葉を口にしつつ、カチカチと適当に調べていく。

霜月 零 > それなりの数、エロゲーと呼ばれるものは見つかった。

例えば『CUT and SHUFFLE!』。「お互いの気持ちを、カット&シャッフル!」がキャッチコピーの学園モノなのだが、何故かミニゲームと言うかメインゲームがカードゲームらしい。何がさせたいのだろうこの企業は。
ただ、レビューには『終いには「どうしてカードで対話しないんだ……」となる名作』とあった。意味が分からん。

他には『この水面より海色な』。キャッチコピーは「海の底には、海より青いお姫様がいた」
水中に住まう人魚族の王女様との恋愛がメインらしく、異種間交流と言う意味では常世学園にやってること近いのかもな、なんていう間抜けな感想を抱いてしまった。

少し毛色が違うものでは『Doom/dawn light』。
過酷な運命に巻き込まれた主人公が、過去の英雄を呼び出すマジックアイテムを駆使してそれに抗っていくと言うバトルもの。過去の英雄たちとの恋愛と言う異端のストーリーと熱いバトル展開がウケたらしい。

異種間交流と言うのであれば『瑠璃姫』。
近所の名家、瑠璃家のお嬢様は何と吸血鬼だった!?と言う所からスタートする吸血鬼との恋愛ゲームらしく、よくはわからないがかなりブームになったらしい。

と、いろいろと調べて分かったことが一つある。それは……

「…………どれを選んでいいか分からん」

よくわかんない、と言う事だった。
げんなりした表情でモニターを見つめる。いや、違うのだ。状況的には学園モノがいいはずなので、例えば『ダル・セーニョ』だったり『CUT and SHUFFLE!』だったりがいいのだろう。
だが、その中でどれを選べばいいのか、皆目見当がつかないのだ。

霜月 零 > そもそも、零がエロゲーを求める目的は『参考資料』と『耐性付与』である。
その目的を鑑みた時、どのゲームを選んで購入すべきかが本当に見当がつかないのだ。
ちなみにそれぞれお値段は8000円オーバー。流石に『数撃ち当たれ』の精神でいくつも買うにはお高いシロモノだ。
故に。

「どーっすっかな、これ……」

霜月零は頭を抱えていた。
勇みこんで足を踏み出してみたはいいものの、二歩目をどっちに踏み出していいかがまるで分らない状態だ。

「氷架に相談……は、ねーな」

まさか恋人に『お前とのえっちのための参考資料にエロゲ買うから一緒に選んでくれ』とか絶対言えない。と言うか軽蔑されそうでとても怖い。
となると……

「鈴成、か……」

もう一回、彼女に相談するしかなさそうだった。

霜月 零 > 「はぁ……」

漏れる溜息。エロゲーのサイトを前にしてげんなりした表情で溜息を吐く男がそこにはいた。

「なんつーか、世話になりっぱなしだな、鈴成には……」

稽古に恋愛事情の相談、そしてえっちへの耐性の相談まで。
随分と色々と世話になってしまっている……相手女子なのに。

「こんなんで大丈夫か、俺……」

頭を抱える。考えれば考えるほど自分が情けない、なんなんだこの男。
だが、そうやって頭を抱えてばかりもいられない。取り敢えずサイトを閉じて、PCの電源を落とす。

「もっぺん話聞くか……」

ふぁ、と欠伸。色々調べていたら結構時間が経過してしまっていた。

「寝るか……」

あまり夜更かしするのは体に良くない。無理が発生しない内に布団に潜る事にする。

……出だしが遅いのは仕方ない。それでも確実に、一歩一歩前に進んでいけばいいのだ。
そう自分に言い聞かせながら、布団の中で意識を手放した……。

ご案内:「部屋」から霜月 零さんが去りました。