2016/06/18 のログ
ご案内:「常世神社」に頸城 陸さんが現れました。
■頸城 陸 > だらり、境内のベンチにもたれ掛かる少年が一人。
その視線は、ぼーっと夕暮れを眺めていた。
「んー、とりあえず、ゆっくり考えてみるかなぁ」
赤い空を眺めながら、ぽつり、そんな事を呟いて。
小さく息を吐いてから、思考の海に潜る。
考えるのは、先日演習場で投げかけられた問い掛けの事。
「僕が遭遇しやすそうで、僕の異能が必要になる状況、っていってもなぁ……。僕、一応平和な国の平和な街で暮らしてたわけだし……」
思わず、思考が言葉から漏れる。
それを気にする事なく、思考を続行する。
「ここは意外と物騒らしいけど、そういう所には全然行かないしなぁ……」
そう言って、首を傾げた。
■頸城 陸 > 危険な目にはあまり合わないし、喧嘩も殆どしない。
そんな自分が己の異能を思う存分使える状況など、あるのだろうか。
「……ある程度制御できたら、また変わってくるんだろうけどなぁ」
身体強化能力には使い道が多い、という事はなんとなく解る。
だからこそ、自分も使いこなせるようにと思い訓練を続けてきた。
故に。
「あまり意味の有ることじゃない、か……」
そんな事、考えもしていなかった。
どういう風に力を使うのか。
どのように力と共に歩んでいくのか。
答えは、未だに出ない。
「……どうしようかな、これから」
真っ赤な空を見つめたまま、呟く。
■頸城 陸 > 「休憩ばっかりはしてられないし……なんとか、しなきゃ」
こんな所でクダを巻いてはいるものの、焦りを感じていない、と言えば嘘になる。
自分がこうしている間にも、他の皆はドンドン先へと進んでいってしまう。
その現実が、歯がゆい。
「……いっそ、このまま頑張ってみる、とか?」
言われたことを無視して、これまで通りに過ごしてみる。
何かが起こったら、その時はその時だ、と割りきってみる。
……どうだろうか。
ご案内:「常世神社」に霧依さんが現れました。
■霧依 > ゆるぅり、ゆるり。
階段をひーふーみー、と登ってくる長身の女性。
バイクに跨がり走ってきたせいか、珍しく灰色のメッシュジャケットなどを着て。
前を開けば黄色の明るいTシャツ姿。
登り切ったところで、ふむ、と顎を撫でて。
その場に座っている少年に気がつく。
「……や。 ここは神社なのかな?」
これだけ階段を登ってきて、自由過ぎる質問を相手に投げかける。
ふう、と僅かに額の汗を拭って。
■頸城 陸 > 「……いや、無い、なぁ」
取り返しのつかないことにならないように訓練していたのだ。
その訓練で取り返しのつかない事になるのは、本末転倒な気もする。
「じゃあどーしろっていうのさー!」
大きく伸びをして、八つ当たり気味に言葉を吐く。
等としていると、かけられたのは声。
もしかして、今のを見られていたのだろうか。
少し恥ずかしそうに俯いて、問に答える。
「あ、はい。……神社です」
言葉を吐いてから、軽く深呼吸。落ち着こう。
少し、落ち着いた。
顔を上げて、声の主を見る。
「……参拝か、何かですか?」
少し気になって、長身の女性へと質問を投げ返した。
■霧依 > 「いいや、神社だと分からないのに参拝に来ることもきっと無いよね。
実はこの島に来たばかりだから、何処に何があるのか、ある程度しかわかっていないんだ。
だから、自分の目で何があるのか確かめようかと思ってね。」
相手の言葉に微笑みながら投げ返して、周囲を見回し、さも当然のように隣に腰掛けて。
それに、何が祀られているのか知らないから、と付け足す。
「………どうするべきか悩む時は、何かに話していると自然と楽になるものさ。
僕は、もしかしたら神社が寄越した使いかもしれないよ。」
なんて言いつつ、涼し気な表情は変わらぬままに。
「話せる範囲で、話してみるのもいいかもしれない。
僕にではなく、この神社に話すつもりで。
人は、思っているより頭が良くて、思っているよりも頭が悪い。
言葉にしないと、言語にしないと、文章にしないと、実はあまり考えが進まないことが多いんだ。」
■頸城 陸 > 「あー、それもそうです、よね」
女性の言葉に、苦笑い一つ。
そう言えば、自分も此処の神様がどういうものなのか、よくわかっていない。
此処によく来るのも、なんとなく落ち着くから、というだけだし。
「……そう、ですか?」
確かに、一人で抱え込みすぎるのも良くないのかも知れない。
ただ、上手く言葉にできるだろうか。
小さく、息を吸って、言葉を吐き出した。
「……頑張る理由がよくわからないまま、頑張るのはダメなことなんでしょうか?」
