2015/08/17 のログ
ご案内:「浜辺(海開き状態)」にダナエさんが現れました。
■ダナエ > 引いては寄せる海の波。
砂浜に木の枝を引きずって這うように歩く異形の騎士一人。
「“し”……」
一度木の枝を砂から抜いて、また刺して足を進める。
また止まると、トントン、と二度砂を突く。
「“じ”……」
今度は直線を線を二本。
それと垂直に線を引きながら、また少し歩く。最後に手首をくるりと返して。
「できたぞ、“ま”だ!」
砂浜に完成した“し”“じ”“ま”の三文字は、
ひらがなの教本を見つけてくれた恩人の名。
“ま”が鏡文字になっていることには気づいていない。
■ダナエ > 満足そうに三文字を眺めてから、また歩き始める。
「“し”……」
鎧の中から図書館で借りたひらがなの教本、
『かいてみよう よんでみよう』を取り出す。
それをチラチラ見ながら、また濡れた砂浜に文字を書いていく。
「“の”…………“の”………………
“め”……難しいな…………“め”!」
この世界に来て初めて会った人物の名が完成。フハッと息を吐く。
どうやらひらがなの練習に、この世界で会ったことのある人物の名を書いているらしい。
──“ぎ”“る”
──“お”“か”“べ”
──“お”“る”“ぶ”“ら”“い”“と”
──“て”“り”“め”“え”“ら”
ある文字は鏡文字になったり、やたら大きくなったり、
ぐちゃぐちゃになって書き直したりしながら文字を書いていく。
ご案内:「浜辺(海開き状態)」にギルゲイオスさんが現れました。
■ギルゲイオス > 八月も、既に半ば過ぎ、か。
海で泳いだりするのも、そろそろ終わりの時期であるな。
(柔らかなプラスチック容器に入った、二本一組で売っているアイス。
その片割れを口に咥えながら、砂浜に足跡を残して歩く魔王様。
海水浴客がいなくなれば、ここも静かになる。
と思えば、なんとなく、寂しさも漂う)
……ぬぅ?
(周囲を適当に見回しながら歩いていたの、だが。
何やら地面に向かってごそごそとしている、鎧の塊)
あれは……同じような格好してる奴が、二人も三人も居るとは思いにくいしの。
(誰かは察しがついたので、声を掛けよう、と思った矢先。
にやりと、悪戯でも思いついたように口の端があがる)
ふっふっふ
(小さな笑い声、一つだけ残し。
気配を隠して、背後からそーっとそーっと近づいていく。
もっとも、魔術やらは使ってないので、気づこうと思えば気付けるのだが)
■ダナエ > 残念ながら近づいてくる足音には波の音と風の音で気付かず、砂浜での学習を続けている。
──“だ”“な”“え”
自分の名前を忘れていたので、書き足す。
どうしても“ま”“る”“な”など、
クルッと丸まる字は鏡文字になってしまう。
「……ふむ。これが私の名か……」
ほのかな感動を味わいながら、少し屈めていたグイッと腰を伸ばす。
■ギルゲイオス > (背後まで迫ると、ややと身を乗り出し。
鎧越しに、手元辺りを上から見下ろして)
ほう、文字の練習か。
余り日が経っていない割には、上手く書けてるのであるな。
ま、もう一押しって感じであるな。
(とまぁそんな感じで、至極唐突に声を掛けた)
■ダナエ > 「ふぉッッッ!?!?」
■ダナエ > 突然掛けられた声に驚き、振り返りざま大盾に手を伸ばすが相手は至近距離であり──
結果、手甲に覆われた手あるいは兜あたりが相手の顎かその他に、
ゴッッとぶち当たるかもしれない。
■ギルゲイオス > はは、いやいや、中々期待通りに良い驚きっぷりであるな。
しかし、感心感s――
(魔王様ご満悦な感じ、顔には笑みを浮かべると、数度と頷いていたのだけれども)
――げぶぁはっ!?
