2015/12/13 のログ
ご案内:「常世神社」にダナエさんが現れました。
■ダナエ >
──ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス……
ゴッ……ゴス…… ゴッ……ゴス
異形の全身鎧を装備した重騎士が、神社の鳥居の前で足を止める。
躊躇していたが、
「……そちらにおわす常世の神よ。
異世界の異教徒が聖域へ足を踏み入れることを、
どうか許してほしい」
小声で奥に向かってそう呟き、ゆっくりと鳥居をくぐる。
神社に来るのは2度目。
周りの様子をうかがいながら、奥へと進んでいく。
■ダナエ > 「魔除け……なのだろうな」
狛犬の奇妙で力強いデザインに少し見とれたりしながら、
拝殿の前で足を止める。深呼吸。
「あー、すまない。誰か、いるだろうか?」
中へと声を掛けてみる。目的は、聖水の入手。
神社ならば聖水と同質のものが手に入ると踏んで、
こうして訪れたところ。
ご案内:「常世神社」に石蒜さんが現れました。
■石蒜 > 人を呼ぶ声に、敷地内の鎮守の森から少女が出てくる。黒い白衣に、血のように赤い緋袴を履いた少女だ。
色は違うが、神社に仕える巫女のように見えるかもしれない。騎士鎧の人物の、2mほど前で、歩みを止めた。
「石蒜は居るけど、神主さんとかは居ないよ。もう引っ込んじゃった。」見た目より幼い印象を与える声で、応える。
「何の用?今暇だから付き合ってあげてもいいよ。」
■ダナエ > 「おお」と神社関係者っぽい服装の少女が来たのを
喜んだものの、神主は不在と聞きちょっと困った顔。
「ええと……
私は、聖水が欲しくてここへ来たのだが。
シー、シュアンは、ここの関係者ではないのか?」
尋ねてみる。
■石蒜 > 「んー。」聖水、と言われて顎に指を当てて考える。こちらの神社についてあまり詳しいわけではないが、似たようなものに心当たりがあった。
問いかけには「石蒜は遊びに来ただけだよー。服は似てるけど、これは前に居た世界の道着で、違う服ー。」首を振って否定した。
「聖水じゃないけど、身を清める水ならあるよ、てみず…なんとか。」と手水舎を指差した。漢字はあまり読めないらしい。
「お姉さん呪いを解きに来たの?悪いけど、あんまり強い効果ないと思うよ?」全身鎧で神社に来たことと、鎧から放たれる、禍々しい雰囲気から、そう判断した。
■ダナエ > 「前にいた世界?
……そうか、貴公も異邦人なのだな。
うむ、確かにこの世界の聖職者のものと似た服だ」
色の違いには気づかない騎士。
巫女装束とそっくりだと思っている。
「あるのか、それは助かる!」
てみずてみずと言いながら指を差された方へ
移動しかけて、振り返る。
「む……、……まあその通りだ。
そのために必要な材料を集めているのだが……
効果が弱いというのは困るな」
思いきり困った顔で。
「てみず以外に神が清めた水、
魔を祓い浄化するための聖なる水はないのか?
この際、液体なら水でなくてもいいが……」
だいぶ妥協する。
戦闘用以外の魔術には明るくないため、
魔術の材料や手順を守ることの大切さがいまいち分かっていない。
■石蒜 > 「お姉さんも異邦人なんだ。」異邦人同士、ということでちょっぴり親近感が湧いて、口角が少し上がる。
「うんー、神社のてみずはねぇ。ケガレを祓うぐらいはするけど、呪いはまた違うみたいなんだよね。石蒜も詳しいわけじゃないけれど。」
残念ねー、と相手の周囲をうろうろと歩き回る。あまり残念そうではない。今のところこの会話は暇つぶしぐらいの意味しかないのである。
「神が直接?うーん、神様なら何人か学園の生徒で知ってる人が居るけどー、石蒜は連絡先とか知らないなぁ。」異世界の創造神を名乗る生徒と、サヤが出会ったことがあるが。あれ以来顔を合わせたことはなかった。
「異邦人街に神社とか教会が集まったところがあるから、そこなら神様が居るかも。大体神主さんとか教会の…えーっと…しんぷさんだ。しんぷさんとかは親切だから教えてくれるんじゃないかなぁ。」
「鎧ずっと着てるの大変そうだねぇ。そのフジツボってまだ生きてる?取って塩茹でにすると美味しいよ。」うろうろしながら、鎧をじろじろ。
■ダナエ > 「服がよく似ているということは、
シーシュアンの元いた世界も、
この国のような雰囲気だったのか?」
少女の服装を見ながら。
「ふむ、ケガレを祓う力はあるのか。
聖水だけで呪いを何とかするわけではなく、
聖水は材料の一つだから…………うむ。
てみずでもまあ、何とかなるかもしれん」
ポジティブ。
「ああ、ミウ様に聖水を頂くという方法もあったか……」
少女の言葉に、ぽんと手を打つ。
「だがまあ、私自身が奴に一矢報いたいのだから、
お手を煩わせることもなかろう。
これで良かったのだ……」
ぶつぶつ。
奴ら、ではなく奴。
標的は亡者の一人、【強欲】に絞られているようだ。
「なるほど、異邦人街に教会があるのか。
それは知らなかった、アドバイス感謝する」
