2016/08/12 のログ
ご案内:「部屋」に高峰 司さんが現れました。
■高峰 司 > 先日の念話から一夜明けて。
『メシを作ってまってる』と啖呵を切ってしまった以上、それなり以上の物を用意しておかないと司のプライドが許さない。
なので、流石にパーフェクトとは言わずとも、可能な限り手を尽くしたモノを用意してやろう……と意気込んだ司であるが。
「………………………………」
5冊ほど積み重ねたレシピ本と格闘していた。
■高峰 司 > 5冊、と言う多さにも理由がある。
司は、可能な限り手を尽くしたモノを用意する、と決めているのだから。
そう、可能な限り。即ち、メニュー選びから手を尽くす。
「勝って帰ってくるんならそれなりに豪勢なのがいいだろーが、万が一にも負けて返ってきた時に豪勢だと嫌味にしかならねー。
だからって地味にしすぎると、今度は勝って帰ってきた時に祝いとして成立しねー……」
が、そもそもの前提条件が不確定なので、軸すら決められずに既に3時間が経過していた。
高峰司、考えすぎてドツボに嵌まるタイプである。
■高峰 司 > 「大体にしてアイツの好みってなんなんだ、そんな話した記憶ねーぞ……」
そこからかよ。
そうツッコミたくなるくらいにガバガバな前提条件の中で、しかして(ありもしない)最善を掴み取ろうと躍起になってレシピと格闘する司。
なら聞けばいいじゃん、と言うのは、単純に司が恥ずかしくて聞けたものではないというしょうもない理由により却下。
結果、完全にどんづまりに陥って頭を抱えていた。
「クソ~……クソ~……」
高峰司は、決して決断力が無い人間ではない。寧ろ、必要な時は適当に割り切ることもできる人間である。
が、それは自分への自信……言ってしまえば慢心あってのもの。
『最終的に、自分と自分の召喚獣ならなんとかなるだろう』と言う思考の元、適宜状況を割り切るのだ。
だが、料理は殆どやったことのない未開拓分野。自信なんて持てようはずもない。
そして何より。
「誰かのため、なんて慣れねぇことするもんじゃねぇなクソ……」
誰かのための純粋な奉仕、と言う行為が、人生初なのである。
■高峰 司 > 今まで、何かを他者に与えるにしても、それは打算ありき。
詰まる所『この程度やればこれだけの成果が期待できるだろう』と言う計算の元、自分の行動を決定してきたのだ。
だが、今回はそうはいかない。未開拓分野において、思ったより情報の少ない相手に、前提条件すら分からない状態で、最大の奉仕をしたいのだ。
冷静に考えれば『出来るわけないだろそんなもの』で片付くのだが、不慣れなのと、親友への入れ込みの深さからそこで割り切る選択を出来ていないのが現状の司である。
「りょ、料理なら蕎麦屋に……ダメだ、アイツにやらせてもアタシがやったことにならねぇ。それ以前にアイツ蕎麦しか用意しねぇぞ絶対」
己が召喚獣、蕎麦屋ことヘルヴォルの事を思い出すが、即座に却下。
アレはアレでレパートリーが単一過ぎる。こういう場面ではあてに出来ない。
ついでに、この高峰司。ひとつ大事な条件が抜け落ちている事に気付いていない。
……つまり、よしんば最善のレシピを選んだところで、それを自分が作れるとは限らないと言う事。
■高峰 司 > 「あ~……あ”~……」
机に突っ伏し、唸り声を上げるマッスィーンと化した司。
流石にあの姉妹が実際に戦闘をするわけではなかろうから、疲れるのは肉体より精神のはず。
いや、それだけではあるまい……どうせ泣いたり叫んだり、そう言うこともあるだろう。なら肉体も疲弊する。
そういう事なら、やはり純粋に精のつく料理がいいだろうか。
しかし、それが本当に凛霞に喜んでもらえる料理なのだろうか……。
「ちくしょー……わっかんねぇー……」
唸り声bot、高峰司。取り敢えずレシピ本をざーっと流し読む作業に移行。
■高峰 司 > 「……から揚げはまあ、定番だよなぁ。冷やし中華……は、夜じゃねーよなあ。
いっそ鍋か……?あれなら分量も調節効くし……」
ぺら、ぺら、とページをめくって、目についたレシピを検分する。
「鍋……にするとして、どういうタイプだ……?
夏は辛いのがいいっちゃいいが、凛霞が辛いのイケる口かわっかんねぇ……」
なんとなく甘味が好きだった記憶はあるが、辛いのは大丈夫なんだろうか。
そんなこの場で考えても答えの出ない事が、うだうだと頭の中でループする。
■高峰 司 > 「……あ”ー?」
ぺらぺらとページを適当にめくっていたら、あるワードが目についた。
『料理は愛情!』
まあ、定番のワードである。愛情が最高の調味料などとはよく言ったものだ。
「アホか。心持ち次第で味が変化するかよ」
それを、司は一蹴。
そもそも、人の情愛などと言うものを基本信用していないのが高峰司である。
例えマズくても愛情込めれば最高です、だなんて罷り通るわけが……
「……通りそうだな、アイツの場合」
通りそうだった。
と言うより、伊都波凛霞を想像するに、作業的に作った上手い料理よりも、所謂気持ちを込めました系の料理の方が、下手でも喜びそうな気すらする。気持ちの寡多が伝わるのかどーかと言えば疑問だが。
■高峰 司 > 「…………」
なんとなく頭でイメージする。
作業的に作った料理を食べさせた場合、何と言うか『ちょっと物足りない』って顔をしそうなのだ。
だが、頑張って作った料理の場合、笑顔で食べてくれそうな気がする。
気がするだけだが、妙にハッキリと『嬉しそうに食べる凛霞』がイメージできて、なんだか少し顔が赤くなる。
……そっちの方が、多分いい。
「……出来るとこから、やってみっかー……」
となれば、ここでウダウダしているより、実際の行動に移り始めて基本的な質を高める努力をした方がマシかもしれない。
そう思い、立ち上がる司。
…………不慣れな料理で指は切るわ火傷するわ、レシピ以前の問題であったことを痛感するのは、今から少し先のお話である。
ご案内:「部屋」から高峰 司さんが去りました。