2016/08/16 のログ
比良坂 冥 > 「───ふ」

口の端から小さな笑みが漏れる

「…うん…うん。
 翼なんてなければ、逃げたりなんか、できないから……」

目を細めて、なにか愛おしいものを見るような目で

ご案内:「常世神社」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 神社の階段を一人の男が進む。
異様な長さのタオルを首に巻いた男である。

進めば一人の少女が視界に入ってくる。
棒で何かを書いているのだろうか?
いや違う。あれは、あれは何をしているんだろう?
虫を虐めている?虫を虐めてるのだろうか?

「…そこの君!何をしてるんだい!?蟻かい?蟻をつついてるのかい!?
 ほら、蟻も生きてるからあんまり虐めたらかわいそうだ!」

比良坂 冥 > 「………?」

妙にゆっくりとした動きで、声のかかった方へ首を傾ける

まるで光のない瞳でその顔を見つめて───

「……私?」

自分に話しかけているのか、と問うた

他には誰も居ないのに

真乃 真 > 夢中になって聞こえてなかったのかもしれない。
今度は更に大きめの声で

「ああ、君だよ!君だ!今僕の前に座っている君に言ったんだよ!」

大げさな動きで少女の方を示して言う。

「よし、じゃあもう一回言うよ!君は何をしていたんだい?
 その棒を使って蟻を虐めてたのかい?それとも何か違う事をしてたのかい?」

そう、聞き取りやすいように言う。

比良坂 冥 > 「………」

じぃ、その顔を見つめたまま

「…そうだった、ら?」

僅かに横に首を傾げて、聞き返した

真乃 真 > こんなに見つめられると少し気になる。
何か付いていたりするのだろうか?少し自分の顔を触ってみる。

「うーん、蟻が可哀想だから違う遊びをした方が良いと思うな!
 いや、どうしてもそれがしたいんだったら止めないけどね!」

蟻とはいえ生きてる。
遊びで潰されるのは少し可哀想だ。

「ほら!あれだぜこの時期しか海とかは楽しめないからね!
 僕としてはおススメだ!」

比良坂 冥 > 「…そう見える?」

木の枝を放り出して見せる
よく見れば、蟻が羽のもげた蝶を運んでいるようにしかみえないのと
あたりに蟻の死骸も見当たらない

「……それだけで私に声かけたの?…変わってる、ね」

人を寄せ付けない雰囲気を持っている故に、普通の人は少し距離を置いてしまうもの
それでも自分に声をかけてくる、のは

「……私に、関心を持ってくれてるの?
 …海、は……連れていってくれるなら、行く、けど……」

真乃 真 > 「…違うかったんだね!ごめん!そう見えた!」

そう、そう見えたのだ。
でもどうやら違うかったようだ蟻が蝶を運ぶのを見ていただけのようだ。
蟻の協力して一つの目標をこなす姿は確かに見ていて飽きない。

「まあ、変わってるっていうのはよく言われるね!
 まあ、こんな所だから誰でも変わったところの一つや二つあるよね!」

変わってない人の方が珍しいくらいである。

「ああ、関心を持つというか何か気になったんだよ!」

大丈夫なんだろうかこの子という心配が主である。

「行きたいのかい!?君が行きたいなら海でも山でもプールでも!
 どこででも連れて行ってあげるよ!ちなみにやっぱりおススメは海だね!」

比良坂 冥 > 「………」

随分と言の葉に勢いのある、明るい言葉を向けてくる
なんだか眩しくて、それはまるで
別世界の住人のように自分の影を強くしていくのを感じて

「……私の事が、気になった……?」

す、と…自分の胸元に手をあてて、その顔を見つめなおす

「………ナンパにしても、直線的すぎるね…」

真乃 真 > 「ああ、気になった!
 もし、蟻を虐めて笑ってたりする子がいたらそりゃあ、誰だって心配になって声をかけるさ!」

実際は蟻を虐めてたわけでは訳ではないので真の早とちりなのだけども。

「…ナ、ナンパ!?違うからね!そういうんじゃないからね!
 さっきも言ったように心配だったんだよ!うん、ナンパとかは違うよ!」

焦ってナンパとは違うと否定する。
確かにいきなり君が気になったと!か言って海とか誘うとかそれは客観的にみてナンパ以外のなにものでもないけども。

比良坂 冥 > 「……心配…」

目を細めて、ほんの少しその表情が笑みに変わった…ように見えた

───のは、束の間

「……女の子として誘うつもりもないのに、
 その気にさせるようなコト言ったの?」

じぃ……

深い井戸の底のような瞳が、真を見続ける

真乃 真 > 「う、うん…結果的にはそういう事になるかな…。」

その吸い込まれそうな、落ち込んでしまいそうな瞳から顔を逸らさずにでも自信はなさそうに告げる。
視線を逸らしたら負けな気がする。
確かに、確かに目の前の少女は可愛いと思う。
それでも、いきなりナンパするなんて非常識だと思うのだ!
いや、いきなりでなくてもナンパしないけども!

