2017/08/30 のログ
和元月香 > 「魂、かぁ。
クロノってそういうの興味あるんだね?」

へー、とクロノの話を興味深げに聞く。
それから、神妙な顔をして、「魂、ねぇ」ともう1度呟く。
死んでからまた生まれるまでの記憶を持ち続ける月香にとっては、
思う所があったようだ。

「えっ、な、なんでちょっと残念そうなの!?」

予想外の相手の反応に、月香はわたわたと途端に慌てた。
声も裏返っているので、かなり驚いているらしい。
普通に恥ずかしい発言だと思っていたからだ。

顔を少し赤く染めたまま、月香は熱を覚ますように
星が瞬く空を見上げる。

(誰もいない世界か)
悪くないかもしれないな、と何故か過ぎった思考。

「...いっそ、皆いなくなっちゃった方がいいのかねぇ」

ぽつり、と漏れた呟き。
しかしそんな呟きを零した月香はいつも通り笑っていた。

クロノ > … ぅん、ちょっと…ね。機械の僕がこういうこと言うのも信憑性っていうか説得力無さそうだけど。
(ここに来る前は、紛争地域や被災地、難民キャンプなんかの野戦病院で応急処置任務に従事していた。故に人々の最期を数えきれないくらい看取ってきたし、科学的には説明のつかない不思議な現象も日常的に体験していた。そう相手に手短に話しつつ。)

…… っふふふ、ちょっとロマンチックだったのになぁ、って。
(灯籠の明かりに照らされて続く石畳の参道、松明の炎に照らされる拝殿、遠くに聞こえる宵の波音…と、今この瞬間、確かに肩を並べている一人と一台の存在。)

────…… そりゃあ、誰だって、何だっていつかはこの世界からいなくなっちゃうけど…さ。
(幾人もの最期を看取ってきた男の子でも、もちろんたくさんの出産の瞬間にも立ち会ってきたし、動植物医の免許もある男の子は、人間に限らずいろんな命の輝く瞬間を見守ってきた。だから、みんな一斉にいなくなっちゃうのは…やっぱり寂しいな、と。)

和元月香 > 「そうなんだ...。
まぁ幽霊とかは、私もいるって思ってるけど」

見たことはないんだよね、とそわそわしながらちらちら見やる。
幽霊には結構興味がある。ありすぎる。
何となく羨ましそうに見えるかもしれない。

「ロマンチック、だった?マジで?」

何故か嬉しそうな月香。
ゆらゆらと身体を揺らしながら、ちょっと誇らしげに笑う。

「うん、分かってるよ。単なる興味よ。
もしも人間が、地球上から一瞬の内にいなくなってしまったら?
世界に私だけになってしまったら?
そこに見える世界は、どんなのだろうっていう」

(綺麗、なんじゃないかなぁ。
今みたいに)

くふ、と笑い声を漏らしながら相手に朗らかに笑いかける。
目の前の優しい少年と、明らかに思考がすれ違う。
命の尊い輝きも、幸せも、笑顔も、哀しみも、全部。
一瞬の内に消えたあとの世界。

「...ま!単なる想像だけどね!
なんか、静かな場所に来ると想像したくなるってか」

しかし。
何事も無かったかのように、冗談めかして笑い飛ばした。

クロノ > … そぅ、見たこと無いんだ。まぁ…無いなら無理して見るものでもないとは、思うけど。
(確かにその手のものは怖いものが多いけど、たまには突っ込みどころ満載で面白かったり、じんわり泣けるようなものもある。男の子自身は機械だし、きっと天国とかそういう世界とは無縁なんだろうけど、幽霊さんたちもそれなりに苦労してそうだ、と。)

────……世界に月香と僕の二人きり…になっちゃったらさ、がんばって月香を守らなきゃ、って思って。
(ロボット故のプログラムされた本能的な忠誠心なのか、あくまで主役は人間である相手であって、自身はそのサポート役に徹する覚悟のようだ。)

────……ん。 きっと、すごく静かなんだろうね。
(全ての人々が、輝いていた命が消えた後の世界。美しいかも知れない。けれど、そう時間の経たないうちにきっと、ものすごい虚無感とか、寂しさとか、孤独な気持ちになるんだろうな、と、笑う相手の隣で真剣な顔で考え中の男の子。)