(下段より鋭利に放たれるは、兜による強烈なアッパーカット。
短く悲鳴を残せば、緩い放物線を描く魔王様。
永遠にも感じられる刹那の後に、背中から砂浜へと墜落する)
■ダナエ > スローモーションで背中から着地する魔王様を見て、
知人と気づいて大盾に伸ばしかけていた手を止める。
驚きと怒りと悔しさと罪悪感とが混ざった複雑な表情。
「わっ、私は悪くないぞ!!
勝手に騎士の背後を取るからそうなるのだ!!」
自己弁護しつつ、どこぞの暗殺者のようなことを言う。
■ギルゲイオス > うぅむ……顎ががくがくするのである。
ナイスアッパー…いや、頭突きか?
しかし、初遭遇で轢かれ、次に顎に貰い。次はどうなるのか。
(余り想像したくない魔王様。
ぶっ倒れたままの状態で、何やら神妙な顔をしつつ、ズレかけた顎を手で撫でる)
どこかのスナイパーか何かであるか、お主は。
まぁ別段怒ってはおらぬよ、此方としても、愉しめたのでな。
(中々興味深い表情だったと、言わざるを得ない。
口元、緩い笑みを描けば上半身を持ち上げ。
そのままと砂浜に座り込む。
これでも一応魔王様、コレぐらいならどうという事はない。
痛いには、痛いが)
んで、文字の練習中であるか?
(ちょいちょいと、砂浜、書かれた辺りを指さす)
■ダナエ > 「次も人を驚かせるような登場なら、全力で轢くぞ」
ぺったんこだ、と。
「最初のあれは私のミスだが、今のは絶対に貴公が悪い!」
まだ怒っているがズレかけた顎には申し訳ない気持ち。
「……ん。
まあそうだ、看板やらの文字が読めないと何かと不便だからな。
シジマという親切な少女が、いい教本を見つけてくれたのだ」
文字の初歩の初歩な練習を見られて照れ臭い。
視線を逸らし、海鳥などを見上げながら。
■ギルゲイオス > 轢く!? しかも全力で!?
ふぅむ、リアクションが結構我好みなので、次も驚かせたいのは山々なのだがな。
予め、対物理障壁でも張っておくべきか……
(ロクでも無い事に魔術を無駄遣いする気満々である)
では、前と今回でプラスマイナスゼロという事で。
(口の端上げて、小さく肩を揺らす)
会話は、この島に掛かってる翻訳術式で問題はないが。
読み書きに関しては、そう上手くと行かないヤツも居るようであるからな。
看板や本やら、読めぬと苦労も多いからな。
そうやって学んでゆくのは、良い事だと思うのであるよ。
(もっともらしくと頷きつつ、ポケットから先ほど齧っていたアイスの片割れ引っ張り出して。
吸い口の封をちぎると、差し出す)
頭を使うと、疲れるであろう。
食べるが良い、冷たくて甘くて美味いぞ。
(すいと差し出す。
なお、チョコレート味)
■ダナエ > 「努力の方向性が違う!!」
障壁など張らなくていい、驚かすのを止める努力をするべきだと怒る。
「むう……」
差し引き0、と言われれば前回加害者な分唸るしかなく。
差し出されたアイスには、毒気を抜かれたきょとんとした顔。
「な、なんだ?
