2015/08/21 のログ
上那賀 千絵 > 「そうだな、欲するからこそ理由はある、何故かを知りたいだけだ」

少々口調に強みが見える彼女、
焦りか何かを感じているのだろうか・・・?
と思考を巡らせる。

「私は未だ直接関わっては居ないが、そうだな・・・、
君の言うとおり噂程度には聞いている、本当にロクでもない出来事だ。放っては置けないな。」

心底より思う声、
確かに彼女の言うとおり事件はおきて居る。
自分は劣等感はないものの力の使役を抑えている。
力は使い方を誤まれば後悔することを知っているから。

「・・・成程。それで力がほしいと・・・。今おきて居る事件に立ち向かうには力が足りないと・・・。」

彼女の言うことも一理有る、
今おきて居る事柄に抗うにはそれ相応の力は必要、
ふむ・・・、どうしたものかなと口元に手を沿えて眼を閉じ思考する。
少し沈黙して再び眼を開き彼女の緑の瞳へと視線を向けた。

「・・・君の力がどれだけあるかは私は知らないが・・・、
ヒトを超えた暴力が、抗う為の力がほしいと願うのならば
私は協力を惜しまない。
きっと、君の使い方を誤まらないと私は思うから。
然し、それは君に覚悟があるならば、の話・・・。」

じっと彼女の眼を見たまま視線を話さない、
冗談ではない言葉だと暗に告げるためだろう

薬師寺 瀬織 > 事情を語った瀬織に対し、協力を申し出た水色の髪の少女の言葉を受けて、
瀬織はしばし瞼を閉じて思案するも、再び瞼を開けば、鋭く冷たい視線を向け。
「……何を勘違いしているのかしら。私は協力者を探しているわけではないのだけれど」
低い声と共に、少女が申し出た提案を固く拒まんとする。
「貴女にどれほどの『力』があるか知らないのは私も同じよ。でもね、これだけは言えるわ。貴女の『力』は貴女の『力』であって……私の『力』ではないの」
これまでよりひときわ低い声と共に、続ける。
「例え貴女が私の協力者になったとして、それは所詮借り物の『力』でしかないわ。私自身が『力』を手に入れない事には意味が無いのよ」

上那賀 千絵 > どれだけ冷たく厳しい視線だろうとそれに動じる気配はない、
それに動じるだけの感情を持ち合わせてはいないから、
故に彼女の言葉を意見として捕らえ其の侭答えに返す。

「それでは何を求めている?
力が欲しいと一点張りも良いがそれを如何得るかを考えるべきだろう・・・。
それに私は力を与えるようなことはできない、協力というのは私がともに戦うわけではない。
私が敵となり君が勝手に強くなれば良い。そうだろう?それに・・・」

言葉は続く、
怖気づかず機嫌をとろうともせず、
声も変わらず無機質で感情すら見えない。

「それに・・・、仮に死んでしまえばそれまでだ。」

薬師寺 瀬織 > 「どう、得るか……」
瀬織が求める『力』。それを実際に、どう得るべきか。
手段はいくらでも考えうる。――合法的なものから、非合法なものまで。
最も実行しやすい手段のひとつとして、瀬織は拳銃を購入した。
では、次はどうするべきか?それは、まだ決まっていない。
敵を作り、それを乗り越えるのも、戦闘能力が無いに等しい現在の瀬織には有効な手段だろう。
「……そうね」
いかに強大な力があろうと、死ねばそれまで。
残酷なようではあるが、それも真実だ。その言葉については、ただ肯定する。

上那賀 千絵 > 「そう、如何得るか、だ。」

・・・当然、殺してしまう気はない、
が、もし本当にそうなるのであれば私は彼女へと刀を振るうだろう・・・、例えば、そう、━━この様に

「・・・!」

タンッ・・・、と殺気を見せることなく静かにソファーから一歩踏み出したと同時に腰に携えた一本の刀、
シィン・・・、と鞘と刀の擦れる音を立てながら引き抜きその刀身を彼女の首元へと向けようか・・。

