2015/07/06 のログ
ご案内:「常世神社」にエリカさんが現れました。
エリカ > 神社に向かう石段に腰掛けて海を見るのが好きだ。
時は夕から夜へ、日が沈んで行く時間。
水色と白が朱に染まり、やがて蒼へと変わってゆく、そんな頃合。
試験の疲れを癒すには、こういう景色の中にいるのが良い。
小さく歌を口ずさみながら、麓の売店で買ったソーダに口をつける。

エリカ > 「んー、美味しい」

ほんの少しだけ気怠さを運んでくる空気を忘れさせてくれる味。
遠くどこかの、懐かしい味。

いろんな意味での開放感、を得るにはまだまだ早いけれど。
何しろ試験は来週の頭まではある。
これまでの結果については……まあ、万全は尽くした。
それに関してはあとは結果を待つのみだ。

「部屋に戻ったら明日の準備をしなければだけれども」

今は少し、休んでもいいよねと。

エリカ > 「試験が終わったらしっかりと練習しないと」

この世界の一日の時間も有限だ。
勉強時間はそのままサッカーの練習時間にも響く。
容量が良い人ならもっと、とは思うけれど、
少女は自分がそれほど要領が良いであるとは思っていない。

スポーツバッグからボールを取り出して
石段に座ったまま器用に軽く浮かばせる。
辺りの景色は茜色、影は次第に長く伸びてゆく。

ご案内:「常世神社」に久喜棗さんが現れました。
久喜棗 > 散歩の途中いつものように神社の鳥居をくぐる
この神社に来るのはこれで何度目だろうか、鬼の通う神社とはなんだか変な話だ
鳥居の先の石段の上で、座りながら器用にリフティングする少女を見かけ、石段の下から声をかける

「おや、このようなところで奇遇じゃな」

石段を一つづつ上っていき、エリカの横に並ぶ

「器用なものじゃな、こんなところで蹴球の練習でもしておるのか?」

エリカ > 強く海風に鎮守の森の木々が揺れる。
涼やかで、厳かなその声に。
少女はボールを蹴るのを一旦止めてそれを腕の中に納めた。

と、同時。
足下からの聞き覚えのある声に、あ、と表情を輝かせた。

「棗さん」

奇遇だね、と嬉しそうに髪を揺らす。
朱色の中浮かぶ白にうん、と頷き笑顔を向けて。

「こんにちは……それともこんばんはかな?
 えへへ、練習って訳じゃないんだけれど、何となくね」

今日はここの景色を見に来てたんだ、と夕焼けの空を見て目を細め。

「素敵な景色だよね、海と、陸と、空の境、わたし、大好き」

歌うように、囁くようにそう言って後、小さく首を傾げて一声。

「棗さんも、良くここに来るの?」

久喜棗 > ふと顔を背け西の方向を見る
沈みかけの夕日が地平線を赤く染めていた
エリカの隣に座り込み足を伸ばす

「そうだのう…もうそろそろ夜になってしまうな
 うむ、たしかにここは夕陽見物には向いておるかもしれぬな」

エリカの隣で夕陽見物に参加する
夕陽の反対側は紫に染まり夜の気配はすぐそこまで迫っていた

「儂は…そうじゃな、散歩の途中によく立ち寄りはするよ
 たまに知り合いもおるしな
 まさか今日にお主がおるとは思わなかったが…
 
 そうじゃ、お主は試験はどうだった?
 そろそろ試験期間も終わりじゃろう」

エリカ > 沈みゆく太陽が染めるのは景色だけではなくて。
隣に座る端正な少女の顔に燃えるような朱が差すと、
それに一瞬目を奪われて。

「夜のこの場所も好きだなぁ。
 全部の声が呑み込まれるような気がして、
 そこにはこの場の音しか聞こえないもの」

そもそも、神の社の空気は住んでいて心地よいと
エリカは思っている、そんな事を、視線を棗と
同じ方向に向けて言葉にしながら。

「そうだね、今日は学園が試験期間だからかな、
 人とはすれ違わなかったけれど、この時間だと
 まだまだ賑やかだったりするものね」

いるとは思わなかったと言われれば、
少し気分転換したくて、とちろりと悪戯っぽく舌を出し。

「どうかな。
 出来る限りの事はしたと思うし、
 残りもやるだけ頑張るよ、結果はそのあと付いてくる、なんて…ね」

そして、棗さんは? とそのおどけた表情のまま訊ねてみたりして。

久喜棗 > 真上に顔を向けながら言葉をこぼす
天頂はちょうどうすく朱と紫が交わりあっていた

「夜か…儂は夜の神社にはあまり立ち寄ることはないのう
 真っ暗闇の中の神社というのは少し不気味でな…
 本来神聖な場所ではあるはずだが、それがかえって恐ろしくも感じる
 面白いものよな」