「!!じゃあ、人として気になったという事でどうだろう!?
 男女云々じゃなくて僕は友人として君を誘うよ!それならいいだろう!」

ナイスアイデアが来たとばかりに指を立てて自信ありげな顔でそんな事を言う。
…友達になるのが嫌って言われたらまあ…うん…。

ご案内:「常世神社」にルギウスさんが現れました。
比良坂 冥 > 「…"じゃあ"って、何…?」

少しずつ少しずつ、少女の周囲の雰囲気が重くなってゆく

「…随分と適当なことを言って、女の子の心を弄ぶのね…」

すぅっとまるで生気なく立ち上がって、歩み寄ってゆく
一歩一歩、揺れるようにゆっくりと

ルギウス > ゆっくりと階段を上がってきてやってきたのは黒眼鏡の胡散臭い司祭服の男。

「やぁ、デートですか?」

火には油を注ぐ主義

真乃 真 > 「…ごめん。でも、あれが僕の言葉だ。」

これはきっと怒られても仕方のない事なのだろう。
近づく少女に対して視線は逸らさない。
そのどこまでも深い眼をじっと見据える。

「でもそれが僕の気持ちだ。さっき言った言葉が僕の本音だ!
 僕は君が人として気になった。だから友人として君を誘う!」

揺れながら近づく少女から避けずにその場に立ったまま手を差し伸べてそう言った。

比良坂 冥 > 「どうして謝るの?」

のろのろとした喋りだしから急に饒舌に変わる

「あといつ私が君の友人になったの…?
 女の子として興味もないくせに慣れ慣れしくしないで、偽善者」

唇の端に笑みを浮かべてそう返答を返し、くるりと後ろを振り返って

「……先生じゃないですか、こんなところで何してるんです?
 見ての通りデートでもなんでもない…ただの"ボランティア"をされてるだけです」

ルギウス > 面白そうな笑顔を浮かべて成り行きを見ていたが、声をかけられればそちらに向く。

「ああ、そうでしたか。
 いやあ楽しそうでしたので、てっきりデートかと。
 でしたら、この後で食事でもどうですか?
 いい白ワインのお店がありましてねぇ」

くつくつと笑いながら、会話を続ける。

「ああ、真さん。秘密特訓設備整っていますからね。
 後で案内状を送ります」

真乃 真 > 「確かに友人ではないけど!確かに偽善者だけども!
 僕は馴れ馴れしくしてるつもりはないよ!
 いつも道理の普段通りだ!女の子としての興味云々は置いといて僕はこんなのだからね!」

そう、誰に対しても老若男女誰に対しても真乃真は変わらない。

「おっと先生、ルギウス先生じゃあないですか!
 そうです、デートじゃないです!強いていうなら僕の自己満足が空回りしただけです!」

これもいつものことである。

「あ、ありがとうございますてっきり忘れられたのかと!秘密特訓か…楽しみだな!」

比良坂 冥 > 「……知らないよそんなこと。
 君が普段どうだったって、私がそんなこと知るわけがないし…。
 いいよ、必死に弁明しなくても。
 私に構う男の人なんてどうせ変わり者か、性欲に塗れたやつしかいないから」

君はそうじゃなかっただけ、と付け加えて、視線を逸らす

「……君、そんな自己満足をいつも振り回していると、いつか痛い目にあうよ」

多分、周囲から見たら現在進行形で痛い目にあっているのかもしれないけれど

ルギウス > ふむ と 二人を改めて見つめる。
魂まで全てを見透かすように。

「いやぁ、青春ですねぇ。
 若くて実にいい。
 比良坂さん、彼は間違いなく変わり者の部類ですよ。
 ついでに底抜けのお人好し」

さて、フォローになるかどうか。

「ええ、秘密特訓施設です。
 うっかり死んでも隠蔽できるような施設ですから安心ですね」

真乃 真 > 「おっと、心配してくれるのかい!ありがとうでもその忠告は聞けないな!
 自己満足できないなら。自分に満足できないなら生きてたって仕方がないからね!」