和元月香 > 「うーん、1回は見てみたいかなーって」

愉しそうに笑う。
幽霊だとか、怨霊だとか、月香にとってはある意味一番無縁だ。
どんな生活を送っているのか純粋に興味がある。

「頼もしい!でも私だってクロノを守りたいぞ!
私結構強いんだぞ!」

そんな状態でも人間を支える気であるロボットの言葉に、
まるで今本当に世界から人間がいなくなるかのように無邪気に笑って喜ぶ月香。

「人間がいなくなっても、動物とかはいるからね。
怪異とかはどうなんだろう?人間を脅かしたり、執着したりしてるタイプの奴はいなくなりそーだけど...」

人間がいなくなった世界の危険についてわくわくしながら考える月香。
もしかしたら案外早く異世界人が転移してきてしまうかもしれない。
知恵を出して、どんどんやって来る異世界人と生き延びるかもしれない。

「静かだと思うよ。
誰もいない、話す相手は私だけだからね」

ずっと、大好きな友達であるクロノと共に。
なんて廃退的で壊れた穏やかな世界だろう、と月香は自嘲気味に笑う。

月香には寂しい気持ちは無いから、きっとずっと笑って過ごせる。

しかしながら、それだと彼もいなくなってしまうから、
最終的にはやはりこの、混沌とした日常を月香は望む。

クロノ > …っふふふ、それじゃ、来年の夏休みには肝試し、だね?

(相手が相手だけに、お化けの方がフルボッコにされて逃げ出して来そうな勢いだ。たくましい。)

……ありがとう。心強いよ。 ──…不思議な諸々は…どうなんだろうね。一緒に消えるのか、ずっと残るのか…。

(もしもこのまま二人きりになったら。ちゃんと成長してお姉さんに、おばさんになっていく月香と、逆にずっと少年のままの男の子と。元々既に旧式の男の子には、きっと残された時間も少ないだろうし…もし世界で二人きりになったら、残りの時間は穏やかに過ごしたいな…とか思っている戦闘用機体のロボット。)

和元月香 > 「いいねぇ、凄く楽しみ。
...肝試しか、小学生の時やったきりだなぁ」

月香はノリノリで頷く。
確か、あの時は夏休みにわざわざ集まったのだったか。
ペアの子はひたすら怯えていたが、月香自身はとてもわくわくして楽しかったことを覚えている。

「...結構いなくなっちゃいそーだけどね。
ああいうのって人間がいるから存在してるのが多いっぽいよ。
勿論、変わらず存在し続けるモノもいるだろうけど」

不思議な生き物たちもごっそり消えた、静かな世界。
2人なら、きっとけろりとした表情で穏やかに過ごすのだろう。
いや、クロノは寂しいという感情を抱えてしまうだろうが。

「.....本当にそうなる訳じゃないけどねー」

そうつまらなそうに言うとよっこいせ、と立ち上がる。
軽くスカートの土を払い、再び大好きな友人に月香は満面の笑顔で笑いかけた。

「そろそろ帰るね、ありがとう。
こんな空想話に付き合ってくれて」

ひらひらと手を振って、
その後は振り返る事なく鳥居を潜った。

(本当にそんな世界に【してしまったら】、
クロノは本当に私と生きてくれるかなぁ?)

胸の中に燻る、残酷な好奇心を持て余しながら。

ご案内:「常世神社」から和元月香さんが去りました。
クロノ > …っふふふ、だいたいみんなそんな感じじゃないかな?今から次の夏休みが楽しみだね。
(肝試し、という単語にも怯むどころかノリノリの相手、やっぱりたくましいなぁ、としみじみ思う男の子。)

…そぅ、かぁ。月香、詳しいんだね。
(ヒトと関わらなければ、確かにヒトの歴史の文献やお伽噺には登場しない。そうして、教育と戒めの意味合いをもって語られるうちにいつしか産み出された存在もきっと少なくは無いんだろうな、と相手の話を聞きながら思う。)

── …ぁ、うん。どういたしまして。楽しかった。 …帰り道も、気をつけてね。
(相手の瞳の奥に隠された残酷な好奇心、けれどもそれを見抜くことの叶わない男の子は、相手を見送る間も静かに、のんびりと手を振っていた。)

── ……さて、と。
(男の子自身も、東の空が明るくなり始めるより前には家に帰らなきゃ、と手早に立ち上がり、鳥居の端を潜っては、また長い階段を降りて学校の方角を目指す。)

ご案内:「常世神社」からクロノさんが去りました。