エリカへと顔を戻し

「ま、それは儂が鬼であるからかもしれんがな
 本来儂などはこのような場所では祓われる対象だからのう
 お主にとっては良い場なのだろうな」

にこりと笑ってそう答える

「そうじゃな、多くの者は図書館やファミレスで未だ教科書と格闘しておる
 お主も悔いを残さぬようやりきるとよかろう
 儂はまぁ…ペーパーテストはしておらんからな
 実技試験の結果はそう悪くなかったが
 あとは協力してくれておる研究室の者の手伝いを少しばかりするだけじゃな」

エリカ > 「そうだね、怖くて、だからこそ、厳かで。
 神様の家ですもの、騒いで眠りの邪魔は
 しないようにしなきゃ、だしね」

面白い、との言葉にうん、と頷いて。
こうして知己と言葉を交わせるのは、
少女にとって何よりの幸せなようだ。

「そんな事言われたらわたし全力で止めちゃうなあ
 神様、お願いですからそんな事しないでくださいーって」

等と両手をあわせる仕草一瞬だけ見せて。
結んだ髪が、少しだけ涼しくなってきた風に煽られ揺れる。

「ありがとう棗さん、あと少しだもんね、頑張ります」

返す言葉は存外素直に。
手伝い、と聞けば目を少し丸くして凄いね、と。

「どういう事やってるの?
 この島ってさ、学園だけでもほんっとーに広くて深いじゃない?
 わたしもまだまだ知らない事多いんだ」

何処までも潜れる海みたい、とそんなつぶやき残して。

久喜棗 > 「ああそうじゃ、神様は怖いものだからな
 夜に来るなら無礼を働かぬよう気をつけねばならぬぞ、お主もな」

冗談っぽく答えながらエリカに頷き返す

「ふふ、心配するでない
 儂は神様に罰せられるような悪いことはしておらんさ……多分な」

手のひらをあわせるエリカを見てクスリと笑う
とはいえ実際どうなのだろう、神の意思というのはどうにもわからない
自分が善い者だと思っていても神の視点から見れば違うのかもしれない
すこしだけ、目を瞑ってそんなことを考えてしまう

「……んむ、そうじゃな
 お互いもう少しじゃ、頑張ろう」

エリカの質問にふむー…としばしあごに指を付け思案し

「……儂の力を研究してもらっておるのだよ
 儂には血液を媒介にした力があるのでな
 まぁ献血みたいなものじゃ」

献血のように、実際に自分の血液を他人に輸血したら大惨事は間違いないが
当たり障りなくそう答えた

エリカ > 「前居た場所の友達にも良く言われたっけな。
 神様はわたしたちが思うよりも近くにいる存在なんだって」

気をつけます、とくすっと笑みを零しながらも、
その棗の言葉自体は素直に受け止めたようで。

「わたしもそうだと思ってる……
             多分」

相手の言葉に重ねるようにこう返すのは、
一瞬目を瞑り考え込むような棗の様子を見たからか。
もう少し、との声には頷き、試験終わったら海に潜りたいなと。

「血液」

と。
その言葉に反応したのか、
珍しく少女の声から感情の波が消える。
それは一瞬で消えて、そうなんだ、と何時ものように。

「特別な事、なんだね」

ことこの学園で研究といえば、そうであろう。
とは言え今は踏み込まず、相手の言葉をそのままの
意味で受け止めた。

久喜棗 > 視線を外し、鎮守の森へ目を移す
昼間から薄暗い森は夜を先取りしたような空気に包まれていた
ひゅうと風が通るとざわざわと木の葉が揺れる
この森の闇の中に今も神様とやらがいてこちらを見ているのだろうか

「近くに、か
 そんなに近くにおるのならば力の一つでも貸してもらいたいものだがな
 ま、そう下々の都合良く動いてくれる神などおらぬか」

森から目を離し海へと向ける
夕陽は最早夕陽と呼べるか怪しいほどに沈みかかっていた
海に沈んでいくのも相まって、それはまるで太陽が海に溺れているかのような光景だ

「もう日が沈むな…時間がたつのは早いことじゃ」

ひとり言をつぶやくようにそう言葉を漏らした

自分の言葉に反応したかのように少女の声が一瞬色褪せる
はてな、と訝しんで少女の方を向く

「うむ…まぁ、本当に大したことではないぞ?
 別にモルモット扱いされているわけでもない
 むしろ儂が頼んでおるのだ
 儂にとって重大事だからな……この学園に来たのも元々そのためじゃ」

