2015/06/25 のログ
ご案内:「常世神社」にソラとルナさんが現れました。
ソラとルナ > 「………………。」

神社の片隅に少年がふたり。
金髪の少年が銀髪の少年を膝枕している。

ルナはぐっすりと眠っていておきる気配はない。
ソラはその頭をなでながら、楽しそうに笑っている。

ソラとルナ > ルナはかれこれ数時間眠りっぱなしである。
そろそろひざが痛い。

が、寝ている片割れの顔を見ると起こす気も出てこなくて。
結果として、ソラはずっとこのまま待っている。

もしかしたら、このまま朝まで寝てるんじゃないだろうか、
と考えてみたりもした。

ソラとルナ > 見上げれば、頭上には星空が広がっている。
市街地からすこし離れたせいか、それはいつもより綺麗に見えた。
空気が綺麗だからなのか、それとも明かりが少ないせいなのか。

ソラはそんなに難しいことは考えずに星を眺めて笑う。
眠っているルナは、もしかしたらわざわざそんなことを
考えながら星を見ているのだろうか。

ルナは何事も無駄に考えすぎる傾向がある。
もっと気楽に生きていればいいのに、と思いながら
その髪をそっとなでてみた。

ソラとルナ > 金平糖の瓶を取り出して開ける。
蓋だけしまって金平糖を口の中に放り込んだ。

ちらり、と眠っている片割れの顔を見る。
ルナは金平糖を食べるとき、いつも噛まずに
飴を舐めるみたいに溶けるまでじっと待っている。

いくつもたくさん噛み砕いたほうがおいしいのに、
と思わなくもないがそのあたりは感性が違うらしい。

ソラとルナ > そろそろ足がかなり痛くなってきた。
時計は持っていないし、星から時間を見ることもできない。
なんとなく、腹具合的にはかなりの時間が経っている予感がする。

もう一度ルナの顔に目を落とす。
その目には少しだけ涙の跡が残っている。

普段は大人ぶっているというか、感情を出すのが苦手というか。
だが、内面はわがままだし寂しがり。実は結構子供じみている。

もっとも、人の前でそれを出すことなどあまりないけれども。

ソラとルナ > さすがに痛いのでルナの頭を持ち上げて、
隣に寝かす。そのまま背負って歩こうと……

思ったけれど、予想以上に足が痺れていて無理だった。

落ち着くまで待ったら、どこかゆっくり休める場所に
連れて行こうか、とでも考えながら。
のんびりと、ソラは金平糖をかじっていた。

ソラとルナ > 「…………。」

ぼーっとしていた。
もしかしたら、ほんの少しうとうとしていたのかもしれない。
ほんの少しの意識の隙間。

気づけば、ルナが抱きついてきていた。
ぐっすりと、眠ったまま。

動くに動けなくなり、ソラはため息をついた。
今日はここで夜を明かすことになるかもしれない。

ご案内:「常世神社」からソラとルナさんが去りました。
ご案内:「常世神社」に遠峯生有子さんが現れました。
遠峯生有子 > 学校帰り。

このところ、中間考査を控えて勉学に勤しんでいたために、
居住区の駅を降りれば寮へ真っ直ぐ帰っていたが、
久しぶりにすこし回り道をしてこの場所を訪れた。

一段飛ばしで石段を上がり、鳥居をくぐればそこは周囲の住宅地とは趣を異とする。
葉擦れの音、遠い波の音、鳥の声。
砂利の音を従えて拝殿へ。

遠峯生有子 >  鈴を振り、賽銭を放り、二礼二拍一礼。
「テストうまくいきますようにっ。
 それと、しばらく境内お借りします。」

 一礼を長めにとって、勢いよく顔を上げる。
「よしっ。」
 振り返り、駆け出して、
 境内に据えられたベンチに荷物を置き、
 髪を留める細いリボンを結びなおす。

遠峯生有子 >  風が吹き、ベンチの位置から見える一番大きな樹がざっと揺れた。
 見上げる。
 応援してくれるのかな、と勝手に解釈して。
「がんばります。」と声に出した。

