2015/10/06 のログ
ご案内:「職員寮」に片翼・茜さんが現れました。
■片翼・茜 > コツ、コツと靴音を立てながら、ロビーへと歩いてくる少女。
右腕だけ赤く染められたブラックスーツにマフラー、革手袋。ショルダーバッグを下げている。
その少女、片翼・茜はロビーのソファへに座った。バッグをソファの空いたスペースへ置く。
何故この時間にロビーに居るかと言えば、アレである。
先月も現れたあの黒い甲虫は卵を残していたらしく、小さめの奴が姿を現したのだ。
また通常の3倍の量の燻煙タイプの殺虫剤を焚いて、そのあいだ部屋から避難しているというわけだ。
■片翼・茜 > そもそも、何故私の部屋に奴が来るのかがわからない。時間つぶしのためにバッグに適当に詰め込んだ本の題名を確認しながら、茜は考える。
私の部屋には食料品はほとんどないし、生ごみは普段はコーヒーかすぐらいしか出さないというのに。
皮膚や髪の毛が落ちるのも常人より少ないはずだ。
考えられるのは…
手袋と袖の間から垣間見える、腐った皮膚とそこから立ち上る微かな腐臭。
これだとしたら対策のしようがない。
「…カハァー。」ため息めいて、喉の奥から息を吐く。
■片翼・茜 > 気を取り直して、バッグの中を漁る。時間を潰さねばならない。
『千葉の脅威』来なかった、パス。
『ナチスの復活』事実無根、パス。
『千葉の時代』来なかった、パス。
「……。」あまりまともな本はない、どうやら出る時急ぎすぎて捨てる予定だった本を持ってきたらしい。バッグを漁るのをやめて天を仰ぐ。
■片翼・茜 > せめてコーヒーを飲もうと、バッグに手を突っこんで水筒を取り出す。
蓋を開けてそこに注ごうとして、茶色い雫が一滴落ちただけだった。
「……。」そういえば飲み干していた。
仕方ない、無駄な出費になるが缶コーヒーを買おうと立ち上がり、自販機の前まで歩く。
尻ポケットから財布を取り出そうとして、何も入っていないことに気づく。
家計簿をつけるために財布をテーブルに置いていたのを思い出した。
「……カッハァ~~~~~~~。」今年度最大級に溜めてから、息を吐く。
■片翼・茜 > 「つまり、私は…。」力のない声で、ソファの背もたれに体を沈めながら呟く。
「本もコーヒーも抜きでただただ時間がすぎるのを待たねばならないのか……。」言葉にすることで改めて絶望感が襲いかかってきた。
携帯端末すら忘れてきたのが痛い。本当に何も出来ない。
「……」
■片翼・茜 > 「…………。」目を閉じて、ピクリとも動かない、呼吸すらしないで、ただただ待ち続ける。
「うぅ。」うめき声とともに目を開く。危うく瞑想に入るところだった。瞑想に入ると時間間隔が消え失せる、目覚ましなどが無ければ何日でも続いてしまう。
「…………。」また沈黙、時計をちらちらと見るが、時間の進みは遅い。
■片翼・茜 > 「大将~大丈夫か~ 口ぃが半開きーだ午前2時~。」退屈に耐えかねてか、小さい声で歌い始める。
「大将~口ぃが半開きーだ、5時半前かぁら何度目ぇーだ。」
■片翼・茜 > 「朝だぞ大将ぉー、店閉めな……。」深夜に何をやってるんだろう私は。退屈すぎて頭がおかしくなったらしい。
「カハァー……。」時計を見る、まだほとんど時間は経っていない。
「……カハァー……。」もう一度、ため息めいた息を吐き出した。
ご案内:「職員寮」から片翼・茜さんが去りました。