湯気が出て…………いや、冷たいのなら冷気か。
氷か?」
自分の世界では氷菓子と言えばうやうやしく皿に乗せられたバニラのアイスクリームのみ。
しかも王族レベルの人間しか食べられないほど高価。
相手の表情を伺いながら手を伸ばし、そっと受け取る。
相手がかじっているらしいのを見て毒ではないと判断し、恐る恐る口へ。
「──ああい」
甘い、と言っている。
しかし吸うタイプのものを舐めているだけなので、
徐々に味は消えていく。
「……? 何なんだ、これは」
一度口から出し、相手の食べ方をじろじろ観察。
■ギルゲイオス > 必要な事は玉座に就いていた頃に盛り沢山やっておるのでな、無駄な方向に努力もしてみたいのである。
(悪びれない魔王様。
口元へは意味ありげな笑みを浮かべつつ、次に会う時は確り身を固めて驚かせに――来るかどうかは不明)
(妙になんだか警戒されてるので、相手が受け取るのを誘うようにちょいちょいと揺らし)
氷と言えば、氷であるな。
氷菓子、とでもいうべきか。
アイスというモノだが、いやぁ、コッチの世界はこんなモノが安く手軽に手に入っていいのであるな。
(容器の中身、固い部分を手で揉んで。
下から上へと移動させると、歯で齧りつつ吸い上げる)
こうやって、こう食べればよい。
柔らかくしてとかしたのを吸う感じであるな。
(同じ動作をもう一度としてみせた)
■ダナエ > 「王が異国でそんなことに魔法を使おうとしていると知ったら、
臣下が泣くぞ」
悪びれない魔王様になおも追撃。
魔王様がアイスを食べる様子を目を皿のようにして注視。
「ほう……なるほど」
そろそろとまたアイスを口へ。
がじっと口の中で容器をかじってみる。
出てくるチョコレートアイスは、
先日貰ったスイカの飴の爽やかな甘さとはまた違うコクのある甘さ。
がじがじとかじり、出過ぎて慌てたりしながらひたすら食べる。
「…………………………」
無心。
段々と体が冷えて、真夏の屋外にも関わらず汗が引いていく。
「………………大変、良いものだった」
深々と一礼。
「このあいすとやら、安いと言うと幾らくらいなのだ?」
買う気まんまん。
■ギルゲイオス > アチラはあちらー、コチラはこちらー。
と、言うか。
城で暮らしていた魔王が、今は狭い学生寮で一人暮らし、足りない生活費を稼ぎにバイト中、今さらであるな。
はっはっはっは
(追撃をさらりと受け流し、空に向かって笑う魔王様。
どちらにせよ、臣下に見せられたものではない。
目元に小さな涙?気のせいだよ)
……………
(思わず此方も無言になりながら、ちゅーちゅーと吸い上げる)
ふむ、モノにもよるのであるが。
安いのであれば、130円位であるかな?
スーパーマーケット――大型の食料品店であれば、100円程度か。
大体この地でアルバイトが、一時間800円から900円位であるから。
おおよそ10分の労働相当、といった所か。
(まぁ、あくまでも魔王様が経験している範囲で、だが。
数字を指折り数える)
■ダナエ > 乾いた笑いに、自分も異邦人である以上似たようなものかと思い直してしまい心にダメージ。
諸刃の剣だった。
「ばいと……仕事をしているのか。見直したぞ!
何の仕事をしているのだ?」
労働のイメージがなかったので驚く。
「ヒャク円というと、あの穴のない銀貨一枚だな。
………………そうか」
何せ悲しき就職浪人、こちらも指折り数えて頭の中で計算。
「ふむ。買えないことはない。たまに、の贅沢なら……」
問題はむしろ冷蔵庫がないということ。一気に食べなくてはならない。
「……食べ物の礼は食べ物で返そう」
ゴソゴソと鎧の中から小さな紙包みを取り出す。
「これは私の故郷の携帯食、フォンビィ……にそっくりなものだ」
フォンビィもどきを差し出す。中身は荒いクッキーのようなもの。
味はともかくひたすらモッソモソで口の中の水分を吸収する、
浜辺で食べたくないものランキング上位に食い込むであろう食物。
■ギルゲイオス > ふむ、飲食店での接客やら厨房。
コンビニのレジ打ち。
この辺りが多いかの。
異邦人故に補償はあるが、それでも働かないと少々余裕がないのでなぁ。
(とーい目をする魔王様)
まぁ、此方の世界の勉強にもなるし。
王様やってた時とはまた違う発見もある故な、それなりには楽しいのであるよ。
(一つと、頷く)
大きい方ではなく、小さい方のな。
(大きいのは、500円玉)
……其方も中々苦労しておるのだな。
まぁ、同じ異邦人のよしみである。
食べ物に困った時は、我を頼るがよい。
(右手をヒラヒラと揺らす。
一人分余計に、位なら問題あるまい)
ふぉんびい?
見た目に関しては、クッキーに良く似ておるの。
いや、そっくり、であるから本物ではなくこれ自体はこちらの食べ物なのだろうが。
(暫くとじーっと見つめた後に、不意と齧りついて)
…………
(もぐもぐ……もそもそ……)
く、口の中の水気がッ!!