彼女がこの行動に反応できるか否か確かめるべくの行動。
勿論、刀を彼女の首に当てるような事はしない、
あくまで向けるだけ・・・。
氷の様に凍てつく殺気を瞳に宿して・・・。

薬師寺 瀬織 > 水色の髪の少女が刀に手を駆けるや否や、瀬織はその右手に銃を持ったまま自身の首を守るように右前腕を突き出し、
義手に取り付けられた超硬質金属製の装甲を以て、向けられた刀を咄嗟に受け止めんとする。
間一髪のところで刀は静止、先端がかすかに紺色の装甲と、そこに刻み込まれた『XIII』のサインを掠めた。
「…………」
言葉はない。ただ、眼前の少女の双眸を、緑色の瞳はまっすぐに射抜かんとする。

上那賀 千絵 > キィン・・・、と甲高い金属音、金物が衝突したときに発する音。
微かな火花を散らして刀は静止する。
『XIII』と刻まれた義手のサインを一瞬一瞥する。
ほんの一瞬のことで隙すら生まれないだろう・・・。
彼女の視線は真っ直ぐと此方をみている。
対する此方は平然と見える瞳を向ける。

「無駄な言葉の言い合いがなくなったな。
力が欲しいのだろう、此の侭得てみるか?」

問いただしてみる、彼女が如何いう選択を取ろうとも、
此方は一切の後悔はしない・・・。
寮内とは知っているが、此方にそこまで配慮できる心は持ち合わせておらず場所問わずといったところ。
ギリ・・・、ギリ・・・、と鳴る刀と彼女の装甲の接触点、

見つめた瞳は答えを求める・・・

薬師寺 瀬織 > 刀を抑えつつ、瀬織は思考する。水色の髪の少女は本気だ。
ここで安易に刀を弾き返し、戦意を放棄するような動きを見せてしまえば、そのまま首筋を斬られかねない。
右手に持っていた拳銃を、まだ回復しきっていない左手に持ち替え、装甲の下から銃口を向ける。
かといって、このような場所で発砲するわけにもいかない。
瀬織の倫理観は、まだそこを理解していられる程度には保たれていた。
「…………」
なおも、沈黙。余力の続く限り、刀を抑えんとする。響く金属音。

上那賀 千絵 > 「止せ、その様な行動、見透かせずに居ると思うか?」

挙動を見せた彼女、
察するは先程まで見つめていた銃の行く先、
空いた左手、力を使役せずとも理解するには秒もかからなかった。
自らの刀を振るった片手、もう片方の空いた片手、左手の掌を地面へと翳せば・・・・、

パキッ━━パキパキッ!

っと、凍りつく様な音を立てながら
彼女の持つ拳銃の銃口が向く軌道を遮断するように地より突き出るは氷柱、
放てば銃弾は氷柱に激突し割れるだけとなるだろう・・・。

「答えがないとなれば、了承したと受け取るが・・・。
いいんだな・・・?」

依然として言葉を発しない彼女、
余裕がないのか、又は最早私のことを敵と捕らえているのか・・・?

再びの問いかけをおくる。
地面へと向けた左掌を彼女の此方を見る顔面へと翳して指と指の間からその瞳を見つめて・・・。

薬師寺 瀬織 > 銃弾の経路も遮られ、もはや打つ手はない。
未だ沈黙を保っていた瀬織は、そこでようやく、
「…………嫌よ」
はっきりと、拒む。そして。
「(また……負けるのね。私は……私は……!)」
敗北を確かに認識した時、瀬織の心の片隅で少しずつ確実に膨らみ続けていた負の感情は、
一段と大きさを増し、その思考を黒く塗り潰していった。