軽く頭を下げる。
じろじろ見られることには慣れては来ているが、
フジツボに言及されることにはまだ慣れていない。
馬鹿にされたと思い少しムッとしながら、
「こんなものが生きていようが死んでいようが興味はない。
欲しければいくらでもくれてやるぞ。
どうせすぐに生えてくるのだ、忌々しい……!」
一つフジツボをむしって、ビシッと強めに少女に放る。
八つ当たり。
■石蒜 > 「んーとね、この国の江戸時代って時代に似てるんだって。400年とか300年ぐらい前。でも言葉は全然違ってて、喋れるけど読み書き出来ないんだ。勉強中だよ。」
石蒜ではなく、同じ肉体を共有しているサヤが主に勉強しているのだが、面倒なので説明は省いた。記憶を共有しているから全く違うというわけでもない。
「異邦人街はねー、後から後から適当に建ててくから道が分かりづらいんだよねー。石蒜もねー、大分迷ったよ。
サヤ…えーっと、石蒜のー…もう一つの人格なんだけど、そっちは方向音痴だからまだ迷うんだ。ダメダメだよね。」
クスクスと笑いを漏らす。陰口、というほど陰湿ではないが、居ない人間を嘲るのは面白いものだ。
フジツボを投げつけられれば、ひょいっと身を交わした。
「何それ!せっかく石蒜が美味しいもの教えてあげたのに!フジツボになっちゃえ!この!」
明らかにむっとした顔になり、応戦するために足元の小石を拾って投げつける。露出している頭ではなく、鎧の胴を狙う。怪我をさせたいほどは怒っていないのだ。
■ダナエ > 「ほう、大昔のこの国に似た世界から……。
別の世界なのだから時間を移動したというわけではないだろうが、
なかなか面白そうな話だな」
タイムスリップのようだと、好奇心を刺激される。
「……なるほど、では私の同志だな。
文字は私も勉強中だ」
冗談めかしてニヤリと笑い、握手を求めてスッと右手を差し出す。
「まったくだ。
この島に来てすぐの頃、不動産屋を探して
どれだけ異邦人街をさまよったことか……!」
昔のことを思い出し少女の話に強く同意したが、
「……ん、サヤ? 人格……?」
話がよく飲み込めず、きょとんと聞き返す。
フジツボになっちゃえという無邪気な言葉に、
背筋が冷える。
このままだと実際フジツボになりかねない身。
「なっ……!
それはシャレにならんぞ、ここにおわす神が
うっかりその願いを聞き届けたらどうするのだ!
取り消せ!!」
小石がコンコン胴に当たるのはかわすこともなく、
ひたすらフジツボをむしっては少女に放る。
こちらも少女に怪我をさせる気はない、
が、少しくらい痛い思いをさせてやろうという
復讐心はある。
■石蒜 > 「やだ!取り消さない!」親切心で教えたつもりなのに、フジツボを投げつけられて、もう親近感もふっとんだ。今はとにかく怒っている。
ちょろちょろと走り回ってフジツボを避けながら、小石を投げ続ける。
「お姉さんの馬鹿!フジツボ!ゾウガメ!カメノテ!クルマエビ!ヤドカリー!!」
思いつく限り、硬い殻を持つ生き物の名前を叫ぶ。
「なんで石蒜が親切したのに怒るの!わけわかんない!!石蒜が何したの!!」
石蒜としては怒らせるようなことをしたつもりは一切ない、理不尽に思える反応に、怒ると同時に困惑していた。石蒜という存在は生まれて一年も経っていない、対人経験はほとんど内も同然だった。だから、わからない。
■ダナエ >
──カン。
コン。
カン。
コン。
小石が全身鎧の胴やその周囲に当たって跳ねる。
石灰やフジツボに当たるので、
鋭い金属音ではなくくぐもったやや間抜けな音。
フジツボ。ゾウガメ。カメノテ。クルマエビ。
「くっ……!!
騎士はそんな子どもじみた煽りには……」
と言いかけて、耳に飛び込む『ヤドカリ』。
「誰がヤドカリだーーーーッッ!!!!」
絶叫。
はあ、はあ、と息をついて。
相手は子どもだと、少し冷静さを取り戻す。
「……なるほど、純粋に親切だったわけか。
それならば、すまなかった。
……人間というのは自分でも嫌だと思っている
身体的欠点のことに言及されると、怒るものなのだ……」
理不尽に怒ったことへの謝罪と、言い訳。
正確には身体ではなく鎧的欠点なわけだが。
「…………笑わば笑え。
このフジツボも呪いの一部でな、
フジツボはいくらでも生えてくるし、
だからといってこの鎧は人前では脱げないのだ……」
それが、フジツボだらけの全身鎧で町中を歩く理由。
残念な呪いの内容を、しょんぼりと俯きながら説明する。
■石蒜 > 突然の絶叫に、驚いてビクリと身をすくめる。投げつけようとした小石が手から落ちた。
「……フジツボ、嫌いなの?ごめんね。石蒜わからなくて……。ごめん。」じわりと目尻に涙を浮かび、ぐしぐしと袖で目をこすった。
「ごめんね、呪いだもんね。嫌だよね…。笑わないよ、石蒜も…あんまり"良いもの"じゃないから…。」
おどおどした様子で、言葉を慎重に選んでいる。
「あの…あの…ごめんね。ええと…名前…教えて、謝らないと…。」