見事に、吸い取られてッ!!!
(味以前の乾燥、もとい乾燥。
からっからになった咥内を唾液で湿らせながら、うめき声を上げる)
■ダナエ > 「接客……!
仮にも一国の王が、客をもてなしているのか……!」
祖国の王で想像。衝撃映像。
「……前向きなのは良いことだ。順応性が高いのだな」
Tシャツの漢字が読めたらなおさらにそう思ったところ。
百円玉の話に頷き、
「そうそう、ギザギザのある小さい方だ。
……異世界の貨幣のデザインは面白いな。
ゴジュー円とゴ円には驚かされた」
穴の開いた硬貨など見たことがなかった。
食べ物に困ったら頼れという親切な申し出には、顔色が暗くなる。
「………………そうだな。
このまま教員になれなければ、
もしかするとそういうこともあるかも知れん……」
人の世話にはならん、と言いたいプライドを捨てて呟く。
フォンビィ(もどき)、それは口の中の水分の9割8分を奪ったのち食道でも可能な限り水気を奪いながら胃へと落ちていく地獄の食物。
「ハッハッハ!
水なら沢山あるぞ、少々塩っからいがな!」
相手の反応を見て、実にいい笑顔で海を指差す鬼。
■ギルゲイオス > 「いらっしゃいませ、何名様でお越しであるか?
それでは、ご注文を繰り返させていただくのである」
(魔王の営業スマイル。
口調が何だかみょうちくりんな事になっているが、異邦人という事でそれなりにやんわりと何とかなっているらしい)
まぁ、順応せねば、飯もアイスも食えんでな……
この世界、大気中魔力濃度がもっと高ければ苦労もせんのだが。
(軽くと吐き出すため息。
まぁ、こればっかりは仕方がない)
表面の図も中々凝っておるからな。
それだけ、金属加工の技術が進んでいる、という事なのであろう、この世界は。
(ちゅーっと吸い終えた残りを手でつぶすと、ポケットへと突っ込んで)
……飢え死ぬよりかは、マシなのである。
ただ飯が気になるのなら、我が部屋の掃除なり体で返すが良い。
教員?ほほう、教員になりたいのであるか。
(ものっすごいくらい顔にフォローを入れていたの、だが。
一言、気になると興味深そうに食いついて)
ふむふむ、して、もし教師になったら何を教えるのであるか?
(ちょいと頭を傾げた)
ぱっさぱさである、ぱっさぱさである!!
えぇい、海水なんぞ飲んだら余計喉が渇くわ!!
(魔王様でも、それ位知ってる。
半眼、睨みをきかせたのち。
顔をやや上へと向けて、舌を出し、そこからややと上に指。
ちょいちょいと軽くと回せば、魔術で大気中から少量水を凝集させて滴らせる)
■ダナエ > 「なっ……!」
唐突な接客モードにたじろぎつつ、同時に感嘆。
「た、確かにこの国の店員はそのような感じだ。
見事に適応している……貴公、やるな!」
「タイキチュー魔力濃度とはなんだ?
それが高いとどうなるのだ?」
興味深げに。
魔法は使うが専門の魔術師ではないのであまり詳しくない。
「そうなのだ。
何せ紙幣の肖像画が王でないのだからな。
……ギル殿の世界では、ギル殿の肖像画の紙幣があるのか?」
想像しながら。
唇を噛みしめ、
「掃除など、騎士のすることでは……!」
ない!と言い切れない悲しさ。
「この間の料理と掃除、どっちがましだろうか……」
ぶつぶつと。一人の世界。
小首を傾げる。
「何を教えるか、か……?
学園に所属していないと不便だし、
かといってやっと兵学校を卒業したのにまた学生など御免だから、
教員になろうと思ったのだが…………ふむ。
何を教えるかは、あまり考えていなかったな」
採用試験に落ちた理由が垣間見える。
これでは(合否判定ダイスの)神も味方するまい。
何もないところから雨が降るのを見て、残念そうな顔。
「むっ……水の魔法を使えるのか。魔王の割に器用だな」
魔王=破壊的な魔法とか呪い的な魔法とか、とにかく派手な魔法のイメージ。
■ギルゲイオス > ふはははははは、王は玉座でのけ反ってるしか能が無いと思ったら大間違いなのである。
この魔王、少々と本気を出せばこの程度朝飯前よ!
