2017/02/14 のログ
ご案内:「部屋」にセシルさんが現れました。
セシル > 「…よし…これで整理は終わったか」

あまり私物の多くないセシルの部屋。
机の上でセシルが整理していたのは…多種多様なラッピングのお菓子達だ。

「義理は手紙不要として………それでも、増えたな」

バレンタインデー。この文化圏では「女性が男性に思いを伝える」日。
男子学生ならば…いや、女性に興味のあるタイプの人間ならば嬉しさもあるのだろうが、セシルの顔に浮かぶのは、困惑と…ほんの少しの疲労の色。

セシル > 去年は、女子寮に入ってさほど間のない頃だっただろうか。
それでも、「女子寮に「王子様」がやって来た」という噂は広まったらしく、結構な数のチョコレートを受け取り…そして、本命らしいそれに、セシルは丁寧にも断りと謝罪の手紙を書いて、お菓子をつけて返したのである。
機械類に弱いセシルのこと、手紙は当然手書きだ。

今年度は風紀委員としての活動もあってか、受け取った数自体は増えた。かなり。
知名度が「風紀委員」としてのそれであること、去年の対応の噂もそれなりに広まっていたのか、ほとんどは義理だが…
「完全情報」の状態などあり得ない。母数が増えた分、本命も少しだけだが増えた。

(…魅力的な男も、少なくないだろうに…)

おまけに、セシルは甘いものを一度にそんなにたくさんは食べられない。
少し疲れた息を吐いてしまうのも仕方が無いが…流石に、ちょっと罪悪感は覚えた。

セシル > (申し訳ないが…手紙の文面は去年のものも流用しよう。
性別の誤解がある疑いがある者用の文面は、別に考えなければならんだろうが)

筆記具を手に取り、私用のメモ帳を広げる。
さらさらと、やや硬質な印象の文字で書き始める、手紙の下書き。

弱き者は庇護の対象。自分と同等以上に強い者は、頭を垂れるべき範か、手を取り合うべき同輩。
セシルは、少なくとも今のところ、男性にも女性にも、それ以外の性の相手にも、「恋心」と呼ぶに相応しい感情を抱いたことがなかった。

ただ、誠実に、事務的に。
そのことを伝え、謝罪の意を尽くす文面を作る作業。

セシルとて、冷酷なわけではない。それなりに気は重かった。
しかし、期待を持たせるようなことは出来ない。

セシル > そうして、文面がある程度整ってきたところで。

「…コーヒーと甘いもので、休憩でもするか」

甘いものは、量が食べられないだけで嫌いではない。
気分転換の休憩の供としては、まあまあ好きなくらいだ。

(まずは、手作りのものから手をつけるか)

そんなことを考えながら、セシルは自販機のあるロビーへ出て行った。
夜は更けていく…

ご案内:「部屋」からセシルさんが去りました。