上那賀 千絵 > 彼女の答えを聞けば刀に込めた力を収め、
自らの持ちえるその力をも解放する。
力の影響を失った氷の柱は形を成せなくなり再び大気へと還っていく。

「私が・・・、私が本当に悪であり敵であるその存在だったのなら・・・。君は死んでいたかもしれないな。」

踏み出した一歩を戻すと同時に刀も鞘へと仕舞い込む、
自らの視界に映る彼女に先ほどの強さを見せる姿はなかった。

「弱い・・・、それは力なんかじゃない・・・。」

なんといっていいかわからない、
きっとこの言葉も彼女にとっては怒りを買うものになるだろう。
旨く伝えきれない自分の心を少し恨んだ。

薬師寺 瀬織 > 「……そんな事」
――わかっている。そう、怒りのままに吐き捨てる瀬織に、普段のような落ち着きはまるで無かった。
今の瀬織は弱く、力が無い。刀を持ったただ一人の少女にすら、とうてい敵わない。
だからこそ力が必要なのだ。超常の暴力に対抗しうる力。大切な人を守るための力――否。そのようなものは建前にすぎない。
何者にも負けぬ力。その気になれば、たった今自身を打ち負かしたこの水色の髪の少女をも叩きのめし、ひれ伏させることすら可能な力。
力さえあれば。力さえあれば。力さえ……真っ黒に塗られた思考の中で、妄執が渦巻く。

上那賀 千絵 > 「・・・」

言葉の数の少なさと沈黙の時間、
自分一人の世界に閉じこもってしまっているかの様、
こうなってしまっては言葉で言おうにも反応すら示さない。
如何すらばいい、如何すれば・・・。
欠落した感情では何も思い浮かばない、
然し何かをしなければならない、
このままでは彼女自身が崩壊してしまいそうな気がしたから。
咄嗟に出た行動は・・・。

何の力も使役しない、単純は右掌を使ったビンタ、
力もそこまで篭ってはなく、パシン、と当たる程度。

言葉で(冷静になれ)なんていえない代わりに、
行動で示して見せた。
彼女のなるべき姿はそうではないと。

上那賀 千絵 > 然し、そのビンタも当たるかどうかはわからない・・・。
薬師寺 瀬織 > 水色の髪の少女、その右手が、瀬織の頬を打つ。乾いた音がロビーに響いた。
「っ……!」
無抵抗に受け入れた一撃。その痛みからか、黒く染められた思考が徐々に霧散してゆく。
とはいえ、それも一時的なものだ。何かのきっかけがあれば、力への妄執は再び、容易に瀬織の心を蝕むだろう。
全身の力が抜けた瀬織は、ソファの上で抜け殻のようになる。
「……私、は」
――何を考えていたのだろう。そう続くはずの言葉は、しかし瀬織の口からはそれ以上紡がれない。

上那賀 千絵 > 「すまない、大丈夫か・・?」

彼女の頬を打った自身の掌は若干ヒリヒリする痛みが響く。
衝撃を与えたのは正解だったのだろうか、
雑念がとんで呆然としたような彼女。

「こうなるつもりはなかった・・・、如何やら、君に迫りすぎたようだな・・・。」

反省だ、小さくため息をついて眼を閉じた。

薬師寺 瀬織 > 「いいえ。……そうね。私も……少し、周りが見えなくなっていたのだと思うわ」
水色髪の少女の謝罪の言葉には、問題ない、といった風に応え。
雑念の掃われた思考で先程までの自身の様子を冷静に見つめ、告げる。
俯く瀬織の瞳には、次第に涙が浮かんでいく。
「そうね……情けないわね。……まったく、情けないわ」
薬師寺瀬織は保健課生徒である。保健課生徒の務めは、生徒の命を守り、救う事だ。
しかし、先程までの瀬織が求めてやまなかった力はそれと真逆のもの。生命を蹂躙し、冒涜し、消し去りうる力であった。
保健課であるはずの自分が、一時でもそのような力を求めていたことが、何やら恥ずかしくなる。
気付けば、その瞳からはぽろぽろと、涙が零れていた。

上那賀 千絵 > 「・・・」

言葉を無くして頷いて此方は大丈夫だと告げる。
欲求に溺れてしまう事がなくて安堵の息をついた。
その瞬間、彼女へと視線を向ければそこに映ったのは涙を浮べる姿・・・。
彼女は自分を蔑む言葉とともにその浮かべた涙が溢れて行く・・・。

