2015/11/19 のログ
ご案内:「職員寮/蓋盛の部屋」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 『山手線パンデモニウム』。
そういうタイトルのアニメがある。
突如として魔の巣食う領域になってしまった山手線の内側で、
異能力を得た少年少女が戦う、という内容だ。
プレッツェルをつまみながら、録画していたそれをテレビで見ていた。

教え子である天田に薦められたのだが、なかなか面白い。
几帳面に毎週テレビの前に正座していたりはせず、
録画を取ってあとで暇なときに見るというスタイルだ。

蓋盛 椎月 > 「うへー、ハチ公やばすぎない?
 三話に出てくる敵じゃないでしょこれ……」

異能を持った人間が怪異と戦う。
昔から親しまれている物語の類型だ。
そして今も愛されている。

変容以後、こういったジャンルの物語は死滅すると考えられていたらしい。
もちろん、変容が創作物に影響を与えたことは間違いないだろう。
しかし、幻想が現実となり、怪異や異邦人の棲まうようになっても、
ファンタジカルな物語は消えることはなかった。

蓋盛 椎月 > それは、倒すべき悪が存在し、
それを倒せばすべてが解決する、という様式そのものが
現し世に具現し得ないファンタジーだからだ。

現実には死んだ人間は生き返らないし、
生きた人間はいつまでも生き続ける。
それに何の意味も無い。

蓋盛はこの世界の意味の無さに耐えることができなかった。
意味のない世界と、それを受け容れる大多数の人々、
その全てが嫌いだった。

蓋盛 椎月 > この世界があまりにもつまらないという認識は、
今のところ変わってはいない。
生きるということはやがて訪れる死までの暇つぶしであり
終わることのない遊びだ。
現実にありながら、夢を見続けていれば、何も恐ろしいことはない。

テレビを消す。

ただ、今は目的がひとつできている。
夢から持ち出してきた、銀色に輝くものが、消えずに手のうちに残っていた。
大事にしてやりたいと思う。その不確かで今にも崩れそうなものが、壊れるまでは、

ご案内:「職員寮/蓋盛の部屋」から蓋盛 椎月さんが去りました。