言っておいて、我ながらよく解らない問だな、と苦笑した。
■霧依 > 「僕はただ単に、そのあたりをうろうろしているだけの女さ。
その辺りに行けば、生えてると思うよ。」
自分が普遍的だということを口で表現しながら、ぎしり、とベンチに背中を預けて。
相手の言葉を受け止めて、少しだけ考える。
「………思うに。 全く、一片も理由が無いままでは、頑張ることはできないと思うんだ。
僕が歩くのも、知らない場所を見たいから、だし。
人と話すことが好きだから、でもある。
幼子が学業に無心でがんばるのも、良い子でいたいからかもしれないし、褒められたいからかもしれない。
退屈だから、って可能性すらある。」
口を開いて、そんなことを口から零す。
ゆるゆるとした語り口で、例を挙げて。
「……もしかしたら、だけど。
頑張る『正しい』理由が分からないまま、頑張ることに不安を覚えているんじゃあ、ないかな。」
視線は向けないし、相手に詰め寄るような気配も、逆に忌避するような気配もない。
空気のような気配のまま、ぽっかりと浮かぶ言葉の雲。
■頸城 陸 > 「……いや、流石に女性は生えてないと思いますけど」
野菜か何かか。
いや、歩いているとは思うけども。
女性の言葉を聞きながら、軽く相槌を打つ。
「……なる、ほど。そうかも、知れませんね」
正しい理由がわからない、という彼女の言葉は否定しない。
だからこそ、こうやって考えているのだから。
これまで自分が感じていた、自分と他人の差、の正体はそれなのだろう。
他人には、その人なりの正しい理由がある。自分には、それがない。
「……正しい理由どこに行けば見つかるのか、なんて、他人に聞いてもダメですよね」
探して、見つけるのはきっと自分自身でないと駄目なのだ。
でも、それが見つからないからいまここでこうしている訳で。
……手詰まりの予感がする。
小さく、ため息を吐いた。
■霧依 > 「僕くらいになると、生えることもできちゃうものさ。
抜いても抜いても生えてくるから気をつけなきゃいけない。」
冗談交じりにそう呟けば、そうだね、と少し考えこむようにして。
「………それは子供の気質ではあれど、だからこそ人間の本質である可能性があって。
子供は、己が何故学業を修めるのか、きっと自分で分かっちゃいない。
大人ですら、正しい理由も分からない人が多いんだから。
それでも、その人なりに賢明に努力をするし、前に進む。
それが正しいのかなんて、その日は全く分からないのにね。
とてもまっとうなことを言うのであれば。
思い切り前に走った後、振り向いた時に正しかったかどうか、分かるんだと思うよ。」
溜息をつく少年の頭を、良い子、良い子と撫でてやりながら。
しっとりとした声が響く。
「その上で。
正しいか正しくないか思い悩んで、立ち止まって。
芯から冷えてしまう方が、きっとよろしくないと、僕は思ってる。
身体を薄い膜で包まれてしまって、ゆるく死んでいるような感覚に陥ってしまいながら。
しまいには、動けなくなってしまう。
間違っていてもいい、とは言わないけれど。
思い切り考えて、それで間違っていたら仕方ないよね。
僕なんかは、すぐに道に迷うけど。 それも含めて、思い出せば楽しいものさ。」
からり、と笑いながら。
それだけで話せるものではないけどね、と付け加える。
■頸城 陸 > 冗談交じりの女性の呟きには、苦笑のみで返す。
どう返していいか、うまい答えが思い浮かばかなかった。
「走り終えた後、ですか……」
ぽつり、言葉が漏れる。
一寸先は闇。
けれど、答えはその闇の中を走り終えた先に待っている。
だから今は頑張るしかない、と言うことなのだろう。
頭を撫でられる。
こそばゆく、何処か落ち着く感覚。
そういえば、こうやって誰かに頭を撫でられるのも随分と、久しぶりな気がする。
だからどうした、と言えばどうもしないのだが。
「やっぱり、とりあえずチャレンジすべき、って事ですよね。……なんか、少し元気になった気がします」
言い終えると、自分もつられて小さく笑った。
■霧依 > 「……なあに、少しだけ穏やかに考えるべきでもある。
チャレンジなんて考えなくてもいいんじゃないかな。
自分のやれることをやればいい。
例えば、運動だけに打ち込むんじゃあなくて、料理の一つでもしてもいいだろうし。
もしかしたら、絵でも描いてみると気持ちが変わるかもしれない。
通りすがりの女に思いを話すだけでも、きっと何もしないより、ずっといい。」
言いながら手を離し、空を見上げて。
「それがどんなにくだらないと思える理由でも、正しいかどうかはすぐにはわからないし。
