2016/08/25 のログ
ご案内:「常世神社」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 夕暮れ時。
蘭は海水浴場での仕事帰りに、また常世神社に寄っていた。
夏休み中に習慣づいた、瞑想のためである。

かなり慣れた所作で、神社に参詣し「神様」への挨拶を済ませると、鎮守の森へ。

美澄 蘭 > 本人は「瞑想」を謳い、実際集中力の強化や動揺しづらい精神を養う、といった効果は表れていないわけではない。

…しかし、通常の五感に依らない感覚で世界を「視て」しまって以降。
蘭の「瞑想」は、魔力感知能力の強化、魔力容量増大の効果の方が大きかった。
瞑想本来の効用のおかげで、魔力容量の増大は問題にはなっていないのだが。

その自覚が希薄なまま、蘭は鎮守の森の中に佇んだまま、静かに目を閉じた。

美澄 蘭 > 目を閉じたまま世界を「視る」のも、もはや慣れたもの。
夏の森の青い匂いを感じながら…木々から発せられ、漂う「甘い」「光」を「視る」。

蘭本人に認識はないが、蘭自身が持つ魔力も、わずかに森が持つ魔力の気配と解け合い、その境界がややぼやけている。

魔力感知能力なり、「視る」ことの出来る者が見れば、その光景に独特なものを感じるかもしれない。
…もっとも、「魔力感知能力はあるが魔力はない」者は希少だろうから、蘭に近づけば、大抵の者は「その者の形をした光」として蘭に感知されることにもなるだろうが。

美澄 蘭 > (………転移荒野って、あっちだったっけ…)

本殿などの反対側(御神体を以前「視て」しまってからは、この状態でそちらの方に意識を向けるのは極力控えるようにしている)の方に、意識を向けてみる。
「最期」を招きうる「外発的な理由」。恩師の一人が、「見分を広めるのにぴったり」と太鼓判を押した場所。
力の制御も未熟で、まだ「覚悟」も出来そうにない蘭には足を踏み入れる資格がない場所。

(実際に行くわけじゃないわ…ちょっと、「視る」だけ)

ほんの出来心で、意識を、遠く、遠くまで向けるイメージを広げる…

美澄 蘭 > 「………!」

…つもりだったが、そこまで行かずに蘭が声にならない悲鳴をあげて目を見開く。

「………」

無言で荒くなった息を鎮めようとする蘭。

(…忘れてた…ここが、どんなところか…)

転移荒野まで、感覚が届くはずもなかった。
蘭の力不足もなくはないだろうが、それ以上に、「普通の人々」の気配が濃密且つ多様過ぎたのだ。
この神社の中では「甘く」感じた「光」も、神社の領域から出ると冷たかったり、刺激が強かったり…あまつさえ、「光」ではないようなものすら感じられたのだ。
その混沌に、蘭の理解力が追いつかなかったがゆえの悲鳴である。

美澄 蘭 > (この感覚を無駄に広げると、余計なものを拾い過ぎて整理が追いつかなくなるのね…
取捨選択出来たら良いんだけど、流石に広げると厳しそうだわ…)

呼吸が落ち着いてきたところで、「この神社くらいなら、ある程度区別つけられるんだけどなぁ…」と零して、わずかに自嘲気味の笑みを零す。
精神を落ち着けるための修養のつもりで、混乱にやられていたら世話はない。

(…「心を鍛える」って、大変)

そんな感慨とともに、深呼吸を1つ。
森の空気が、肺の奥まで染み渡り…頭から、混沌が洗い流されるような爽快感を得る。

美澄 蘭 > (…今日は、もう帰ろう。少しずつだけど、陽も短くなってきてるし)

思考が情報の混沌から距離を置けたところで、そう決断し、鎮守の森を出る。
そうして、鳥居の下で神社の方に綺麗なお辞儀を1つしてから、神社の敷地を後にしたのだった。

ご案内:「常世神社」から美澄 蘭さんが去りました。