2016/08/06 のログ
ご案内:「常世神社」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 「……すずしい……」
夏である。午後である。浴衣である。
鎮守の森は日がな一日日陰に包まれて、時おり風が吹き抜ける。
片手にうちわ、片手にバニラ味のアイスバーを手にしたヨキが、ベンチにしな垂れかかるように腰掛けていた。
今日は尻尾もとりわけ自由にぶらぶらしている。
アイスをひとくち齧ると、ふにゃふにゃに茹だった顔が心地よさそうに緩んだ。
「天国だ……」
かつてカミと呼ばれたヨキが、坊主の口を借りて、神社の境内を天国と呼ばわるのだから、
色々なものがすっかりチャンポン極まりない。
■ヨキ > ベンチの背凭れに首を引っ掛けてだらだらしていると、被っていた帽子がはたりと落ちる。
「ぬわっ」
帽子は今夏の、とっておきの新品である。
暑さのためにのたのたと重い動きで身を起こし、立ち上がる。
風に吹かれて、危うく石段から落ちる直前でキャッチした。
アイスを咥え、ほっとしながら被り直す様子は、まるで子どもだ。