2016/02/09 のログ
ご案内:「ロビー」にセシルさんが現れました。
セシル > 授業を終え、寮に入った途端に顔をしかめるセシル。

「………時間も経っているし、もう少し、和らぐかと思ったが」

原因は当然、バレンタインデーを控えて寮内に溢れているチョコレートの香りである。

セシルは、別に甘いものが嫌いなのではない。
ただ、セシルの元いた国では、チョコレートの原料が「遠方からやってくる贅沢品」だったため、滅多に口に入るものではなかったのだ。
セシルは庶民育ちではないため何度か口にしたことはあるが、その程度である。

…要は、「大量のチョコレート」というシチュエーションに対して、身体が対応しきれていないのである。

セシル > チョコレートの香り自体は、やはり嫌いではない。
…しかし、その香りはやはり「強い」。不慣れなセシルにとっては、半ば暴力の様相を呈している。
早足でロビーの自販機に近づき、微糖の缶コーヒーを購入する。
コーヒーも、やはり元いた国では贅沢品だったが…香りの趣が異なる。
今のセシルにとっては、有難い緩和剤だった。

「………ふぅ」

缶コーヒーを手に取り、開けると一気に呷る。
それから、安心したような溜息を漏らした。

ご案内:「ロビー」に不凋花 ひぐれさんが現れました。
不凋花 ひぐれ > 随分ゆったりと歩いていた。その足取りは慎重に、定期的にかつかつと地面をたたく木の音。
矮躯が手にもつものはシンプルな造形の刀であり、その鞘を棒か何かのようにかつかつとせわしく叩いていた。
寮内の自室やキッチンからはわいのわいのと様々な声や音が聞こえる。中でも目立つのは甘い甘いお話。
そこから逃げる道を探すかのようにロビーへと表れた矮躯は、サイドテールを揺らして右往左往していた。

「……そこ、よろしいでしょうか」

コーヒーで安らいでいた御人の傍へと近づいていた。否、単純に"チョコレート"のにおいとは異なる匂いがあったものだから。
矮躯は目を閉じたまま、しかしセシルに顔を向けて話しかけた。

セシル > かつんかつんと歩いてくる小さな人影がある。
…幼さの残る顔立ちの少女だ。セシルとは、頭1つ分くらい身長が違うだろう。

「…ああ、すまん…貴殿もこれに用事か」

「こう強い匂いに満ちていては敵わんな」と、宝塚の男役のような声で苦笑いを浮かべて、空き缶を自販機の傍のゴミ箱に放り込み、場所を譲った。

(しかし…杖ではなく刀で周囲の状況を探るか。使い手の割に、随分大雑把だ)

そんなことを考えながら。

不凋花 ひぐれ > 「……」

勇ましい声色だった。きりっとしていて、美麗な人物なのだろうか。劇団での語り口のようなそれは男性のようだが、女子寮故女性だろうて。
ともかく場所を譲られたと分かれば一瞬逡巡したように周囲を見渡した後、

「はい、それでは」

失礼して。ゆったりと席に持たれながら、刀の柄をかつかつと2度突いてから腰を落ち着かせた。
相手から席を譲ってもらうのは少々気が引けたのだけれど――甘えられるところは甘えておく。

「そう、ですね。チョコレートや色恋の話題が強いので、少々避難に。」

口元を緩ませながら、困ったように眉が下がった。

セシル > 「気にしなくて良い。どうせ着替えて訓練に出るつもりだったからな」

そう言って、低く笑う。
感覚が鋭ければ、「意図して胸声を使っている」響きが感じられるだろうか。
…そして、相手からの言葉に、眉を寄せ。

「…チョコレート?色恋?何の話だ?
チョコレートは確かに嫌というほど溢れているが…もうじき試験だろう?色恋沙汰にふけっている余裕は、一般的な学生には無いはずだが」

どうやら、小柄な少女の対話相手は、バレンタインに無知であるようだった。

不凋花 ひぐれ > ――ふむ。
響き渡る音は、染み渡る発声。勇ましい声色は、それにしてもよく通る。
普段からそのような発声でなければこのような声は凌ぎで使えまい。

「……あぁ、はい」

何ぞ理解したよう、彼女を見上げながら首肯する。

「"ここにいる"一般的な学生にとっては一大イベント――だそうです。
 もうそろそろ、14日にバレンタインデーというイベントがございます。
 この日は女性が意中の殿方にチョコレートを渡し、愛を説く――告白するのだとか。」

最近は女性同士で上げる友チョコだのなんだの、いろいろ派生しているが、大体はそんなものである。
詳しい解説までしだすと長ったらしくなるので割愛することにした。

セシル > 「…なるほどな。
年頃の女子が集まって恋愛話に花を咲かせるのは、世界を越えてなお変わらんか」

少女から説明をされれば、納得がいったようで爽快な笑い声を上げる。
その声は、どこまでも中性的で。

「…しかし、その口ぶりだと貴殿はその手の話に縁のない手合いか。
それでは確かに肩身が狭かろうな」

優しげな苦笑いとともに、相手を気遣う言葉をかける。