2017/08/29 のログ
ご案内:「常世神社」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 夜の神社は、少し不気味だ。
しかしそんな神社に平気で足を運ぶ少女が1人。

「...神社とかあったんだ...」

鳥居を見上げながら呟くと、遠慮なく1歩踏み込む。
神社の独特の雰囲気は嫌いではない。
落ち着きなくきょろきょろしながら、手水舎の前に立った。

「えーっと...。これ絶対手洗わないかんのだっけ?
忘れたけどとりあえずやっとこう」

手順が記された木札を見上げ、覚束無い手つきで真似をする。
時々「どっちの手だっけ」などとぶつぶつ呟きながら。
夜の神社に騒がしい客が来たものだ、と恐らく神様も溜息をついていることだろう。

ご案内:「常世神社」にクロノさんが現れました。
和元月香 > 何とか手を清め終わり、柄杓を元に戻す。
そのまま、拝殿へと真っ直ぐ向かった。

「とりあえず、お世話になってるし」

仏頂面で薄い硬貨を賽銭箱に投げ入れ、
手を合わせて心の中で自己紹介を唱え始める。

(こんばんちは。
私は和元月香、ピッチピチの17歳ですよ。
まぁ一応お世話になってる身なんでご挨拶に参りましたよコラ)

なんともふてぶてしい。
とても神様に挨拶する態度では無いが、当然本殿の奥からは何も聞こえない。

「...無視かい!」

そうつっこむ月香。当たり前である。
だが、ファンタジー世界なこの島ならばと思ったらしい。
鼻息を荒らげて拝殿の前に座り込む月香は妙にむすっと膨れていた。

クロノ > (ジーガシャ、ジーガシャ、と個性的な機械の駆動音と、ヴゥンヴゥンと唸るエンジン音を連れて現れるのは、騒がしい客その2。)

…よぃ、しょ、っと。
(長い長い参道の階段を上り終えて、夜の海原を振り返っては全身を大の字にしてのびのびと深呼吸する仕草。ブゥーン…と胸のエンジンを吹かして、夜の涼しい空気を鋼鉄の胸いっぱいに吸い込む。)

……ん、よし。
(少しの間そうして鳥居の下で夜の海原を眺めてから、くるっと振り返って境内へと。相変わらずジーガシャ、ジーガシャ、と遠慮の無い足音で歩いていれば、本殿の賽銭箱の前に人影を見つけて。)

──── …… 月香?

和元月香 > 膝を抱えて地面をぼんやり眺めながら、
心の中に渦巻くちょっとした雑念を仕舞い込む。

どうも神様という存在が好きになれない。
普通、だとか興味ない、だとかそういうのではなく。
かと言って嫌い、ほどまでには行かない。
月香の嫌いなものは退屈と水泳だが、それらよりもっと冷めた感情だ。

(____あぁ、分かった。
苦手、ってやつか)

そうか、と頷く。
まるで子供かロボットが、初めてのものを理解するように。

自分は神様が苦手なのか、なんでやろと思考の海に呑み込まれていく。
...寸前に、聞き覚えのある声が自分を呼んだ。

「.....?クロノ?」

我に返った月香は、驚いてぱちぱちと瞬きを繰り返す。
だがそれはたった数秒で、すぐにぱぁっと顔を輝かせて「こんばんは!」と笑顔を浮かべる。

クロノ > (とりあえず男の子も金属製の手をちゃんと洗って、備え付けの手拭いでふきふきしてから本殿の方へ。一定の間隔で参道沿いに並ぶ灯籠の明かりがちょっと幻想的でもあり、またちょっぴり怖さも醸し出していたり。でもお寺と違って敷地に墓地が有るわけではないから、どちらかと言えば綺麗、といったところか。)

…月香、どうしたの?何か神様に相談事?
(賽銭箱の前で膝を抱えてボーッとしていたらしい相手の姿に、男の子はそっと手を振って挨拶を返しながらのんびりと歩み寄る。)

和元月香 > 「ん?...ううん、別にそんなんじゃないよ。
ただ挨拶しにきただけ」

偶然通りかかったしね、と下から見上げて
月香はへらりといつも通り笑った。

大好きな友人の前では、さっき感情はもう霧散している。
当然だ。
あんなくだらない感情について考えるよりも、
クロノと話す方がずっとずっと重要なのだから。

「クロノこそ、こんな夜更けにどうしたの?
神社によく来るの?」

ロボットと神社。なんともアンバランスな組み合わせだ。
似合わない、というより意外という印象。
にこにこと笑いながら、首を傾ける。

クロノ > …? …そぅ、挨拶…かぁ。律儀だね。
(相手が心の中で何をどう唱えていたかなんて知る由もない男の子は、相手の返答に感心したようににこにこ顔で、隣に立ってお賽銭を静かに入れて、二礼二拍一礼。ぽんぽん。そっと目を閉じて静かにお祈りしている間も、おでこのインジケータランプは忙しく点滅を続けていて、コンピュータの脳はちゃんとお願い事を唱えているようだ。)

…… ん。涼しくて気持ちいいから、お散歩も兼ねて、ね。たまに来る程度だけど。
(お参りの後にはまたぺこりと一礼をして、少し下がって相手の隣にちょこんと座る。)

────…… 静かだね。
(街からは離れて、静寂の中に遠く宵の波音と、耳元を掠めて流れていく初秋の夜風。…その静けさに聞き入ろうと、座った男の子は胸のエンジンを止めてバッテリー駆動に切り替える。)

和元月香 > 「...へへ」

相手の笑顔を見て、何だかほんの少しやるせなさを感じた。
世に言う後ろめたさ、というやつか。
曖昧に笑って、言葉を濁す。

「確かによく風が通る場所だよね。
こういうとこは嫌いじゃないなぁ」

うん、と頷いて笑みを浮かべる。
神様は苦手だが、住居である神社は寧ろ好きである。
ちょっとデッサンしてしまいたくなるような、
味わい深い風景と雰囲気はいい印象を持てた。

「そーだね。世界に誰もいないみたい」

私とクロノ以外ね、と付け加える。
そして暫く無言で遠くを眺めていたが、

「....ごめん今の無し。
なんか恥ずかしくなったわ」

とちょっと赤面しつつも無表情で前言撤回した。

クロノ > (否定するでもなく肯定するでもない、短くて曖昧な相手の空笑い。威勢の良い相手の事だから、お参りとは言いつつきっと手土産に拳ぶちこむ感じの勢いだったんだろうな、とは思いつつ、でもこうして自分の隣に並んでいる姿は見たままに少女だな、とか思っている男の子。)

… ん。寺社仏閣とかって、霊的な通り道の関所みたいな場所に建てられることが多いって聞くから、きっと風通しも良いと…魂も通りやすいんだろうね。

(夜風に揺れる境内の木々の小枝が奏でるざわめきも、どこか耳に心地よく。全身全霊人工物の男の子は不釣り合いにも、そんな霊とか魂とかのお話を少し。)

──── …… ?
(一人と一台、肩を並べてぼんやりとしていたところで相手から零れた言葉と、慌てて前言撤回する様子に、男の子は少し遅れてその意味を理解したのか、最初はきょとんとしていたけれど、しぱしぱと瞬きつつこく、と頷く。)

──… 撤回、されちゃった…。
(ぽつん、と小声で漏らした男の子の声音は、ちょっと残念そうだった。そんな男の子の表情は、宵闇に紛れて分かりづらいけど、きっと恥ずかしそうに照れている。)