そして、結局自分だけがわかるものさ。
山に登って遭難に遭う人に、馬鹿げているから登るのをやめろ、って。
世間一般では『正しい』だろうけど、それが相手の心を打つだろうかね。
僕は、この島を全て歩きたいと思っているよ。
すべての場所を見て回りたい。 理由は、そうしたいから。」
頭が多少悪くてね、と、舌をぺろりと出して笑う。
■頸城 陸 > 「……やれる事、か」
自分に出来ることは一体何か。
腕を組み、軽く考える。
……料理も絵も、殆どしたことがないけれど、そこで止まってはいけないのだろう。
これまでと、変わらないままだ。
「……なるほど。それじゃあ僕が、危険だからやめた方がいい、なんて言っても、やめなさそうですね」
なんて、冗談めかして言ってみる。
確かに今の自分は正しい理由が無い、という点では劣っているのだろう。
それでも焦らずに、ゆっくりと追いついていけばいい。
たまには寄り道をしても、正しいと思えるゴールにたどり着ければ多分それでいいのだ。
■霧依 > 「そういうこと。 あくまでも最後は自分さ。
……だけれども。 その意見を聞いて注意はする。
警戒もするし、行ってみたいからといって穴に飛び込むような真似もしない。
その意見が正しいか、正しくないかではなくて。
それをゆっくり解釈して。 その上で自分のやりたいことをやる。
僕は僕で、自分なりにちゃあんと考えているからさ。」
その上で、もう一度よしよし、と頭を撫でて。
「通りすがりが、ぺらぺらと喋ってごめんね。
飲み物の一つでも奢ろうか。」
ウィンクを一つぱちん、と送って。
頭を撫でたままそんなことを言う。
■頸城 陸 > 「……なるほど」
そういえば、自分は他人の意見を鵜呑みにしてばかりだったな、と自嘲気味に笑う。
「あぁ、いや。流石にそれは悪いような……」
こうやって悩みを聞いてもらって、話を聞かせてもらって、その上で奢ってもらうのは、流石に悪い気がする。
「むしろ、僕がだします」
何てことを、財布を取り出しながら言うのだった。
■霧依 > 「何が悪いものか。
遠慮することはないよ、気にしない。」
そっと手を出せば、取り出そうとするその相手の手を抑える仕草を見せて。
「僕はただ、この場所にいて、君の話を聞いただけ。
その上でいろいろと話した気もするけれど、でもやっぱり聞いただけ。
気に病むならば、やめておくけれどもね。」
相手の言葉を受けて微笑みつつ、自分のコインは取り出してぴん、と弾いて遊んで。
「バイクで走っている間はいいんだけれど、ここでこうしていると、少し暑いね。」
メッシュのジャケットを脱いで半袖のTシャツ姿になりつつ、相手の顔を見やる。
他愛もない話で、悩みがほぐれているかを確認して。
■頸城 陸 > 「……あ、そう、ですか」
少ししょんぼりとした様子で、財布を仕舞う。
「……あ、じゃあ、その、僕は、いいので」
行為を無碍にするようで悪いですけれど、と頭を下げて、断る。
……空を見れば日も沈みかける頃合い。
そろそろ、帰路についたほうが良い気もする。
「そうですね。まだ6月ですけど、やっぱり夏が近づいてきてる、って感じですよね。……これからもっと暑くなるんだよなぁ、やだなぁ……」
はぁー、と嫌そうにため息を吐く。
■霧依 > 「それじゃあ、次の機会に。
僕が何かに悩んでいたり、迷っていたら、話の一つでも聞いてもらおうか。
まあ、僕が悩んでいるのは、下着の色くらいだとは思うけれどもね。」
からりと笑って、断る少年に笑いかける。
不満そうにもしなければ、悲しそうにも残念そうにもしない。
さらりと触れる布のような感触の声をかけて、空を見上げ。
「そうしたら、水浴びでもしたいところだね。
この島はきっと川もあるんだろうし、楽しみだな。」
とってもポジティブな旅人は、ぱちん、とウィンクをしながら立ち上がり。
「悩み、聞く?」
くすくすと笑いながら尋ねる。
下着の色だけど。
■頸城 陸 > 「……そうですね、その時はまた、お話、しましょう」
小さく笑って、己も立ち上がる。
帰ってご飯でも食べて、ゆっくり新しい趣味でも探すとしよう。
「結構、綺麗だって聞きます」
川もあるだろう、という言葉を聞いて、返す。
「あー、いや、今日は僕そろそろ帰らないといけないので、又の機会、でお願いします」
なんて、軽く笑ってみせる。
「それじゃあ、また、どこかであえたら」
軽く手を振って、帰路につくべく歩き出した。
ご案内:「常世神社」から頸城 陸さんが去りました。
ご案内:「常世神社」から霧依さんが去りました。