 以前、浜辺で出会った魔法学教師の獅南が生有子に言った。
『血の巡りや呼吸、その身体を構成する全てを感じ取ること。』
 そうすれば、
『ある時突然、その中に、新しいもの――魔力の流れ――が見えてくる。』と。

遠峯生有子 >  生まれたときから異能の発現のあった生有子にとって、
 その能力の制御は必要不可欠なことだった。
 本当ならその時点で、母と一緒にこの島へ来ていてもおかしくなかった。

 ただ彼女の身の回りの人々の少しのわがままで、
 物心がつくころまで、中学を卒業するまではと、
 異能を持たないものが大多数の社会の中で育ってきた。

 しかし、だからと言って自然に任せて完全に放置してしまうには、
 彼女の能力はいささか危険だった。
 3歳にも満たない頃、急に浮かび上がって室内灯に直撃し、
 頭を3針縫ったときには真剣に家族会議がもたれた。

遠峯生有子 >  結局その時も、常世島へ渡るという結論にはならなかったものの、
 以来、彼女が10歳になる頃まで、母と二人で近所のヨガ教室に通い、
 月に数度の瞑想に取り組むことになったのだった。

 そんなわけで、精神を集中させて自らに問いかけるという経験が全くなかったわけではない生有子にとっては、
 獅南の示唆は余計に疑問だった。
 疑問ではあったが、現に初歩の魔法ですらものに出来ていない以上、
 彼の言葉にはなんらかの真理があるのだろうと、考えることは出来る。

遠峯生有子 >  考えることは出来るがそれ以上は結論が出ないために、
 瞑想の実践に来たのである。
 それには神様が見ていてくれる、この場所が適しているような気がした。
 そういうことである。

 背筋を伸ばしてベンチに座り、息を吐く。
 自らの体にいくつものチャクラがあって、
 それが宇宙に繋がっていると想像することが普段の方法だったが…
(血の巡り、呼吸…体を構成する全てってなんだろうな。背骨、とかかな?)

遠峯生有子 >  心臓の鼓動に耳を傾ける。
 自らの呼吸を聴く。
 意識しすぎると、呼吸というのは浅く、不自然になるものだ。
 苦しくなって、思わず目を開け、先ほどの大きい樹を見上げて。
「ふぁっ。」と息を吐いた。

遠峯生有子 > 「意識しすぎるとだめなんだよね。
 分かってはいるんだけどなー。」
 えへへ、と誰もいないのに困ったような笑みを浮かべ、

「もう一回」
 と表情を引き締める。

 背筋を引き上げ、目を閉じて、自らの発する音に耳を澄ます。
 鼓動の音、呼吸の音、身じろぐ気配。
 風が頬をなで、鳥が遠くから呼んでいる。
 自らの、体の重みを感じる。
 伸ばした背筋から、両腕がぶら下がり、首のわずかな角度も重さを持っている。
 
 風が髪を一筋浚う。
 自らの手のぬくもりを感じ、体のぬくもりを感じ、
 その奥から、呼ぶ声が聞こえる。
 私を、半ば受け入れ、半ば拒む、あれは何の声だろう。

 ふっと意識を取られた瞬間、
 彼女の体がベンチごと、数センチであったが、ふわりと浮く。

遠峯生有子 > 「あ、それ違うほう!」
 はっと我に返ったことにより、ベンチが落ちる。彼女ごと。
 わずかな高さではあったが、どしりと衝撃を受けて、
「~~~~~~~~~~~~~!!!」
 声にならない声を上げて、思わず鞄に突っ伏した。
(これじゃないの!これじゃない方なのよう!)

遠峯生有子 > 「はぁ、もう、進歩ないなあ。」
 だらだらと起き上がり、膝の上に鞄を抱えて漏らす。
「こっち(異能)の制御も、出来るようにはならないとだめなのは駄目なんだけど。」

 そちらはそちらで、「飛ぼう」と思っても飛べないために、
 教師の頭を抱えさせていた。
「うまくいきそうだと思ったんだけど。」溜息。