自分が望まないそれであるならば。そう、仕方ないのである。

「先生、それも多分僕は自己満足でやってるので!
 それに偽善者って評価を足しておいてください!」

自らフォローを潰していく。
おそらく周囲の人の多くの評価はそれであっている。

「おっと、それじゃあ死んでも安心?いや安心はできませんけど心おきなくやれますね!」

比良坂 冥 > 「……そう、じゃあ…好きにしたらいいんじゃないかな。
 私は、私のものにならないものはいらないから、きっと、相容れない、けど……」

そう言って再び、神社の階段に座り込んだ
まるで誰かを待つように

「……少し話しただけでもそれはわかるよ先生。
 …先生に変わり者扱いされるのも、不名誉な気がするけどね…」

ルギウス > 「世間じゃ、そういう方は馬鹿って言うんですけれどねぇ」

くつくつと笑う。

「ええ、死んでも行方不明になれますよ。
 表社会と裏社会には二度と姿を見せられないでしょうけれどね」

手のひらを返せば、二つ分のラムネ(キンキンに冷えている)が現れる。

「よろしければどうぞ。熱中症には気をつけてくださいねぇ?
 私は、この近くに用事があった通りすがりですので」

反対側の手には大きなスコップ。
この格好で土を掘るらしい。

真乃 真 > 「ああ、好きにするよ!
 君も自分のものになる人?が見つかるといいね!」

ああ、きっと相容れないだろう。
目に見える全てを助けようとする男とこの全てを自らに向けさせようとするこの少女は相容れない。

「はい!馬鹿と偽善者と変わり者は耳にタコが出来るくらいには聞きましたよ!」

きっと、馬鹿で偽善者の変わり者つまり馬鹿なのだろう。

「行方不明か…じゃあもし死んだら親とかに説明しといてくださいね!
 いい感じで!」

そんな事を言いながらラムネを受け取ると

「先生どこか掘るんですか?やましくないなら手伝いましょうか!?」

そんなことを言い始める。

比良坂 冥 > 「……そうやって優しいような言葉をかけるから、私みたいな人間は傷つくのだけど。
 もしかしてそれがわかっててわざと言ってる…?サディストなの」

小さなため息
濁った瞳はそのままに、二人を睨めつけて

「……私はいらない、炭酸は苦手」

ルギウス > 「では、冥さん。また後ほど。
 機会があえば美味しい食事でもご一緒しましょう、なんならその後までね」

ラムネの変わりに飲むヨーグルトを差し出して握らせる。
冷えているのだが原理は不明。
真には。

「ははは、やましい事ですのでご遠慮しますよ。
 自由に生きた不自由な方の埋葬ですから」

そう言って歩き去っていった。

ご案内:「常世神社」からルギウスさんが去りました。
真乃 真 > 「ごめ…!いや、謝らない!じゃあ優しくない言葉をかければいいのかい?」

睨む視線におもわず謝りそうになるも耐える。
つまり、彼女に対しては厳しく接すればいいのだろう。
…断じてサディストではない。

「えーと、厳しい言葉ってあんまり思いつかないね…。
 えーと変わり者!」

最後に厳しい言葉を残して去ろうとしたが思いつかない。
ただの悪口みたいになっている。

「やっぱりやましいんですね…。でも埋葬っていうなら悪い事ではないと思います!!」

牧師の格好は格好だけじゃあないんだなと考える。


「それじゃあ僕も行くよ!特に急ぎの用事はないけど居づらいからね!!
 えーと冥さん?さようなら!」

最後にそう言うと真は神社の階段を駆け下りていくだろう。

ご案内:「常世神社」から真乃 真さんが去りました。
比良坂 冥 > 「……口ばっかり」

言いつつ受け取ったヨーグルトは蓋をあけて、階段下にぽとりぽとりと垂らしてゆく
蟻が集まってきた

「……興味もない女の子に優しい言葉をかけても仕方ないでしょ?
 …………まぁ、それは自覚してるから、いいけど」

変わり者、と言われれば若干目を細めた
なんだかこの人には言われたくないと素直に思ったのかもしれない

「…………」

比良坂 冥 > 去っていく二人を見送って、また独り
女子寮に帰る気もしないし、今日は何処へ泊まろうか

ポケットの中には折れた鍵束
その中の、折れていない鍵を適当に指で探りながら立ち上がる

いくらか折れた鍵が増えたそれを
なぜか僅かに満足気に手で撫でながら、その場を後にした

ご案内:「常世神社」から比良坂 冥さんが去りました。