2015/10/04 のログ
■蓋盛 椎月 > 人の近づく気配と足音。
こんな明かりもなく真っ暗な浜辺へ訪れる人間は
人目を忍んで逢引する男女か、自分のような変わり者ぐらいかと思っていた。
人間でなければ、海に棲む怪異かもしれない。
「こんな夜更けにどうしたの?
半魚人にさらわれても知らないよ」
発光する端末のディスプレイから視線を外さずに、平坦にそう言った。
■天導 操 > 「あら、それは恐ろしい事 上を夢中で見上げている時に、足下を掬われちゃうのはまっぴら御免」
【と、自分自身が遠回しに不審がられている雰囲気を感じ取り、少し苦笑気味になって、更にこう続ける】
「いえ、学園で時々見掛ける姿を天体観測中にも見つけちゃった物だから、つい、ね…確か、保険科の蓋盛先生でしたっけ?」
■蓋盛 椎月 > 「いかにも蓋盛です。
そういうあなたは天動説の方でしたっけ」
無愛想ぎりぎりの、学内での振る舞いよりは、幾分か温度の低い声。
そういえば前にも夜の散歩中に教師に出くわした気がする。
今後は場所を改めるべきだろうか? と一瞬考えるが、
別に人気の無い場所だからというだけで足を運んでいるわけではないことも思い出す。
「あたしは海の怪異が来ないかなって待ってるんです」
す、と端末を持たない手で黒黒と広がる海を指差す。
そこには一面の闇しかないように見える。
■天導 操 > 「あー、やっぱりそっちで広まっちゃってますか…完全に自分の感覚の違和感から来た、まだ組み立てきれてない未熟な理論ですけど」
【その冷たい反応を、やっぱり迷惑だったかなぁ、と思いながら受け止めていた所に次の言葉が蓋盛の口から紡がれて】
「海の怪異が来ないか…噂か何かの、事実確認のお仕事で?」
【指差された遥か彼方には、空と海のと見分けが付かないほどの深口から似通った色合い…その先にに向けて目を凝らしてみる】
■蓋盛 椎月 > 「いえ、趣味ですね。
真夜中くんだりまで業務に励むほど仕事熱心ではありませんよ。
……来たらいいな、って思うこと、ありません?
何か、とてつもない何かが」
決して天導へと視線を向けることをせず、
ひとりごとのように言葉を紡ぐ。
■天導 操 > 「何かとてつもない物は、随分と流れ着いちゃっていると思いますけどねぇ。それこそ、私達のお爺ちゃんの世代からは想像も付かないくらい…けど、その感覚、分からないことも無いです
例えば、星を見ているときに、時々『実は、向こうの星には私達と同じ様に何者かが済んでいて、私達と同じ様に此方を観察していて、いつかこっちにやって来るんじゃないか』って、そう思っちゃうんです…不安では有りますが、同時にドキドキしちゃいます」
【吹いてきた風の冷たさに、小さく身を振るわせながら】
■蓋盛 椎月 > 「…………そうですね、ロマンチックだと思います」
そう返した声はひどく空々しく響いた。
天導の話すようなロマンを嫌うわけでは、けしてない。
ただ海を見つめる。
空と区別のつかない宵闇でも、明確な差異がある。
海には星がない。ただ漆黒だけがあるのだ。
携帯端末と折りたたみ椅子をしまって立ち上がる。
「今日は何も来そうにありませんね。
あたしはこのあたりで失礼します。おやすみなさい」
そうして、蓋盛は浜辺を後にした。
ご案内:「浜辺」から蓋盛 椎月さんが去りました。
■天導 操 > 「………うーん、終始冷いかんじだったし…接近失敗、かなぁ」
【と、蓋盛を見送った後に1人で寂しそうに呟いて、自分は持ち場に戻り、もうしばらくの間天体観測を続けていた】
ご案内:「浜辺」から天導 操さんが去りました。