2017/05/03 のログ
ご案内:「ロビー」にセシルさんが現れました。
セシル > 「…ふぅ…」

休日の夕方。疲れた息を吐いてセシルが寮に帰ってくる。
先日の歓楽街の警邏の過程で起こった異常事態についての聞き取りを受けていたのだ。

(…しかし…厄介なものもあるものだ)

確かに面は着けていたが、それ以外の特徴はいくらでも拾えるはずだったのに。
改めて聞き取りを受けてみると、セシルは、あの時あった少女のことについて、ろくに覚えていなかったのだ。
………正直に言えば、「少女だった」という認識すら、結構自信がない。

セシル > セシルが覚えていたのは、彼女が漏らしたわずかな殺気。
淡々としながらも不満げな口調。
…そして、視線を落として会話をした記憶からの、相手の小柄さくらいだった。

間違った方向に誘導されないようにと、それぞれの当事者の都合もあり、聞き取りは別々に行われている。そして、セシルはこの日になったのだ。
…自分自身の、誕生日に。

セシル > (…まあ、そういう「異常」が存在することを委員会に報告出来ただけ、進歩か)

「権力」を背負うために「力」の腕を縛り、それでも、一つでも多くのものをすくいあげるために、前に進む。
セシル達の遭遇した出来事がそれに寄与するならば、悪くはない。

それに…

(異郷の地でも、覚えてくれる者が、いるものだな)

委員会棟から帰る際、事務方の同僚にもらったお菓子の箱に視線を落とす。
『誕生日おめでとう!こんな日に仕事に関する聞き取りなんて大変だねー』
と明るく笑った、彼女達の顔が浮かんだ。