「私は・・・、力はあってもいいとおもう、
けど、使い方を誤まってはいけない、そう思うんだ。
君は、きっと間違えない・・・・、なぜなら・・・」

自らの行動に少し罪悪感が生まれる、
他の者ならば彼女の心にこの様な傷を付けずに方向を定めれたのではないかと・・・。
少しだけ歩み寄ってとめた言葉の続きを続ける。

「なぜなら・・・。間違えた人間は、この様な涙は流せないから。」

気づけたから大丈夫、と伝えるように
彼女の肩を軽くポンポン、と叩いてあげる。
それは、やりすぎ立った自分の行動に対する謝罪の意味も込めていた。

薬師寺 瀬織 > 自らの肩を叩かんとする水色髪の少女の動作も、瀬織は黙って受け入れる。
力なき正義は無力でしかない。だが正しい心なき力は、容易に他者を傷つけうる。
それはかつて、自身が友人に向けた言葉の一部でもあった。
その自身がまさに今、正しい心を失い誤った道へ進みかけていたとは、なんたる皮肉であろうか。
「…………私は、」
言葉は続かない。今の瀬織には、少女の言葉に対して、自身のはっきりとした言葉で返すことができない。
俯いたまま、涙を流すのみである。

上那賀 千絵 > 「・・・」

何故だろうか、心の奥底で疼くのは・・・、
心が縛られるようで苦しい。
この感情は昔知っていた筈なのに思い出せない。
彼女のその弱りきった姿とこぼれる涙をみていると、
どうしようもなくもどかしさを感じる。
如何すればこの心の靄を解消できるのだろうか・・・。

自分の頭で考え、感情を搾り出し一歩歩み寄り近づく。

「・・・・、君は、間違えない筈だ、現にこうやって気づけてる。
その・・・」

詰まる言葉、中々旨くいえない自分に少々劣等感を覚えた。
然しそんな事いってる場合ではない故、
今自分を思っている言葉をできる限りで口にする。

「だから、泣かないでくれ、君の涙をみていると、何よりも・・・、君に敵意を向けられたときよりも、私は、辛く苦しい。」

辛く、苦しい、そうか、これが辛い、苦しいなのか、と自分で理解する。
彼女の肩に手を置いたまま、その泣き崩れてしまっている表情を見つめた。

薬師寺 瀬織 > 「…………そうね」
水色髪の少女の言葉を聞いた瀬織は、左手で涙を拭い、顔を上げる。
そして、少女の顔をしっかりと見据えると、ややぎこちない微笑みを見せた。
かつて瀬織が、友人――今となっては、友人だった存在、であろうか――鈴成静佳から教わった笑顔。
普段から表情の変化に乏しい瀬織は未だ、彼女のようにうまく笑う事はできない。――それでも。
「もう、泣かないわ」
その一言だけを、彼女に伝える。

上那賀 千絵 > 「その方が、君は似合っている」

ぎこちない微笑みだが、自分にとっては自然に見えた。
その微笑みにはその感情が篭っていたから・・・。
私の手ももう必要ないだろうと、彼女の肩から放していく。

「有難う、・・・、もし、苦しくて抱えきれないときは、私でよければおしえてくれ。・・・、最も、頼りにならないかもしれないが・・・。」

今現状ではもう大丈夫ととってもいいだろう彼女、
ゆえに私は頷き安心したのか肩の力を抜き一息零す。

「・・・、上那賀千絵、私の名前だ」

名前だけ告げればそっと振り返り

「そろそろ、私は行くよ。」

素っ気無いかもしれないが自分なりの一言告げて
その場を去っていった。

ご案内:「ロビー」から上那賀 千絵さんが去りました。
薬師寺 瀬織 > 水色髪の少女――上那賀千絵がその場を後にした後。
「……上那賀千絵。覚えたわ」
彼女自ら名乗ったその名を、復唱する。
しばし気が抜けたように呆然としていた瀬織は、拳銃を左太腿に巻いたホルスターに収めると、
ソファを立ち、自室に戻らんとエレベータの方向へ向かう。
「そうね……私は上手くやる。そう言ったんだから。そう決めたんだから……」
誰に告げるでもない不穏な言葉を残しつつ、瀬織もまた紺色の髪をなびかせ、その場を去ってゆく――

ご案内:「ロビー」から薬師寺 瀬織さんが去りました。