何か実験体にされているようなイメージでも浮かばせてしまったのだろうかと考え、フォローの言葉を並べる

エリカ > いつの間にか空は青黒に染め上げられていた。
しばし後に蒼白の円が浮かべば、
影も、貌も先刻までとは異なる色を持つようになるだろう。

「神は自ら助くる者を助く。
 初めから頼りにしてたんじゃ、
 きっと助けてもらえないんだよ」

精一杯やって届かない手にこそ、それはきっと。
手のひらを握っては開いて、陽の名残りをその
中に掴み取るように。

「そうだね、すぐに夜が来て朝が来る。
 時間ってのは不思議だね……
 楽しい、とか嬉しいとか。
 そういう時間は、すぐに過ぎちゃうんだもの」

独白にも似た声に、何かを感じるだろうか。
棗さん、と相手の名を小さく、呼んだ。

「わたしもね、色々あるんだ」

大した事じゃないかもしれないけれど、と笑って。
今日はもう夜が近いけれど、今度よかったら聞いてもらいたいなー、等と。
今度の音にはしっかりとエリカの色が添えられている。

「あ、うー、そうだったんだ、ごめんなさいっ」

ぺこり、と頭を下げる仕草。
やっぱりなにか勘違いがあったようだ。
はあ、と小さく息を吐いて。

「もしそんな事だったら、
 乗り込んでいって止めさせなきゃー!
 なーんて思ってたんだ」

わたしの勘違いだねー、と少しおどけながら眉を下げ。

久喜棗 > 夕陽の最後の灯しも消え去り夜が到来する
星々はきらめき月が姿を見せる
天空のかすかな輝きに対して地上の光は幾ばくか喧しい
海の反対を向くと神社からでも歓楽街の灯りがこぼれ見えてくる

「まぁ…元々神に助けてもらおうなどとは思ってないわ
 儂もいい年なのだから自分の尻ぐらい自分で拭かねばな
 最後には神頼みもするかもしれんが」

石段から立ち上がりぐっと伸びをする

「誰だったか言っておったよ
 世の中は常に変化する、どれだけ楽しい時間をその場に留めようと願ってもハナから無理な事だとな
 確かあ奴は坊主であったか…にしては俗っぽいやつだったが」

うむうむとあごをさすり思い出す仕草をする
老人が昔話を一度しだすと止まらなくなるから、ほどほどにそれを止めて
エリカの色々あるという言葉にそうか、と頷く

「儂でよければ壁にでも言葉をぶつけると思って話してくれればよい
 他人に話すのは不得意だが、他人の話を聞くのは得意じゃからな」

ふふんと威張れることでもないことを威張ってみせる
エリカがあまりシリアスにならないよう、冗談っぽく振る舞いながら

「儂はお主が思ってるほどヤワではない、これでも鬼じゃからな
 むしろお主が儂のために危険なことをするなど、気持ちは有難いが儂の方から止めねばならぬよ……さて」

石段をきた時と同じように一段づつ降りてゆく

「もう日も暮れたゆえ、そろそろ帰らせてもらおうか
 お主も、あまり夜更かしはいけぬぞ
 夜は本来、儂らのような人外の者の時間
 いくら今は明かりがあると言っても危険であることに変わりはない
 早めに帰るのだぞ」

そう、言い残し夜闇の中に紛れていった

ご案内:「常世神社」から久喜棗さんが去りました。
エリカ > 足下の影がより大きな黒に飲み込まれて目を凝らさねば見えぬようになる。
天の星に地上の星、そしてそれを鏡のように映す海。

「えへへ、そうだね。
 不精してたりしてたり何もしないうちから
 助けてください! なんて言ったらさ。
 それこそ、神様に怒られちゃうってものだよ」

そういえば、と出しっぱなしにしていたボールをスポーツバッグにしまって。

「留めるのは思い出。
 心と体は先に進んでいかなきゃね」

良い言葉だと思うよ、と。
棗の話に耳を傾ける時間は、
エリカにとって快いものであるらしく。

「留めるのは思い出。
 それは綺麗な物だけれども、
 心と体をそこに留め置いてはいけないんだ……ってね」

冗談っぽい振る舞いは大いなる救いであろう。
ありがとね、と心から、笑って。

「……うん、ありがと。
 わたしも結構頑丈ですから、結構だいたい大丈夫」

でも、棗さんに心配かけるのは嫌だなあ、と。
今宵の心地よい時間はここまでか、と自身もゆるりと立ち上がり。

「えへへ、そうだね、わたしも帰るよ。
 光が届かない時間には、目を閉じるのが良いのでしょうし」

ゆらり波間に浮かぶように、等と闇の奥へと目を細め。
石段を下り街へと帰っていった。

ご案内:「常世神社」からエリカさんが去りました。