(なんか魔王っぽい笑い声をあげつつ、威張ってみる。
が、実際来た当初は色々と血のにじむ努力があったもよう。
特に、営業スマイル)
平たく言えば、この空気……我々が呼吸しているコレであるな――
(両手を大きく振る)
高いと、我の世界の魔族の特性として、食事が最低限で済んだり、傷やらの回復も高くなのである。
が、此方の世界はそう濃度が無いお陰で、一日三食必要になっておる。
(稼いだ金が消えてゆく理由)
うーむ、我が世界では紙幣に使うほどの上質な紙は大量生産できず、またかなり高価であるからな。
鋳造硬貨が主体であるな。
即位した時に、名前入りのはある程度出回ったが。
以前のモノとごっちゃになって混乱が生まれる故、数は記念レベルであったかと。
(ちょいと首を傾げ、思い出しては少し唸る。
中世ヨーロッパ的な剣と魔法のファンタジー世界)
接客も魔王の仕事ではないのである。
両方してくれれば、多少は優遇するぞ。
(くくくっと、悩ましげな様子を愉しげに見てる)
……教師になるのなら、コレを教える、というのがないと駄目だと思うのであるが。
ついでに言えば、人に教えるのならば、この島の共通言語を不自由なく扱えねばならぬし。
(黒板に文字を書いたり、生徒が提出した文章を評価したり。
やることはとても多い)
とりあえず、自分の教えたい事、教える事ができる事、その辺はっきりさせねば――受からんぞ。
(新しく城に仕えようとする新人を審査するかの如き、魔王様の眼光)
炎と闇の攻撃、破壊魔術が得意なのでな、こういういうのは苦手、なのであるが……
(なもんで、いっきに滴る訳ではなく、ちょろちょろ。
それでも喉を潤すと、一息とついて。呪いは使わないが、大体イメージ通り)
ご案内:「浜辺(海開き状態)」に上那賀 千絵さんが現れました。
ご案内:「浜辺(海開き状態)」から上那賀 千絵さんが去りました。
■ダナエ > 「むう……魔王の本気の接客か……。
とんでもないものを売りつけられそうだな……」
魔王らしい笑い声を聞きながら、恐ろしい、という表情。
「なるほど……。
食べ物だけでなく、空気の中の魔力も糧とできるわけか。
傷も治りが早いとは、便利な体なのだな。
……いや、便利な体だったのだな」
思わず深呼吸。もちろん酸素しか取り込めない。
「ほう」
正面から少し移動して、魔王様の顔を横から見る。
その横顔の描かれた硬貨を想像。
「………………フハッ!」
想像して吹くという非礼をはたらく。
「ああいや、失礼。
硬貨に描かれているであろう横顔と、
先程の接客中のギル殿が上手く一致しなくてな……」
口元を押さえ、慌てて言い訳。
「両方だと!? それでは使用人ではないか!
魔王の使用人になる騎士がどこの世界にいるのだ!」
屈辱だ、と怒り出す。
「……両方やる時には、そちらにもそれなりの食材を提供してもらうからな!」
この騎士、怒ってはいるがやる気がないわけでもない。
いいお肉とか。高いお酒とか。アイスとか。そんなものを期待。
「な、なんだと……!?
文字というのは、そこまで重要だったのか……!」
雷で打たれたかのような表情。特大ダメージの衝撃。
確かに最低でもひらがなカタカナくらいは書けないと、生徒が板書に苦労しそうだ、と納得。
「まだ私は、教師への道のスタートラインにも立っていなかったということか……。
……アドバイス、感謝する」
うめきながら、面接官の如き魔王様に一礼。
「やはりそうか。
水の魔法なら得意だぞ、手伝うか?」
手甲に覆われた手をわきわきと動かす。
ただしこちらも大雑把な魔法の使い手なので、手伝いは手伝いにならないかもしれない。